
2025.08.22
【絶景旅】フランクフルトから日帰りOK!世界遺産のライン川クルーズで、古城巡り&空中散歩
2025年6月、ドイツに2週間ほど滞在し、5つの都市を巡ってきました。実際に足を運んでみて驚いたのが、アート、音楽、自然、建築、グルメ…とにかく観光資源が豊富なこと。近隣の観光立国のフランスやイタリアと比べると、治安は穏やかで、ホテル代もまだ手頃。「ドイツって、実はかなり旅しやすい国なのでは?」と、実感しました。
とはいえ、日本ではまだまだ知られていない場所や楽しみ方も多くあります。そんなドイツの旅の魅力を届けします。
今回は、フランクフルトから日帰りでも行けるライン川クルーズ。美しい古城が点在し、ワイン畑の広がる風景を眺めながら進む船旅は、ドイツらしさをたっぷり味わえる贅沢な時間でした。
日本発のツアーや現地のオプショナルツアーもありますが、個人で回れば自由度も高く、なんといっても費用も抑えられるのがメリット。この記事ではチケットの買い方やおすすめのルートもご紹介します。
世界遺産・ライン川とは?

そもそもライン川とは、ドイツをはじめ、スイス、オーストリア、フランス、ルクセンブルク、リヒテンシェタイン、ベルギー、イタリア、オランダの9カ国を流れる、ヨーロッパで最大級の河川。全長はなんと1,320km! そのうち、最も美しいとされるビンゲン〜コブレンツ間の約65kmは「ロマンティック・ライン」と呼ばれ、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
ライン川クルーズおすすめコース&チケット購入方法
今回利用したのは、「ビンゲン〜リューデスハイマー社(Bingen-Rüdesheimer)」のライン川クルーズです。観光客向けにわかりやすく運行されており、個人旅行でもスムーズに利用できます。
乗船時間やアクティビティによって料金は変わりますが、特におすすめは「リングチケット・プラス」。
ライン川クルーズに加え、古城見学、リフトチェア、ミニハイキング、絶景展望台、ケーブルカーまでセットになって26€。コスパ抜群です。
ライン川クルーズの拠点となる街・リューデスハイムへは、フランクフルト中央駅から列車で約1時間10分。駅を出て、ライン川を右手に見ながら5分ほど歩けば船着場に到着します。

船着場のチケット売り場で「リングチケット・プラス」を購入しましょう。事前にオンラインでも購入可能ですが、当日券でも問題なく買えました(2025年6月現在)。
出発便は1日3本(10:30、12:10、14:00)。私は12:10発の便に乗船しました。チケットは乗船する時に係員に提示する必要があるので、なくさないようにしましょう。
少し早めに到着したので、近くのカフェで川を眺めながら一息。旅の始まりにぴったりな時間でした。
12:10 リューデスハイムの船着場から出発

船は2階建てで、上階には屋根のない開放的なエリアがあります。青空の下、ライン川の風景を存分に楽しめるため、特に人気の席です。
ただ、この日は気温30℃超えの夏日。天気には恵まれたものの、日よけがまったくないため、日差しはかなり強烈でした。快適に過ごすためにも、日焼け対策はしっかりと。帽子やサングラスに加えて、薄手の長袖シャツがあると安心です。水などの飲み物もお忘れなく!

リューデスハイム(Rüdesheim)を出発したあとは、ビンゲン(Bingen)、アスマンスハウゼン(Assmannshausen)を経由して、目的地のラインシュタイン城(Burg Rheinstein)を目指します。
川の流れに沿ってゆったりと進む船旅は、それだけでも十分に心地よい時間ですが、船内での飲食も楽しみのひとつ。ソーセージやフライドポテトなどの軽食に加え、ソフトドリンクやアルコール類も用意されています。ドイツらしい味わいを楽しみながら、絶景とともに過ごすひと時は格別です。
>>メニューの詳細はこちら

クルーズが始まると、視界いっぱいに広がるのは、ライン川両岸の絶景。丘の斜面には葡萄畑が広がり、かわいらしい街並みや古城のシルエットが現れては消えていきます。
12:45 ラインシュタイン城の船着場に到着

