【俳優・田畑志真】目標の朝ドラ出演を叶えた、夢を夢で終わらせない原動力とは?
INTERVIEW

2025.03.05

【俳優・田畑志真】目標の朝ドラ出演を叶えた、夢を夢で終わらせない原動力とは?

最終回まで残りわずかとなったNHK連続テレビ小説「おむすび」。ヒロイン・結(橋本環奈)の幼馴染“なっちゃん”こと菜摘を好演しているのが、田畑志真さんです。その天真爛漫な笑顔でお茶の間を明るく照らしています。

所属事務所の先輩である有村架純さんに憧れ、俳優を志した田畑さん。朝ドラに出演するという長年の夢を叶え、4月2日(水)から始まる松村沙友理さん主演のドラマ「やぶさかではございません」(テレビ東京系)にもレギュラー出演が決まっています。

そんな着実に夢を叶えてきた田畑さんに、夢を夢で終わらせないための原動力についてお聞きしました。

実は人見知りなんです

――もともと朝ドラに出演することが夢だったとのことですが、改めて出演が決まった時の心境やご家族の反応について教えてください。

やっぱり一番は驚きと、「ついに出られるんだ!」っていう嬉しい気持ちが大きかったです。家族もすごく喜んでくれました。ただ、出演が決まってからクランクインまでの時間が長かったので、その間はドキドキしました。

――田畑さんは「おむすび」という作品のどこに一番魅力を感じていますか?

人と関わることによって色んな感情になれるじゃないですか。そういう人との繋がりの大切さを描いているところが好きです。改めて出会いって素敵だなって思わせられます。

――登場人物もみんな個性的で明るくて朝から元気になれますよね。一方で、本作は震災のことも真正面から描いています。田畑さんが演じる菜摘も幼い頃に阪神・淡路大震災を経験した役柄ですが、撮影までに何か準備したことはありますか?

私は2005年生まれなので、阪神・淡路大震災の時はまだ生まれてなかったんです。だから、ほとんど何も知らない状態だったので、インターネットで当時のことを調べたり、YouTubeで私と同い年の子たちが語り部として地震について語っている動画を観たりしました。それでもこの作業だけでは実際に被害に遭われた方と同じ気持ちにはなれないと思ったので、さくら通り商店街のモデルになっている商店街に撮影前に行き、震災の時から営業している喫茶店のおばあちゃんからお話をお伺いしました。話しているうちにすっかり仲良くなっちゃいました(笑)。

あと、私は熊本出身で、2016年の熊本地震の時はすでに両親と上京していたんですが、おじいちゃんとおばあちゃんは熊本にいたので、二人から当時の話も聞きました。熊本城が大きな被害を受けたり、かつて見ていた町並みが崩れていく光景をニュースで目の当たりにして、とても悲しかったので、その時の感情もリンクさせながら演じることができたのかなと思います。

――そういう人とすぐに仲良くなれるところが、天真爛漫な菜摘と重なります。

でも実は、どちらかといえば人見知りなんですよ。一度話せばどんどん打ち解けられるんですけど、最初に声をかける時はすごく緊張します。

――それは共演者の方に対してもですか?

はい、緊張します。自分からはなかなか話しかけられなくて、待っちゃうタイプですね。今回も橋本環奈さんが声をかけてくださって。お互いに野球好きで、巨人ファンなので休憩中はその話で盛り上がりました(笑)。お母さん役のキムラ緑子さんも撮影で会うたびに「娘〜!」って、話しかけてくださって…お二人の気さくさに甘えてしまっていました。

――さくら通り商店街のメンバーは特に個性的な方が多いので、撮影も楽しそうですね。

すごく楽しかったですね。商店街のシーンはアドリブも多かったんですが、緑子さんや内場勝則さんをはじめ、何でも拾ってくださる方ばかりだったので安心感がありました。

朝ドラで得た、“物語の一員”になれたという実感

――本作ではギャルの文化やマインドも描かれていますが、田畑さんはギャルに憧れを抱いたことはありますか?

