
2025.09.18
【ドイツ旅】何もない?つまらない?噂のフランクフルトを120%楽しむ観光案内
近隣のフランスやイタリアと比べると、観光面ではちょっと地味…? と思っていたドイツ。ですが、実は、アート、音楽、自然、建築、グルメと、見どころが満載! しかも、治安はいいし、ホテル代も比較的お手頃。完全に侮っていました…。
そんなドイツ旅の魅力をお届けする本記事では、フランクフルトをフィーチャーします。

フランクフルトはユーロ圏の金融を担う「欧州中央銀行」の本店がある、ヨーロッパ有数の金融都市であり、日本から直行便が飛んでいる空の玄関口です。立ち寄る旅行者も多い街ですが、ネットでリサーチしてみると、「つまらない」「退屈」「何もない」「行かなくていい」と、なかなかの辛口コメント…。

でも、実際に訪れてみると、都会的な雰囲気と歴史ある街並み、世界的な名画を収蔵する美術館、ここでしか手に入らないお土産、おしゃれなカフェと何でも揃うし、コンパクトにまとまっているので観光しやすいのも魅力。スルーしてしまうのはもったいない街でした。
今回は、短時間でも120%楽しめる、フランクフルト観光プランをご紹介します。
とりあえずここへ行けばOK!散歩しながら観光できる見どころ5選
フランクフルトの魅力をギュッと凝縮して楽しむ目安として必要な時間は半日。
レーマー広場と旧市庁舎の歴史的街並み、聖バルトロメウス大聖堂の荘厳な姿、マイン川に架かるアイゼルナー・シュテグ橋からの景色、そして世界的コレクションを誇るシュテーデル美術館まで。
歩いて回れる距離に見どころが揃っているので、街歩き感覚で観光できます。
■ドイツらしい風情がたっぷり!レーマー広場と旧市庁舎

ドイツらしい木組みの建物が広場を取り囲むように並ぶレーマー広場は、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのようなかわいらしさ。

広場に面した同じ形の3軒の建物が、レーマーと呼ばれる「旧市庁舎」。2階には、神聖ローマ帝国時代に皇帝の戴冠式が行われた皇帝の間があります。見学は不定期ですが、運よく公開日に訪れたらぜひ。
■フランクフルトのシンボル!フランクフルト大聖堂

レーマー広場から歩いてすぐのところにある、15世紀に完成したバロック様式の教会も必見! 正式名称は、聖バルトロメウス大聖堂。神聖ローマ帝国皇帝の選挙や戴冠式が行なわれていた、歴史的にも重要な建造物です。

堂内には、美しいステンドグラスや宗教画、精緻なレリーフなどが展示されており、静かで荘厳な雰囲気に包まれています。入場は無料。
また、併設されているドーム博物館(有料)では、皇帝にまつわるきらびやかな美術品や祭具などを鑑賞することができます。
さらに、高さ95mの塔に登ることも可能(有料)。塔の上からはフランクフルト市内を一望でき、開放的な景色を楽しめます。
■韓国ドラマ「涙の女王」にも登場!マイン川にかかる鉄橋アイゼルナー・シュテグ

レーマー広場からマイン川方面に歩いていくと、目の前に現れるのが「アイゼルナー・シュテグ(Eiserner Steg)」。ドイツ語で「鉄の橋」を意味する、マイン川に架かる歩行者専用の鉄の橋です。

橋の欄干には、恋人たちが願いを込めてかけた南京錠がびっしり。
韓国ドラマ「涙の女王」で、カップルが南京錠をかけるシーンが撮影された場所としても知られ、ファンにとっては“聖地”のひとつになっています。
橋を渡ると、対岸は歴史あるザクセンハウゼン地区。川沿いには遊歩道が整備され、ベンチでくつろぐ人や日光浴を楽しむローカルの姿も。
ここから眺める大聖堂とマイン川の風景は、フランクフルトならではの美しい眺めです。
■一流の芸術作品を独り占め!?シュテーデル美術館

マイン川沿いのシャウマインカイ通りは、数多くのミュージアムが立ち並ぶことから、「フランクフルト博物館通り」とも呼ばれています。アート好きなら見逃せないエリアです。
限られた時間の中でひとつだけ訪れるなら、シュテーデル美術館がおすすめ。イタリア絵画、印象派、彫刻、現代美術まで幅広くそろい。所蔵数はなんと10万点以上!