途中のビンゲン、アスマンスハウゼンの船着場はスキップして、ラインシュタイン城で下船。35分ほどの短いクルーズでしたが、それがかえってちょうど良かったなと感じました。見どころが連続しているぶん、景色の感動が薄れないうちに終わるので、最後まで飽きずに楽しめます。
人の流れに沿って歩いていくと、「Herzlich Willkommen(ヘアツリッヒ・ヴィルコメン)=心から歓迎します」と書かれたゲートが見えてきます。そのままゲートをくぐって進みましょう。少し上り坂になっていますが、目的地のラインシュタイン城はもうすぐそこ。

ライン川沿いに数多く点在する古城のなかでも、特に美しい城として知られているラインシュタイン城。その優雅な佇まいと眺望の良さから、観光客の間でも高い人気を誇る存在です。
築城の正確な年代は明らかになっていませんが、文献に初めて登場するのは1323年。当時はマインツ大司教領の所有として記録されています。
しかし、17世紀には荒廃が進み、長らく放置されていた時期もありました。

現在の姿に生まれ変わったのは、1823年。プロイセン王子フリードリッヒがこの地を買い取り、1823〜1829年にかけてネオ・ゴシック様式で見事に復元されました。
その後、1975年には一時、インドの宗教団体に売却される計画が進んでいたものの、オペラ歌手のヘルマン・ヘッヒャーがこれを買い取り、保存活動に尽力。以来、ヘッヒャー家が代々この城を守り続け、今なお多くの訪問者を迎え入れています。

ラインシュタイン城は、現在では古城博物館として一般公開されています。入館料もクルーズのチケット代に含まれているので、ぜひ足を運んでください。すべての部屋を回ると、大体2時間くらい。クルーズの出発時間に遅れないよう、時間には要注意です。
館内には、ステンドグラスの装飾窓やフレスコ画、武器、調度品など、歴史的に価値の高いものばかり。どれも保存状態がよく、時代の空気をそのまま閉じ込めたような佇まいでした。
舞踏会が行われていた「騎士の間」では、天井の装飾や壁のディテールに目を奪われます。まるで中世の世界にタイムスリップしたような感覚に包まれながら、ゆっくりと見学を楽しみました。

丁寧に手入れされたバラの庭園も! おごそかなお城の雰囲気とよく調和していて、しばらく佇んでいたくなるような美しさです。

眺めのいいレストランや、宿泊できる客室もあるそう。いつか泊まってみたい!
ちなみに、場内にあるトイレは無料で利用できるので、ぜひ行っておいて。
14:40 ラインシュタイン城発→14:45 アスマンスハウゼン着

ラインシュタイン城の見学には、たっぷり2時間ほどかけました。
美しい展示や庭園をじっくりと楽しんだあとは、14:40発のクルーズ船に間に合うように、再び船着場へ。この便を逃すと、次の出発は16:20までありません。時間には少し余裕を持つのがおすすめです。
14:40の便に乗ると、次の停泊地はアスマンスハウゼン(Assmannshausen)。船での移動時間はわずか5分ほどですが、到着してすぐに目に入るのは、まるでおとぎ話から抜け出したような素敵な街並み。街全体が絵本のようで、思わず散策したくなる可愛らしさです。


右:アスマンスハウゼンのチェアリフト乗り場
後ろ髪を引かれながらも、チェアリフト乗り場を目指して歩き出します。
まずは、Googleマップで「Höllengasse(ヘレンガッセ)」と検索してください。美しい木組みの建物(写真左)が見えてきたら、その建物に向かって右側の細い道に入ります。
そのまま道なりに進むと、「Niederwald(ニーダーヴァルト)」と書かれた看板が見えてくるので、階段を登りましょう。リフト乗り場までは徒歩10分ほど。街並みが楽しいのであっという間です。
チェアリフトで空中散歩&まさかのハイキング!

