秋色に染まるパリでモンブランに舌鼓。名店3選を訪ねて
FOOD

2025.10.01

秋色に染まるパリでモンブランに舌鼓。名店3選を訪ねて

日本よりも早く、秋がスタートした今年のパリ。朝晩はすでに「ダウンが必要」と思うほど冷え込む日も。洋服だけでなく、食材の“衣替え”もスタートしているパリですが、今回は秋のスイーツ「モンブラン」にフォーカスしてみました。

秋のスイーツシーンには、モンブランが欠かせません。パリでも名店と評判のパティスリーから、それぞれ個性豊かなモンブランをご紹介します!

秋色に変わったパリ

老舗「Angelina」のモンブラン

日本にもある老舗サロン・ド・テ「Angelina(アンジェリーナ)」は、1903年、オーストリア出身の菓子職人、アントン・ランペルマイヤー氏と、息子のルネによって設立されました。Angelinaという名前は、ランペルマイヤー氏の義理の娘にちなんで名づけられています。

パリ1区のAngelina本店

ティーサロンのエントランス

Angelinaの魅力は、なんといってもその内装でしょう。モダンなコーヒーショップがどんどんオープンしているパリで、こうしたクラシックな雰囲気を持つティーサロンは、もはや珍しい存在かもしれません。

そんなAngelinaのアイコン商品といえば、やっぱりモンブラン! パリでも「モンブランといえばAngelina、Angelinaといえばモンブラン」と囁かれているように、とっても有名なガトーなんです。

今回お店を訪れると、季節限定の「アプリコット・モンブラン」が登場していました。なんでもこれは、Angelina Paris のシェフ、クリストフ・アペール氏が東京でインスパイアされたモンブランなのだとか。 東京で食べたアプリコット・モンブランを、フランス向けにアレンジしたということです。

そのフルーティさや、スプーンで食べるというカジュアルさに感動したそう!

私もスプーンを手に取り、テイクアウトで味わってみました。一口食べてまず思ったのは、「マロンとアプリコット、こんなに相性がいいんだ!」という驚きです。アプリコットの果肉が上部だけでなく、中にもたっぷりと散りばめられていました。

さらにカップの底には、アプリコットのジュレがたっぷりと。生クリームとの相性も抜群で、病みつきになりそうな一品でした。ただサイズがかなり大きめなので、一つでお腹がいっぱいに…。2人で一つをシェアして、Angelinaの目の前に広がるチュイルリー庭園で楽しむのも良いかもしれません。

秋のチュイルリー庭園

ちなみにAngelinaのモンブランの名前は、アルプス山脈の「モン・ブラン(Mont-Blanc)」が由来というわけではないそうです。着想を得たのは、20世紀初頭の「女性のショートボブヘア」から。こうした独自の背景により、Angelinaは1903年のオープン当初から現在まで、一貫した世界観を持っています。

当時流行した女性のヘアスタイルがモンブランの始まり(写真はAngelinaのビスケット缶)

■Angelina Paris – Rue de Rivoli
住所:226 Rue de Rivoli Paris, Île-de-France 75001
HP:https://www.angelina-paris.fr/

レトロでクラシカル「Le Valentin」のモンブラン

Passage Jouffroy

次はパリの歴史的パッサージュに存在するカフェ「Le Valentin(ル・ヴァランタン)」からご紹介。パッサージュとはアーケード街のことで、今も19世紀の雰囲気を残しながら、小さなブティックやカフェが軒を連ねています。

パリにはこうした通りが幾つかあるのですが、そのうちの一つ「Passage Jouffroy(パッサージュ・ジュフロワ)」の雰囲気は、一番レトロでクラシカル。Le Valentinは、そんなパッサージュの中央に位置しています。

Le Valentin

Le Valentinの基本コンセプトは、「tout est fait maison(すべて手作り)」。店内の工房で、パンやペストリー、スイーツを一つひとつ丁寧に作っているのだそう。味と雰囲気を一度に楽しめる、パリでも大好きなカフェです。秋のパリは雨が多いので、雨を気にしなくて良いところも嬉しいポイントです。

今回はLe Valentin の定番メニュー、モンブランをはじめて注文してみました。モンブランらしい「山」のようなフォルムに、トップの金粉が加わって、とってもゴージャスです。クラシカルな見た目は、パリのパッサージュを背景にすると一層映え、写真撮影にもぴったりでした。

味わいは想像以上にライトでクリーミー。とりわけ生クリーム好きの方にはたまらないモンブランです。ただ、土台のビスキュイはしっかりと硬めに仕上げられていて、日本のケーキとはまったく違う食感でした。フランスの人々が好む「クリームっぽさ」と「歯ごたえのある土台」がよく表れているなと思います。今回ご紹介するモンブランの中では、一番フランスっぽいかもしれません。

中心にはマロンがごろっと一粒隠されているので、宝探しのような楽しみもあります。甘さは控えめながら、エスプレッソとの相性は最高!  秋は雨風をしのげるパッサージュで、カフェとモンブランと、ほっと一息つきたいものです。

■Le Valentin Passage Jouffroy
住所:30 Pass. Jouffroy, 75009 Paris
HP:https://www.levalentin.net/

モンマルトルの一流パティスリー「Gilles Marchal」のモンブラン

モンマルトルの小高い丘

最後は、パリ・モンマルトルの丘にある名店からご紹介したいと思います。「Gilles Marchal(ジル・マルシャル)」は、フランス菓子の伝統を守りつつ、現代の感性を加えたスイーツで知られる一流パティスリー。

コンパクトで可愛らしいこの場所は、地元の人々にも愛されるアットホームな雰囲気が素敵です。5つ星ホテルで活躍したパティシエ、ジル・マルシャル氏の絶品モンブランが味わえますよ。

店舗の外観

美しいスイーツがずらりと並ぶショーケース

ジル・マルシャル氏は2004年に「その年もっとも活躍したシェフ・パティシエ」に選ばれ、2008年にはパリ市からメダルも授与されています。代表作にはマドレーヌ、エクレア…と数多くありますが、私のおすすめはやっぱりモンブラン。

マロン、クルミ、キャラメリゼしたピーカンナッツなどが香ばしく、「ブランデーにも合いそう!」と思いました。

Gilles Marchalのモンブランは、先にご紹介したモンブランよりもサイズが小さめです。モンブランといえば背の高いフォルムをイメージしますが、こちらはスプーンでいただくタイプで、食べやすいことが何より印象的でした。

そして面白いのは、中央に小さなメレンゲが隠されていたこと。周りの生クリームにもナッツが混ざっていて、まさに「秋の味覚!」といった一品です。

甘さはしっかりありながら、全体的に上品。それでいてこっくりと濃厚なので、甘党の方にはぜひおすすめしたいモンブランです。パリのモンマルトルにいらした際はチェックしてみてくださいね!

■Pâtisserie Gilles Marchal
住所:Pâtisserie Gilles Marchal
HP:https://www.gillesmarchal.com/

これからどんどん増えるパリのモンブラン

最近ではパリのスーパーマーケットでも、美味しそうな栗が並ぶようになりました。モンブランは季節のガトーとして扱うところが多いので、秋が深まるにつれて、これからどんどん個性的なモンブランが姿を現すことでしょう。

1年に一度、秋の味覚として一つは食べたくなるモンブラン。今年は日本とフランスでどんな力作がそろうのか、今から楽しみです!

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