
2025.08.20
【俳優・原菜乃華】『不思議の国でアリスと』を通して学んだ心身の健康を保つ秘訣
劇場アニメ『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』が8月29日(金)に公開となります。
主人公の大学生・安曇野りせは絶賛就職活動中。空気を読んでみんなと同じようにやっているはずなのになぜかうまくいかない…。そんな彼女は亡き祖母の招待状に導かれて「不思議の国」へと足を踏み入れます。そこで出会ったアリスと共に旅に出ることになったりせは、大切なものを取り戻していきます。
主人公・りせの声を担当したのは原菜乃華さん。自身2作目となるアニメーション映画主演作をどう演じたのか、また、原さんのライフスタイルについても伺いました。
喜びと共に不安もあった主演作

――『すずめの戸締まり』に続いて2度目のアニメーション映画主演です。出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。
驚きました。前作をやらせていただいた時に、声だけのお芝居の大変さが身に染みて分かっていたので、また声をかけていただけるとは思っていなかったんです。だから、もちろん嬉しさもありましたけど、それ以上に「できるかな」という気持ちも大きかったですね。
――今回のほうがプレッシャーは大きかったんでしょうか?
前回は初めてだったので、それよりはもう少し楽な気持ちで挑めました。今回は実年齢も自分に近く、落ち着いた就活中の大学生で、前回の声のお芝居ともまた違った声を聞きたいと言っていただいてたので、それに応えられるかというのが不安でした。
――役はどのように作っていかれたんですか?
『すずめの戸締まり』の時の音響監督の山田陽さんが、今回も入られていたんです。声の表現がすごく若いと言われていて。わりと高い声で早口でしゃべる癖があるので、大学生のりせの話し方ではないんですよね。できるだけ低く、ゆっくりと話すことを意識してください、と言われていました。
『不思議の国でアリスと』原さんの推しキャラは?

――今回、誰もが知っている『不思議の国のアリス』がベースとなっている物語です。脚本自体を読まれていかがでしたか?
主人公がアリスじゃないんだ、ということにまずびっくりしました。でも、「りせ」というキャラクターがきっと多くの方、特にりせと同年代の方にとってとても共感できるキャラクターだと思うんです。そんな彼女が主人公だということが、ワンダーランドというファンタジーな世界の入り口になってくれているのかな、と。
物語自体も新しい切り口で『不思議の国のアリス』を描いていて、キャラクターも現代風にアレンジされていますし、おもしろいなと思いながら読んでいました。

――実際に『不思議の国のアリス』の世界の中に入られて、アリスに対しての印象はいかがですか?
自由奔放でかわいくて天真爛漫で。りせにとって、アリスは憧れの存在なんだろうな、と思いました。きっと、りせにもアリスみたいな時期があったはずだし、でもそればかりでもいられなくて…。本当はこういうふうに自由になれたら楽しいだろうな、と思っていたんでしょうね。
――ちなみに原さん自身は今回の作品で推しのキャラクターはできましたか?
チェシャ猫ですね。今まで見てきたアリスに登場するチェシャ猫の印象ってちゃらんぽらんでちょっと不気味で何を考えているのか分からない「おもしろ怖い」みたいな印象があったんですけど、森川智之さんが声を当てているチェシャ猫は本当に美しいんですよ。高級な猫ちゃんという感じがして、チェシャ猫というより、「先生」って呼びたくなるような、言葉に重みが出るチェシャ猫なんですよね。人生の先輩感あふれる、魅力的なキャラになっているなあ、と。新しいなあと思いましたし、このチェシャ猫いい! と思いました。

――原さんもアニメがお好きということですが、今回、本当に豪華声優陣ですよね。
アフレコ自体は、アリス役のマイカ ピュちゃんと一緒だったんですけど、その時はほかのキャストの方はまだあまり決まってなかったんです。だから、あとから聞いてびっくりしましたね。
――完成した作品を観ていかがですか?
とてつもなくキャストの皆さんが豪華ですごいなと思いました。やっぱり篠原(俊哉)監督のワンダーランドがすごく美しいですし、可愛くてぜひ劇場で見たいな、と思いましたね。
お芝居をより楽しめた上半期