チェアリフトは2人乗りで、まるでスキー場にあるリフトのような乗り物。足元が開放されていて、乗ってみると思った以上にスリリングです。高所が苦手な人はちょっとドキドキするかもしれませんが、速度はゆっくりなのでご安心を。
進行方向は前向きですが、実は絶景が広がるのは背中側。ライン川とブドウ畑の景色が見えるはず…だったのですが、後ろを振り返って撮影する余裕がありませんでした。
乗車時間は15分ほど。途中からは前方の景色がやや単調になってきて、少し飽きてしまったのも正直なところ(笑)。とはいえ、緑の中をのんびりと進む時間は、やっぱり特別な体験でした。


乗り場近くには、放し飼いにされているシカを発見! 白っぽい毛並みで可愛かったです。

さて、ここからが本番! ニーダーヴァルトの記念碑を目指すのですが、道中まさかの徒歩45分! 「え、ウソでしょ」と、一瞬ひるみつつも、森の中を進んでいく決意をしました。
でも、道はフラットで歩きやすいし、何より、木漏れ日の中を歩くのは本当に気持ちがいい!
ちなみに、私は普段、ほとんど歩かないタイプ(iPhoneの歩数計が一桁台の日が普通にあります)。そんな私でも、思いのほか楽しく歩けたので、ハイキング慣れしていない方でも安心だと思います。
とはいえ、ランチを食べ損ねていたせいで、途中から少し空腹に…。スナックや軽食をバッグに忍ばせておくと、こういう時に助かります。
旅のハイライト。立ち尽くしてしまうほどの眺望が!

森を抜けると…視界が開けて、素晴らしい眺望が目に飛び込んできました。
眼下には、整然と広がるブドウ畑とゆったり流れるライン川。その向こうには、対岸の街並みがどこまでも連なり、青空の下に美しく溶け込んでいました。
まさに“絶景”という言葉がぴったりの風景。これまでの道のりや疲れも、すべて報われたような気持ちになりました。


ニーダーヴァルトの最大の見どころ、ニーダーヴァルト記念碑です。
この記念碑は、1871年のドイツ統一を記念して、ヴィルヘルム1世の命により1883年に建てられたものです。実際に目の前に立ってみると、そのスケールに驚きました。想像していたよりもはるかに大きく、レリーフも細部まで丁寧に造り込まれていて、思わず見入ってしまいました。
訪れたのはちょうどラベンダーが咲く季節。蜜を集めにきているミツバチの姿に和みました。紫色の花々と、その奥にそびえる記念碑のコントラストがとても美しかったです。

しばらく絶景を堪能したあとは、名残惜しさを感じつつ、ゴンドラリフトでリューデスハイムの麓へと戻ります。帰りのゴンドラは窓のない開放的なタイプで、風を感じながら写真撮影ができました。

眼下には、一面に広がるリューデスハイムのブドウ畑。ライン川や街並みを見渡せる景色と相まって、思わず息をのむ美しさです。行きのチェアリフトとはまた違う視界の広がりに、思わず感激してしまいました。
ラインの真珠・リューデスハイムのつぐみ横丁へ


リューデスハイムの麓に降りると、観光客で賑わう街の風景が広がっていました。どこを歩いても、ドイツらしさあふれるノスタルジックな街並みが続いていて、ただ散策するだけでも気分が高まります。
なかでもぜひ訪れてほしいのが、街の中心部にある全長150メートルほどの細い路地。「つぐみ横丁(Drosselgasse)」と呼ばれるこの通りには、両脇にワイン酒場がずらりと並び、昼間から地元の白ワインを片手に語らう人たちでにぎわっていました。
石畳の路地を歩きながら、グラス片手に過ごす人たちの姿を見るだけでも、この街ならではの雰囲気を感じられます。ワイン好きな方はもちろん、そうでなくても、ぶらぶら歩くだけで十分に楽しいエリアです。次回はぜひ、ここに宿泊してみたい!
ドイツの魅力を一度に楽しめる、大満足のライン川クルーズ

5時間ほどのプチトリップながら、ライン川クルーズ、古城見学、空中散歩、プチハイキングと大満足の内容でした。日常を忘れさせてくれる豊かな自然と歴史に包まれた、静かな時間が流れています。時間に余裕がない方は、古城見学が含まれない「リングチケット(22€)」もおすすめです。
フランクフルトから日帰りで訪れることができる気軽さも、ライン川クルーズの魅力のひとつ。ほんの少し足を伸ばすだけで、別世界のような風景が広がっています。ドイツを旅するなら、ぜひ一度足を運んでみてください。

美容ライター。早稲田大学卒業後、アパレル、出版社勤務を経てフリーに。女性誌やWEBで、美容をはじめ、健康、美食に関する記事、著名人へのインタビュー取材などを担当。好きなことは、スキンケアとファッションと旅行。猫が好き。
この著者の記事一覧へ