
2025.05.05
ヨーロッパで最も豊かな小国「ルクセンブルク」で歴史と美食観光
実は「世界一豊かでお金持ちの国」として知られているルクセンブルク。日本からは遠く離れたヨーロッパにある小国なので、初めてその名を聞く方もいるかもしれません。
エリア全体が世界遺産として登録されている旧市街を歩き、夏と冬の異なる季節にそれぞれ実際に訪れたパティスリーやレストランなどのグルメをご紹介しながら、ルクセンブルクの様子をお届けします!
ルクセンブルクってどんな国?

ルクセンブルクは、ベルギー、フランス、ドイツに囲まれたヨーロッパの小さな国で、正式名称は「ルクセンブルク大公国」という世界で唯一の大公国です。
周辺の国々との攻防や長い歴史の中で積み上げられた様々な文化が、この小さな街に詰め込まれています。

ベルギー、オランダと合わせて「ベネルクス三国」とも呼ばれるこの国は、世界トップクラスの豊かな経済大国とあり、とても穏やかで素敵な雰囲気。中世と現代が融合した景観も観光客に人気です。

写真の大公宮殿(Palais Grand-Ducal)には君主である“ルクセンブルク大公”が住んでおり、現在は迎賓館としても使われていて、衛兵交代を一目見ようと訪れる人も多いのだとか。
通常は一般に公開されていませんが、夏期シーズンのみガイドツアーで内部の見学ができるので要チェック。

なんとこの国の公共交通機関は全て無料! ルクセンブルクは、バスやトラムなどの公共交通の無料化を世界で初めて実施した国として注目されたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。スムーズに移動ができるので非常に快適です。

ワインの1人当たり年間消費量は、ルクセンブルクが世界一。国産ワインのほとんどが国内で消費されてしまうため、とても希少。日本はもちろん、ヨーロッパでも滅多に手に入れることができないため、訪れた際はぜひご賞味あれ。

小さいボトルはお土産にもピッタリ。購入した「L’Auxerrois(オーセロワ)」は、ルクセンブルクを代表するとても珍しいブドウ品種です。 繊細なアロマ、果実味、その芳醇さが特徴。
フルーツや花の香りが華やかに広がって、バランスよく飲めるワイン。ワインショップの他、フランス系スーパーのMONOPRIXでも購入することができますよ。
ミシュランが軒を連ねる、知られざる「美食大国」

知る人ぞ知る「美食大国」でもあり、ミシュランの星付きレストランも軒を連ねます。
この国の料理が豊かになる一番の理由は、その恵まれた環境。先述の通り、隣は「美食のフランス」、「食材の宝庫ベルギー」、「職人の国ドイツ」。それゆえ、クオリティーの高いものが集まり、豊かな食文化が発展しています。

海に面していない国ながら、新鮮なシーフードを堪能することができます。生のオイスターやボイルされた甲殻類は見た目も華やかに、存分に海の幸を味わえます。

「マッシュポテトとホタテのソテー」や「牛のカルパッチョ」などの手の込んだ前菜も種類が豊富。大皿をみんなでシェアして、ゆったりとした食事時間を楽しむ方が多いです。

レストランはもちろん、スイーツやショコラティエの有名店も数多くあります。
【Ladurée Luxembourg(ラデュレ)】
日本でもお馴染み、フランス・パリの老舗有名パティスリー、ラデュレ。可愛らしい外観がひときわ目を惹きます。

世界三大マカロンの代表格で、マカロン発祥のお店とあり、どれにしようか目移りしてしまうほどたくさんの種類のマカロンが並びます。

ルクセンブルクでは、3つある公用語の中でも、フランス語が最も一般的に使われており(他はドイツ語とルクセンブルク語)、店内でもフランス語が飛び交います。

4種のマカロンと紅茶のセット、バラとフランボワーズの香りがするスイーツを堪能。口に含むとまるで香水のような華やかな香りがふわっと鼻から抜ける上品さ。本物のマカロンの味を知り感動!

プレゼントにも喜ばれる可愛らしいパッケージも。ルクセンブルクにいながらフランスの風も感じる優雅なムードをぜひお土産に。

【OBERWEIS(オーバーワイス)】
ルクセンブルクに来たら必ず訪れて欲しいオススメの場所。創業は1964年、ルクセンブルク大公宮御用達のパティスリーとしても有名です。

市内に数店舗ありますが、訪れたこちらは本店。品揃えも豊富で、食事系からスイーツまで幅広いラインナップ。

それぞれテイクアウト、店内飲食が可能。朝からオープンしているため、軽い朝食を楽しみに訪れている観光客、地元の方で賑わっていました。

イートインしたい場合は1階でオーダーし、2階席でいただくことができます。または直接2階にあがり、メニューを見ながらのオーダーも可能です。

オススメのスイーツと、1度は食べてみたいと思っていた伝統料理を選択。さすが大公宮御用達とあり、芸術のような仕上がりに食べるのがもったいないと思うほどの繊細さ。

こちらはルクセンブルクの郷土料理「Pate au Riesling (パテオリースリング)」。豚肉のパテをパイ生地で包んで焼いた料理 です。

この料理の特徴は、豚肉のパテとルクセンブルク名産の白ワインであるリースリングのジュレをパイ生地で包んでいること。
お肉料理といえば赤ワイン…となりそうですが、こちらは肉料理でありながら白ワインと合わせるために作られたんだとか! 一緒にリースリングワインを合わせてみる通な楽しみ方はいかがでしょう。

【GENAVEH(ジェナヴェ)】
ショッピングストリートには数多くのショコラティエが並びますが、中でもルクセンブルクのブランドで、06・08年とパリのサロン・デュ・ショコラで特別栄誉賞を受賞した「Genaveh(ジェナヴェ)」は見逃せません!