――今年の上半期は朝の連続テレビ小説「あんぱん」に始まり、映画『見える子ちゃん』、『ババンバンバンバンパイア』、ドラマ「ちはやふる-めぐり-」、そして8月に本作が公開になります。上半期を振り返ってみていかがですか?
一年があっという間に過ぎるんだろうなあと思いますね。でも絶えず役を演じられていて、すごく嬉しいです。あとはずっと朝ドラの撮影をしていて…なかなか同じ役を1年近く演じ続けることは今までになかった経験なので、毎日勉強ですし、すごく楽しくお芝居させてもらいました。とにかく充実して、お芝居をより楽しめた2025年上半期だったと思います。
――下半期はどんな日々になりそうでしょう?
まず、朝ドラが8月で一段落するので、今もそこに向けてがんばっています。でも、もうすでに寂しいです。離れたくない、と思いますし、一方でまた新しい役と出会えるのがとっても楽しみでもありますね。
今までは学生服を着て演じることが多かったので、これからはもっと自分よりも上の年齢の役やお仕事モノにも、チャレンジしていけたら、と思います。

――お忙しい中でオンオフの切り替えや、リフレッシュはどのようにされているんですか?
オフの日はひたすら1人で家にいますね。アニメを観るなど、好きなものに浸る時間を作っています。
――インドア系なんですね。
めちゃくちゃインドアですね。同じ姿勢で一歩も動きません。一日中、同じ場所にずっと座って好きなテレビを観たりしているので、多分軽く6時間ぐらい同じ姿勢でいます(笑)。もうお尻が痛いですね。それぐらい家が好きです。
――今、好きなだけお休みがもらえるとしたら、どんなふうに過ごしたいですか?
私、アニメを一気観するのが好きなんですよね。最近は「ジョジョの奇妙な冒険」を観始めまして。今、やっと3部まで来たので、一気に最新話まで観たいですね。6部ぐらいまで多分あるのかな?
あとは勧めていただいたアニメや映画、ドラマもたくさんあるので、1つずつ楽しみたいですね。
――ちなみに旅行に行きたいな、という場所はありますか?
旅行してみたい場所はいっぱいあるんですけど、なかなか行けてなくて。福岡に1人旅がしたいですね。屋台に食べに行ってみたいです! 食べるのが大好きなので、食い倒れ旅みたいなのがしたくて。
あとは秋田県に遊びに行きたいな、とか関東近辺だと群馬にも行きたいですし、沖縄も行きたいし…国内はいろいろと行ってみたいですね。
――旅の必需品はありますか。
靴下。すっごく寒がりなんですよ。夏でも絶対長袖がないと辛いので、冷え防止グッズは必須です。靴下も長めのものばかり持って行きます。

――最後に原さんは“キレイな人”と聞いて、どんな人を思い浮かべますか。
心身共に健康な人かな、と思います。
――ご自身も何か心掛けていらっしゃることはありますか。
できるだけ風邪をひかないように、ビタミンCをとったり、お風呂にちゃんと入ったり。撮影の間はお弁当のことが多いので、家で食べられる時はできるだけ野菜を摂るようにしていますね。
あとは、『不思議の国でアリスと』を通して感じたことなんですが、りせは空気を読んで人に合わせてしまう子なんですけど、それって別に悪いことじゃないんですよね。
自分の意見を持つことも、周りの人に合わせる力も、どちらもすごく大事なのでやっぱりバランスだな、と思いました。自分が好きなものを忘れないことや、自分が何を持っているのか感じ取ることは周りに順応するためではなく、自分の心の健康のためにできるようにしておいたほうがいいことなんだな、と思いました。きっとりせは最初から自分の気持ちを抑制し続けてきたから、自分が本当は何を考えているのかが、まず分からなくなってしまっている。それがすごく危険なのかな? と。きちんと自分の気持ちが出すSOSに気づけないでいると、いずれダメになってしまうと思うので、自分の心の健康のためにも、自分の心の声を柔軟に聞けるようになっておきたいな、ということは勉強になりましたね。

Profile
原菜乃華
2003年生まれ、東京都出身。2017年に『はらはらなのか』で長編映画初主演を果たし、その後は映画『罪の声』『ミステリと言う勿れ』『恋わずらいのエリー』、ドラマ「真犯人フラグ」「ナンバMG5」、ドラマ&映画「【推しの子】」など話題作に多数出演。現在は放送中の連続テレビ小説「あんぱん」やドラマ「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系)にも出演中。
■『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』作品情報
2025年8月29日(金)より全国公開
出演:原菜乃華 マイカ ピュ
山本耕史 八嶋智人 小杉竜一(ブラックマヨネーズ)
山口勝平 森川智之 山本高広
木村昴 村瀬歩 小野友樹 花江夏樹/松岡茉優
間宮祥太朗 戸田恵子
原作:ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』
主題歌:SEKAI NO OWARI「図鑑」(ユニバーサル ミュージック)
監督:塚原俊哉
脚本:柿原優子
ヘアメイク/馬場麻子
スタイリスト/山田安莉沙
撮影/Kie Murai
取材・文/ふくだりょうこ

編集部のおすすめやお知らせをアップしていきます。
この著者の記事一覧へ