右:ボッティチェリ「若い女性の肖像」
館内には、ドガ、ルノワール、ゴッホ、クラナッハ、デューラーなど、誰もが知る名画がずらり。大人気のフェルメールや、来日する機会の少ないボッティチェリの作品も展示されています。
そして何より驚くのは、来館者の少なさ。有名作品が並ぶにもかかわらず、館内はゆったりとした空気が流れ、ほぼ貸切状態で名画と向き合える贅沢な時間が味わえます。混雑が当たり前の日本では考えられないような、奇跡的な鑑賞体験!!
じっくり見て回るなら1日かかる規模ですが、駆け足なら2〜3時間でも回れるので、お目当ての絵画だけでも鑑賞してみてください。
■フランクフルト市民の食の台所、クラインマルクトハレ

レーマー広場から徒歩5分ほど。地元の人々で賑わう屋内市場のクラインマルクトハレがあります。食文化や生活を垣間見ることができる市場は、観光客にとっても楽しい場所です。
ドイツのトイレは、デパートやスーパーも有料であることが多い中、こちらは無料で利用できるのも、ちょっとした嬉しいポイント。


市場の中には、新鮮な野菜や果物、パン、チーズ、肉、スパイス、デリなどがずらりと並び、歩くだけでも楽しい空間。ローカルたちが行列をつくる人気の惣菜店や、タパスやエスプレッソがいただけるカウンターもあるので、休憩がてらさくっと腹ごしらえするのもおすすめ。
観光の合間に立ち寄りたい、おしゃれカフェ3選
散策のひと休みや軽いランチにぴったり! 女子一人でも入りやすく、思わず長居したくなるおしゃれなカフェを3軒厳選しました。
フランクフルト在住のトレンド通女子がリアルに通うお店なので、味も雰囲気もお墨付きです。
■パンが最高に美味しすぎるベーカリーカフェ「mehlwassersalz」

レーマー広場や大聖堂から徒歩2〜3分。モダン・アート美術館の1階にある「mehlwassersalz(メールヴァッサーザルツ)」は、毎朝店内で焼き上げる自家製パンが評判のベーカリーカフェです。

店内では、こだわりのパンを使った朝食やブランチメニューが楽しめます。
おすすめは、サワードウブレッドを使った「アボカドトースト」(15ユーロ)。とろりとしたBIOのポーチドエッグ(2.5ユーロ)を追加すれば、さらに贅沢な味わいに。
サワードウは酸味控えめで、しっとりもっちりとした食感。アボカドのまろやかさとオリーブオイルの香りが絶妙にマッチし、ひと口ごとに素材の良さが感じられます。
ボリュームはしっかりあるので、2人でシェアするのもおすすめです。

人気店のため、日中は満席になっていることが多いとの情報も。確実に入りたい場合は、早い時間帯を狙うのがおすすめです。私も開店直後に訪れたところ、スムーズに入店できました。なお、お会計はクレジットカード決済のみです。
■絶品コーヒーが楽しめる「Hoppenworth & Ploch Altstadt Café」

フランクフルト発の人気ロースタリー(自家焙煎所)「Hoppenworth & Ploch(ホッペンヴォルト&プロッホ)」が手がける、旧市街(Altstadt)にあるカフェ。レーマー広場から徒歩数分という好立地なので、美味しいコーヒーを飲みたくなったらぜひこちらへ。
世界各国から厳選した生豆を自社で焙煎し、豆の特性を最大限に引き出したスペシャルティコーヒーが人気です。注文ごとに丁寧に抽出されるコーヒーは、香り高く、味わいはすっきり。

写真のカプチーノ(4ユーロ〜)は、コーヒーの芳醇な香りとコクに、ほんのりとベリー系のフルーティな酸味が重なり、ミルクのシルキーな口当たりと見事に調和。ドイツ滞在中、数多くのカフェでコーヒーをいただきましたが、ここがダントツで美味しかったです。
お支払いはカード決済のみ。会計もサービスもセルフ式で、支払い画面ではチップ(7%〜)の選択が求められます(スキップすることもできたのかもしれません)。少し戸惑う点ではありますが、それでも常に賑わっているのは、やはりその美味しさあってこそだと感じました。
■クラシカルな老舗カフェ「Café Laumer」で、優雅なスイーツタイムを

1919年創業、フランクフルトで最古のカフェとして知られる「Café Laumer(カフェ・ラオマー)」。レモンイエローの外観が目を引く佇まいは、胸が高鳴るかわいらしさ!
クラシカルな雰囲気の中でゆったりと朝食やビストロメニュー、スイーツが楽しめます。
アクセスは、街の中心地「Hauptwache」駅からUバーン(U6・7)で2駅の「Westend」駅のすぐそば。Feuerbachstraße方面の出口から出て、徒歩1分ほどの距離です。
レーマー広場周辺にも素敵なカフェは多くありますが、この静かで落ち着いた雰囲気は、わざわざ足を延ばす価値アリ!

