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2025.04.18

ヴィヴィアン・ウエストウッドのショーを観にパリコレへ。家族で訪れたフランス旅行記

ロンドン在住のライター・ウエストウッド知佳さんによる連載「My cup of tea」。イギリス英語の表現にある”Not my cup of tea” は「好みではない、好きではない」、”My cup of tea” はその逆に「好みである、好きだ」という意味になります。

この連載では、知佳さんの「My cup of tea=イギリスでの生活や少し足を伸ばして訪れたヨーロッパ旅行」でのエピソードなどをご紹介いただきます。

第六回は、「家族で訪れたパリコレ」について書いていただきました。

週末を使ってたったの2泊ですが、ヴィヴィアン・ウエストウッドのパリコレのショーを観るために、1年半ぶりにパリに行ってきました。

ロンドンのセントパンクラス駅からユーロスターに乗って、パリまではたった2時間半! なので、私の感覚では地元博多から新幹線で大阪まで行くような感じ。そんな気軽な旅のはずが、今回は思いがけないアクシデントに見舞われ、いつもと違う旅になったのでした。

金曜日、息子を学校に早めに迎えに行き、荷物を持って地下鉄の駅まで行こうとしているところで、なんとユーロスター全便キャンセルのお知らせを受けたのでした。なんでもこの日にパリ郊外のサン・ドニで、第二次世界大戦時の不発弾が発見され、その処理をするため全日ユーロスターは運行しないとのこと。当然翌日の便も飛行機も全部売り切れ。

しかし、さすがウエストウッドです!(イギリスでは義母のブランドのことをウエストウッドと呼びます)スタッフでまだパリに着いていない人たちのために、会社が緊急手配したバンに乗って陸路でパリまで行けます、とのこと。

陸路での行き方は2通りあって、ドーバー海峡まで行って車ごとフェリーに乗せてフランス側に渡るか、車ごと列車に乗せてユーロトンネルを通って行くかです。今回は時間がないのでユーロトンネルを使うとのこと。揺れまくる、中だけラグジュアリーなバンに乗り込み、14時45分にセントパンクラス駅を出発しました。

いつもの倍近くの3時間かかって、やっとドーバーに到着。まずはイギリス側の出国審査をします。そのまま車を進めると、次はフランスの入国審査です。そうすることでフランスに着いてからの旅がスムーズになるのです。

審査が終わると車ごと電車に乗り、30分後にはフランスのカレーに着きます。カレーからパリまでは3時間半のドライブ。深夜0時半にやっとウエストウッドのショールームに到着しました。

翌日は打って変わって華やかなショーの日。パリコレ時期はパリの街がとにかく華やか! 通りを歩いている人たちの装いを見るだけでもその時期の特別で煌びやかな世界を味わえるものです。

今回のショーは、義母の夫・アンドレアスの得意とする部分がとてもよく表現されていました。義母と彼が一緒に作り上げる様子を何度も目にしてきましたが、二人の物語を紡いでいるような懐かしく暖かい場所に私たちを連れて行ってくれたなと、家族としてとても嬉しいショーでした。

ショー当日はインターナショナルウーマンズデーだったこともあり、最後にランウェイを歩くアンドレアスにミモザのブーケをもらいました。

ショーの後はバックステージでスタッフやゲストと談笑しながらのシャンパンタイムです。

終えると、私たちはパリ在住の私たちの友人でアーティストのTAKUMAX-takuma sakamotoと遅めのランチに。息子が毎度パリに行く目的はたったひとつ、TAKUMAXに遊んでもらうため。いつもありがとう!

ロンドンに帰るまで、1秒たりとも無駄にはしません。ショー翌日もとても天気が良かったので、滞在先のヴァンドーム広場からチュイルリー公園経由でエッフェル塔まで歩き、エッフェル塔からボートに乗ってノートルダム大聖堂に行きました。

火事で焼けてしまって以来やっと一般公開が再開されたことを、再開式典の祭服をデザインしたカステルバジャックに教えてもらい行ってみたのでした。歩いて観光しやすいパリはいつでもとても美しいですね。

そうこうしている間に帰りの電車の時間になり、北駅に行き帰路は順調にユーロスターに。

2時間半乗ってセントパンクラス駅に着き、降りてまず義母の大親友だったトレイシー・エミンのネオンサインに迎えられ、あぁ、ロンドンに帰って来たなと毎度ホッとするのでした。

文/ウエストウッド知佳

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