
2025.09.11
歴史薫る京都「ホテル長楽館」で叶える、SLH記念の美食ステイ
京都・東山の円山公園に佇む「ホテル長楽館」。明治の実業家・村井吉兵衛が、国内外の賓客をもてなすために建てた迎賓館は、100年以上の時を経てもなお気品と格調を漂わせ、多くの人々を魅了しています。
今年、この歴史的建築を舞台とするホテル長楽館が、「SLH(Small Luxury Hotels of the World)」に新たに加盟しました。「SLH」とは、世界80カ国以上、500軒ほどのホテルが加盟する、厳選されたスモールラグジュアリーコレクション。その基準は厳しく、歴史・文化・デザイン・おもてなしのすべてにおいて一流であることが求められます。


今回、SLH加盟の記念として発表された、2食付きの特別ステイプランを体験したので詳しくご紹介します。
京都の迎賓館で時を超えた贅沢な滞在
ホテル長楽館は、1909年に建てられた明治の洋館「長楽館」(国指定重要文化財)に、わずか6室の客室を有する新館を併設したブティックホテルです。すべてのツインルームにはマントルピース(暖炉)とジャグジーバスを備え、無垢の木材をふんだんに使用した温もりある空間で、冬には客室での薪の炎を楽しむことができます。


京都市中心部にありながら、街の喧騒から離れた東山の豊かな緑に囲まれた立地で、客室(一部を除く)やライブラリーからは、春は円山公園の枝垂れ桜、夏は五山の送り火、秋は紅葉といった四季折々の風景が一望でき、季節の移ろいを肌で感じることができるのも魅力です。

次の100年を見据え、シンプルで美しいものを追求した設計とおもてなしが息づきます。


宿泊者は希望に応じて、本館3階の通常非公開エリア「御成の間」を特別に見学することも可能で、歴史と文化が凝縮された空間に触れられる貴重な体験ができるのも必見です。
歴史とモダンが調和する「感性を整える滞在」
今回滞在したのは、現代的な快適さを備えながらも、無垢の木材や漆喰などの天然素材がぬくもりを感じさせるパノラマパークビューハリウッドツインルーム。


窓の外には円山公園の緑が広がり、四季の移ろいがそのまま絵画のように切り取られます。
静寂と香りに包まれる大人のプライベート空間
宿泊者だけが利用できるティーラウンジは、滞在中いつでもコーヒーや紅茶、軽いスナックを楽しめる静かな空間。隣のライブラリーでは、京都に関する内容や、洋館、料理、美術関係の書籍も充実しており、まるでプライベートサロンのようにリラックスして過ごすことができます。


京食材フルコースで味わう至福のディナータイム
ディナーはホテル内フレンチレストラン「LE CHENE(ル シェーヌ)」にていただきます。


お目当ては、長楽館を代表するスペシャリテ「七谷鴨のロティ」を主菜に、ソムリエ厳選のペアリングを加えた特別仕様のフルコースです。
ショープレートは、1919年(大正8年)創業の日本の高級洋食器ブランド「大倉陶園(おおくらとうえん)」のもので、長楽館用に特注しているそう。美術的価値の高い磁器を採用しているところにも、細部へのこだわりを感じました。

コースはAmuse(キッシュロレーヌ)から始まり、Premier(鰻)、Deuxième(鮎と西瓜)、Troisième(ブールノワゼット・スナケ)、Poisson(フランスのスパイスを添えたマハタのポワレ)と続きます。


シェフ・橋本 和樹氏が、毎朝京都・大原や近江を巡り、旬の野菜や京食材を厳選。季節感あふれる食材に、ひとつひとつの火入れや味付けにこだわるフルコースは、味覚だけでなく目でも楽しめる芸術作品のよう。


Troisième(ブールノワゼット・スナケ)は、焦がしバターとスナックの香ばしい香りが広がる一品。中にはハモとナスが丁寧に仕上げられており、香りと食感のコントラストが絶妙で、思わず笑みがこぼれる味わいでした。


コースのメインは、14日間熟成させた、京都亀岡のブランド鴨「七谷鴨」、その中でも特別な「クロワゼ」鴨を低温でじっくりとローストした贅沢な一品です。枝豆のリゾットとともに、噛むほどにジューシーな旨みが広がります。


フロマージュにはカチョカバロチーズを使用。下にはほくほくのジャガイモを添え、香りと食感のバランスを楽しめます。さらに、大葉とマンゴーを組み合わせた爽やかなデザートも、意外な組み合わせながら美味しくて驚きました。