店内にはドイツの伝統的なケーキが揃えられていますが、試してみたいのが、フランクフルト名物の「フランクフルター・クランツ(Frankfurter Kranz)」(5.5ユーロ)。
その名の通り“フランクフルトの王冠”を意味するケーキで、王冠をかたどったリング型のスポンジに、バタークリームを重ね、表面にはキャラメリゼしたナッツがまぶされています。トップには鮮やかなチェリーが飾られ、ちょっとレトロな雰囲気もいい感じ。
なぜか、フォークはケーキに刺さったまま提供されますが、ドイツではスタンダードなのかもしれません(笑)。
バタークリームと聞くと重たさを想像しがちですが、口あたりは意外にも軽やか。甘さはしっかり目で、どこか懐かしさを感じる素朴な味わいです。
サイズは日本のケーキの倍ほどあり、シェアするのにちょうど良いボリューム感かも。
サービスもフレンドリーで丁寧。つい長居したくなる居心地のよさ。なお、クレジットカードは使えないため、現金の用意をお忘れなく。
限定品や日本未上陸も!フランクフルトで絶対買いたいお土産リスト
旅の余韻を持ち帰れる現地ならではの逸品たち。
日本未上陸の味や、ここでしか出会えない限定デザインが、日本よりお得に手に入ります。
フランクフルトを訪れたら、ぜひチェックしてみてください。
■日本でも大人気!シュニール織で有名なハンカチブランド「FEILER」

ふわふわの手触りと華やかなデザインで、日本でも熱烈なファンを持つ「FEILER(フェイラー)」。実はドイツ生まれのブランドで、その旗艦店がフランクフルトにあります。
店内には、人気のハンカチのほか、大判タオルやバッグ、ベビーアイテムなど幅広いアイテムが並びます。

デザインは基本的に日本のラインナップとは異なっていて、ドイツでしか手に入らないものばかり。ドイツの都市や名所をモチーフにしたフランクフルト限定のシリーズは、旅の記念にぴったりの一枚です。

さらに価格も日本よりリーズナブルで、ハンカチなら9.9ユーロ。1,000円ほど安く手に入れられます。ドイツは50.01ユーロから税金の還付が受けられるので、タックスフリーの書類をもらってくださいね。
■日本未上陸!“長谷部チョコ”の愛称で知られる「Goufrais」が絶品!

“長谷部チョコ”と呼ばれているのは、生チョコレートブランド「Goufrais(グフレ)」。ドイツ在住、元サッカー日本代表・長谷部誠さんが日本へのお土産として愛用していることから、サッカーファンの間でこの愛称が広まったそうです。
一口サイズのクグロフ型のトリュフは、表面にたっぷりとココアがまぶされており、なめらかな口溶けと芳醇なカカオの香りが魅力。一つ食べるとつい手が伸びる、危険な美味しさです。

青いリボンがかけられた高級感のある金色のパッケージは、お土産にもおすすめ。ただし、18℃以下での保存が推奨されているので、夏場のお持ち帰りは要注意。お試し用にちょうどいい5個入り(3.49ユーロ)もあるので、見かけた際には手に取ってみてください。

購入できるのは、街の中心・Hauptwache(ハウプトヴァッへ)駅直結のデパート「GALERIA Kaufhof(ガレリア・カウフホフ)」の地下食料品売り場。
「FEILER」からも歩いて2分ほどなので、ショッピングの合間に立ち寄りやすいロケーションです。また、デパート最上階のフードコートからは街を一望できるので、時間があればぜひ。
■世界の高級ホテルで愛される、ドイツ発の紅茶「Ronnnefeldt」

世界の5つ星ホテルやドバイの7つ星ホテルで採用される、歴史あるドイツの紅茶メーカー「Ronnefeldt(ロンネフェルト)」。1823年にヨハン・トビアス・ロンネフェルト氏が創業し、王族や一流ホテルに愛され続けてきたブランドです。

フレーバーは多彩で、ティーバッグから量り売りまで揃います。
日本人に人気なのが「アイリッシュモルト」。アッサムにアイリッシュウイスキーのアロマと少量のカカオをブレンドした紅茶で、ミルクティーにしていただくのがおすすめです。
甘い香りがふわりと広がり、まったりとした濃厚な風味が本当にたまりません!
日本でも取り扱いはありますが、現地価格は断然お得。購入すると試飲サイズのおまけがもらえるのも嬉しいサービスです。今ちょうど、アイリッシュモルトのミルクティーをいただきながらこの原稿を書いているのですが、「今まで飲んだミルクティーの中で圧倒的に美味しい!! もっと買ってくればよかった…」と大後悔中です(笑)。

フランクフルト店は、「GALERIA Kaufhof」の隣にあるショッピングモール「MyZeil(マイツァイル)」1階にあります。イタリアの建築家マッシミリアーノ・フクサスが設計した、近未来的な外観が目を引く施設です。
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都会的な高層ビル群と中世の街並みが共存し、美術館や歴史的建築、カフェ、ショッピングまで、コンパクトなエリアに見どころが凝縮されているフランクフルト。
アクセス面でも、フランクフルト国際空港から市内中心部まで電車で約15分と抜群。
ヨーロッパ旅行の玄関口としての利便性を活かし、トランジットや短期滞在でも十分に満喫できます。機会があればぜひ訪れてみてくださいね!

美容ライター。早稲田大学卒業後、アパレル、出版社勤務を経てフリーに。女性誌やWEBで、美容をはじめ、健康、美食に関する記事、著名人へのインタビュー取材などを担当。好きなことは、スキンケアとファッションと旅行。猫が好き。
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