2022年には大公宮公式サプライヤーの称号を獲得。国内でも数少ない授与企業ということからも、そのレベルの高さがわかります。
コンセプトは「イノベーション」で、一目でジェナヴェとわかる美しいショコラ、パッケージが目を惹きます。この手作りの美味しさは5つ星ホテルでも御用達。ぜひ見つけた際はお試しくださいね。

【CHOCOLATE HOUSE(チョコレートハウス)】
これまでご紹介したブランドとは一風変わり、こちらは観光客だけでなく地元の方も日常遣いする大衆的なチョコレートショップ。

15世紀の歴史的建造物を利用した建物が使われ、一粒単位で購入することができる色とりどりのチョコレートや、ボリューム満点のケーキなどが並びます。
こちらのチョコレートは、人口香料や人口着色料、保存料を使わずに、天然素材にこだわっています。

名物は「チョコスプーン」のホットチョコレート。
ベーシックなチョコレートは40~85%までのカカオがあり、ミルクの種類も牛乳や豆乳、ライスミルク、オートミルクから選択可能。ラムなどのアルコールが入ったものもあり、寒い冬にはほっと温まる逸品。
次第に溶けてほんのり甘くなったミルクを飲みつつ、とろ~りチョコがついたスプーンを口に含み、冬に訪れた際は至福の時間でした。
高級ブティック、世界遺産の旧市街をぶらり探索

城壁に囲まれたルクセンブルクの街は、旧市街全体が世界遺産ということもあり、まるで絵本に出てくるような世界観で見どころが集中しています。
歴史を感じさせる美しい建物や城跡など、おすすめのスポットが盛りだくさん。グルメでお腹を満たしたら、散策に出かけてみましょう。

ギュッと街の中心が凝縮されたエリアでは、歴史を感じる建築物を使った高級ブティックが並び、歩いているだけで現代と中世、両方の雰囲気を楽しむことができます。
【Garden Luxembourg(ガーデンルクセンブルク)】

ぐるりと街を囲う要塞を利用した庭園。岩壁に作られた階段を下りて渓谷に入り、景色を眺めたりハイキングするスポットもあり、自然を堪能しに訪れる人も多いスポット。
ルクセンブルク国旗とEU国旗が並び、美しく手入れされた庭園は温かい季節になると美しい花々が咲きます。
【Pont Adolphe(アドルフ橋)】

巨大な石造りのアーチの橋。国民的シンボルの一つと言っても過言ではない、このアドルフ橋はルクセンブルクでもっとも広く知られる観光名所の 1 つ。
鉄道が通り、徒歩でも歩いて渡ることができます。足がすくみそうなほどの高さに心臓がギュッとなりますが、橋の上から眼下に広がる壮大は景色は必見です。
【展望スポット】

Chemin de la Corniche(ヨーロッパで最も美しいバルコニー)と言われている場所。ここから望むアルゼット渓谷や、岩造りの要塞からは息を飲むようなパノラマビューを堪能できます。
高台の上からは、丸ごと世界遺産となっている旧市街を見渡すことができます。岩に囲まれた要塞都市ならではの、ルクセンブルクの素晴らしい景色を観ながらゆっくりと散歩をするのにぴったりです。
【Michaelskirche(サンミッシェル教会)】

ルクセンブルクで最も古い礼拝堂のひとつ。起源は10世紀に遡り、歴史の中で何度も破壊と再建、拡張を繰り返してきたのだとか。そのため、ロマネスク様式からバロック、ゴシック様式まで様々な建築様式が調和し組み合わさっていると言われています。
この日はコンサートが開催されていました。ステンドグラスが繊細で美しく、こじんまりとした雰囲気が喧騒から離れ心穏やかに過ごせます。
【Musée National d’Histoire et d’Art(国立歴史 美術博物館)】

公共交通機関は全て無料のルクセンブルク。なんと国立歴史・美術博物館も一般展示は無料! 館内は地上3階、地下5階とボリューム満点で、ルクセンブルグの歴史と美術、考古学の展示が中心です。
渓谷・断崖という自然の地形を最大限に活用した城塞都市の、紀元前12,000年前の青銅器時代のものから、現在に至る歴史を知ることができる博物館は、隣国からの侵略や奪還含め観光だけでは知り得なかった事実を知る良い機会になりました。
豊かで現代と中世が交差する、大きな小国の魅力

冒頭で「ルクセンブルク」と聞いて思い浮かべた時と、今の印象はいかがでしょうか?
「ヨーロッパにはこんな国もあるんだ!」と好奇心くすぐる小旅行を楽しんでいただけていたらとても嬉しいです。実際に訪れてみるのはもちろん、日本でも”ルクセンブルク”の文字をご覧になったらぜひ風景と共に想いを馳せてみてくださいね。

ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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