バターサンドはイチヂク入り、サブレは薄め。マダガスカル産バニラクリームが贅沢に挟まれていて濃厚な味わいは一度食べたら病みつきになりそうな美味しさでした。
■飲める人も飲めない人も一緒に楽しむペアリング
お料理に合わせたワインペアリングも魅力で、一皿ごとの余韻をさらに深めてくれます。今回2名で伺いましたが、友人はアルコールで、私はノンアルコールのペアリングを楽しみました。








前述の通り、この日はお酒を控えており、ノンアルコールをいただきましたが、グラスの華やかさや存在感のおかげで、まるでお酒を交わしているかのような特別な時間を楽しめました。飲める方もそうでない方も、一緒に感動を共有できるような配慮があり、ディナータイム全体に上質な心地よさがありました。
味覚・視覚・香り・空間のすべてが融合した、五感で堪能する至福のフレンチディナー。歴史あるホテルならではの格式と、旬の京食材の魅力が存分に味わえるコースはリピーターが多いのも納得です。
細部に宿る美意識と快適さの両立
ディナーを終えて客室に戻ると、ターンダウンされてより落ち着いた空間に。


シモンズ製ベッドに身をゆだね、SOU・SOU製のオリジナル作務衣の着心地の良いパジャマも相まって、ぐっすりと深い眠りを体感できました。


アメニティはオリジナル信玄袋に収められ、ちどりやのオーガニック化粧品を使用しているなど、細部にまでこだわりが感じられます。この信玄袋は持ち帰り可能なので、お出かけ時の小物入れや、お弁当包みとしても愛用しています。


こうした細やかなこだわりや工夫が、「泊まる」という体験を超えて感性までも整えてくれます。また冬に訪れて、温かい炎が部屋を柔らかく照らす贅沢な時間も楽しみたくなりました。
朝の光とともに楽しむ贅沢な一皿
ぐっすり眠った翌朝は、楽しみにしていた洋朝食を。色鮮やかなフレッシュジュースからスタートし、サラダと季節のポタージュをいただきます。うすい豆のポタージュがとにかく美味しくて大満足でした。



京都大原にて平飼いの有精卵を使用した卵料理は、オムレツ・スクランブルエッグ・目玉焼きから選べます。こんな美しい色とフォルムのオムレツがあるのかと感動しました。


大きな窓から差し込む朝の光と共に、静かで贅沢な一日のはじまりを迎えることができ、朝から心満たされる時間でした。宿泊の際にはぜひ朝食付きをおすすめします。

チェックアウト後のカフェタイムも特別
素晴らしい宿泊体験を終えチェックアウトの時間に。すぐにホテルを後にするのが名残り惜しくて、チェックアウト後に館内の「貴婦人の間」でカフェ利用も楽しむことにしました。

ウインナーコーヒーとコーヒーフロートを注文。ホテルの目の前にタクシーを呼んでもらうことも可能なので、カフェタイムの途中でスタッフの方にタクシーを手配していただくのがスムーズです。


宿泊だけでなく、情緒あふれる空間で軽くカフェを楽しむひと時も、長楽館ならではの上質な体験。


次訪れる際には、「デザートカフェ長楽館」にてアフタヌーンティーも体験してみたいです。
■ホテル長楽館(Hotel Chourakukan)
住所:京都府京都市東山区円山町604
アクセス:JR京都駅から車で約15分
公式サイト:https://www.chourakukan.co.jp
SLH加盟記念ステイプラン(2食付き)
・夕食:フレンチレストラン「LE CHENE」にて七谷鴨を主菜としたフルコース&ペアリングワイン
・朝食:洋食
・宿泊者専用ラウンジ利用可能
・館内非公開エリア見学付き
・料金:客室タイプ・時期により変動(要公式サイト確認)
週5フルタイム会社員×週末トラベルクリエイター(旅・食・ホテル)
大学卒業後、大手金融機関で6年間勤務し、その後IT企業に転職。平日は会社員として働きながら、週末や有給を活用して全国・海外のホテルステイやグルメを楽しむライフスタイルを発信中。ライターとしての執筆活動に加え、商品撮影、動画制作なども手がけ、ホテルや観光業界を中心にコンテンツ制作を行う。仕事も旅も全力で楽しむスタイルで、“働きながら旅を楽しむ”リアルな体験をシェア!
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