2025.11.13
古代ギリシャの香り漂うアテネで、ヘルスコンシャスが集うカフェを訪ねて
アテネは、古代ギリシャを今に伝える世界遺産が点在する街。パルテノン神殿やオデオンなどの建造物で構成されるアクアポリスは、その代表格ですよね。
歴史に詳しくない人でも、アテネの街歩きをしているとふと目に入る古代遺跡に、今いる場所の歴史を感じずにはいられないはず。
歴史と神話、そして現代がバランスよく同居する街、それがアテネです。



今回はそんな街でローカルに愛される健康志向なカフェを3つ紹介します。
いずれもヴィーガンやグルテンフリーなど、肉の多いギリシャ料理のあいだに挟みたい、身体に優しい料理ばかりです。珍しいヴィーガンベーカリーも見つけましたので、ぜひ次のアテネ旅行で行く場所のリストに!
Holy Llama

植物性食品100%のクリエイティブなベーカリー。動物への愛とヴィーガンライフタイルへの情熱から始まった「新しい食の選択肢」を提案しています。近年ヴィーガン食が浸透しつつあるアテネでも、ベーカリーはとても珍しい存在です。
手作りであることはもちろん、使用する食材の品質や鮮度のよさも強み! 野菜やフルーツ、ハーブなどはエウボイア湾の岸辺にあるオロポス地区に位置するLlama農園で栽培したものを使用しています。


Holy Llamaの看板メニューはクロワッサン。バターが決め手といっても過言ではないクロワッサン生地ですが、もちろんバターは不使用。ヴィーガンバターやオーガニックのオリーブオイルなどで代用していると、スタッフの方が教えてくれました。
またペイストリーには欠かせない甘味。白砂糖の代わりに、生きび砂糖やココナッツシュガーを使っているそうです。
どの原料も選ぶ際の軸があり、丁寧に厳選されているのがよくわかります。



右:Holy Llamaのオリジナルアイテムも
下:一人ひとりに丁寧に対応してくれるスタッフさんたち。笑顔が素敵!
■地中海クロワッサンと、オーツミルクカプチーノ

スタッフの方が「甘いものが人気だけれど、セイボリーならこれ!」とおすすめしてくれた一品。
同店自慢のクロワッサン生地に、自家製バジルペスト、サンドライトマト、赤ピーマン、ヴィーガンフェタチーズ、ベビーリーフなどを詰め込んだサンドイッチ。バター不使用なのに、生地がサクサク!
そして一般的なものと比べてやはりあっさりしています。中身の野菜と生地とのバランスもよく、シンプルだけど満足感の高いメニューでした。
ちなみに、Holy Llamaのコーヒーはギリシャの会社を通して仕入れた、フェアトレードのものを使用しているそう。ミルクは店員さんも一押し、アムステルダム発「ROA」のオーツミルクを選びました。高品質な欧州産オーツ麦のみを使用。一切の添加物なし、丸ごとオーツ麦の味を楽しめます。
■「Divine Tart(聖なるタルト)」

「聖なるタルト」と名付けられた、ブルーベリーとマダガスカル産バニラのタルト。
しっかりとバニラの風味がダイレクトに感じられたのは、余計なものが入っていないから。エディブルフラワーとブルーベリー2粒のシンプルなデコレーションですが、中には濃厚なブルーベリージャムが詰まっています。
自然かつ繊細な甘さ、ブルーベリーの適度な酸味が相性のいい一品でした。
近所なら毎日でも通って全メニューを試したいほど、ショーケースのメニューはいずれも魅力的でした。
Veganaki Vegan

2015年にオープンした、ヴィーガン・グルテンフリーレストラン。
ギリシャグルメといえば、スブラギやギロスなど肉料理がメイン。そんな中、ヴィーガンレストランをはじめるのはハードルが高く「最初は9割が海外からのゲストだった」とか。それが約10年経った今では、ローカル:海外ゲストが4:6に変化しました。
「ヴィーガンが“自然環境や生き物に優しいライフスタイル”だという認識に変化してきたのでは」とスタッフの方がにこやかに話してくれたのが印象的。


右:店内からは向いの公園の緑が見える
■ムサカ、グリークサラダとザクロジュース

ギリシャ料理の定番、ムサカもグルテンフリー&ヴィーガン仕様で。一般的にミートソースやホワイトソースが使われますが、ここではもちろん肉も小麦も不使用です。
ポテトとなすのレイヤーに、レンズ豆をミンチ状にしたものがたっぷりサンドされています。このポテトが芋もちのようなねっとりとした食感で、とても懐かしさを感じました。


サラダはサイドポーションを頼んだのですが、ご覧の通り日本では一人前かと思うほどの大容量! 野菜はいずれもフレッシュで、トップに乗せられたヴィーガンフェタは本物のチーズのようなコクがあります。こちらはカシューナッツを原料に、毎日作られる自家製です。
地中海沿岸の地域を旅するなかで、よく見かけるザクロジュース。気候がザクロの栽培に適しているようで、とにかく美味しいのです。同店のジュースは、ザクロ自体の酸味はあるけれど甘みも強くごくごくと飲めてしまいます。
今回は試さなかったけれど気になるメニューはほかにも。ギリシャ料理のスブラキもヴィーガン、そしてグルテンフリーかつヴィーガンのピザもあります。グルテンフリーの生地は、自社ベーカリーで毎日焼き上げてるんだとか。味にも期待ができそう!
Peas Vegan

鮮度と手作りを大切にし、暮らしに根付いたエシカルと調和のとれた世界を目指すカフェ。アテネのヴィーガンカフェとして、よく知られています。
お店はこじんまりした佇まいですが、エメラルドグリーンの外観が目を惹きすぐ見つけられます。




下:持ち帰りに焼き菓子はいかが。ボトルを持参すると水のリフィルも可
■マッシュルーム ギロスとマカスムージー

ギロスに見立てたたっぷりのマッシュルームとグリルされた野菜、サラダ、ヨーグルトがぎっしり詰まったグリークピタです。
ギロスとはギリシャ料理の定番で、羊や豚などの薄切りの肉を串に刺し重ねた塊を、縦型の専用グリルで回転させながら火で炙って、そぎ落としたスライスのことです。
こちらではギロスの代わりにマッシュルームを使っていますが、豆腐やテンペーなどの選択肢も。現地の料理をプラントベースでいただけるのは嬉しいですね。
アテネ近郊から仕入れているという野菜はとても新鮮で、グリルした後でもジューシーさを感じるほどでした。

洋ナシ、バナナ、ニンジン、アーモンドミルク、シナモン、マカのスムージーはコクがあり濃厚、一食分としても十分なほどの満足感!
アイドルタイムの訪問だったので店内は空いていましたが、配達のバイクや持ち帰りのお客さんが次から次へと訪れていました。地元の人たちから信頼され、愛されていることがよくわかります。
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アテネのヘルシー志向カフェを3店、紹介しました。
アテネは観光名所が点在し、坂道を歩くことも多いため「食」はとても重要! 肉料理でパワーチャージ、野菜料理で休息、という風にバランスよく食を楽しみたいですね。
現地へ行かれる際は、ぜひ参考にしてみてください。

暮らすように旅する、自然派ライター。世界一周を含む4年の旅の後、オーストラリアに移住し、約7年暮らす。2023年、東南アジア中心のノマド暮らしを経て、2025年よりフリーダイビングをしつつ、世界二週目中。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを執筆。そして現在は主にwebメディアで、旅はもちろん自然に沿った生き方を実践し、地球と体に優しい生き方のヒントを発信しています。
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