憧れというより、純粋にすごいなと思っていました。私が普段あまりメイクをしないほうなので、あんな風にメイクや洋服などのオシャレを楽しんでるところや、長い爪だってきっと生活しづらいと思うのに、自分の好きを貫いているところがかっこよくて尊敬します。

でも、私も劇中でギャルメイクをした時にすごく気分が上がったんですよね。緑子さんとも二人で楽しくなっちゃって、「なんかいいね、これ!」って言い合ってました(笑)。

――菜摘は、ギャルはギャルでも少し大人っぽい感じでしたよね。緑子さんはかなりド派手で驚きました(笑)。

そうなんです、私は大人ギャル? みたいな。緑子さんは美脚すぎて…! とっても素敵でした。

――もうすでにクランクアップされているとのことですが、今の心境としてはいかがでしょう。

キャストの方はもちろん、スタッフの皆さんも「なっちゃん」って呼んでくださる温かい方ばかりだったので、離れるのがすごく寂しかったです。今もまだロスで。毎朝、放送を観ながら「この時の撮影、楽しかったな」って思い出しています。

――放送を観たご家族やご友人から何か反応はありましたか?

母や祖母から、放送のたびに「今日の放送良かった」と感想をもらいました。ギャル扮装で登場した回はみんな驚いたみたいで、いつも以上に連絡がきました(笑)。視聴者の方もInstagramのDMで感想を送ってくださって、本当にたくさんの方が観てくださっているんだなって嬉しかったです。

――朝ドラは半年かけて同じ役を演じることだったり、なおかつリハーサルもしっかり行われたりと、普段のお仕事とは違うところも多々あったかと思いますが、今回の経験で役者として得たものはありますか?

本当におっしゃるように、半年も同じ役を演じるということが初めてだったので、”長い時間役について考え続ける“ということを経験したことで、本当にその役として生きるということを感じる瞬間がありました。

共演者の皆さんが経験豊富な方ばかりで、日々勉強させていただいていただので、安心して撮影に臨めたのも大きかったと思います。私もちゃんと“物語の一員”になれたという実感が得られました。

敏感肌だから、とにかく荒れないように気をつけてる

――所属事務所の先輩である有村架純さんが俳優を志すきっかけになったとのことですが、有村さんのどういうところを尊敬していますか?

とにかく架純さんのお芝居が大好きなんです。それとやっぱりめちゃくちゃ綺麗で優しくて憧れですし、尊敬しています。

――そんな憧れていた有村さんと同じ俳優という職業に就き、朝ドラにも出演を果たし、ここまで着実に夢を叶えてこられていますが、その夢を夢で終わらせない原動力はどこにあるのでしょうか。

幼い頃から本当にやりたかったお仕事ですし、高校を卒業する時に「この仕事一本で生きていく」と決めたことで意識が大きく変わったように思います。

――それだけ覚悟していても、仕事が忙しくて疲れる時もあると思いますが、そういう時のリフレッシュ方法はありますか?

祖母とお茶を飲みながらゆっくりと、たわいもない話をすることでリフレッシュできます。一番素でいられる時間だからかもしれないです。人からはアクティブに見られるんですが、実はめちゃくちゃインドアです(笑)。休みの日はほとんど外に出なくて、家で音楽を聴いたり、ドラマや映画を観たりすることが多いです。

――とっても素敵ですね。熊本には今も帰ることはありますか?

それが、コロナが流行りだしてから全然帰っていないんです。でも、そろそろ帰りたいです。

――人に聞かれたら、地元のどこをおすすめしたいですか?

熊本といえば、黒川温泉が有名なんですが、私は北部にある山鹿市の平山温泉が昔から大好きで。ちょっと行きづらい場所ではあるんですけど、温泉がトロトロしていて、お肌がすっごく綺麗になるし、そこで売っている馬油もおすすめです!

――田畑さんはすごくお肌が綺麗でつるつるですが、スキンケアで何かこだわりがあるのでしょうか?

私はすごく敏感肌で、何にでもすぐ反応しちゃうんですよ。だから、スキンケアは赤ちゃんにも使える無添加のものを使うようにしています。あとは枕カバーを毎日取り替えたり、洗顔後もタオルではなくティッシュで拭くようにしたり、とにかく肌が荒れないように気をつけています。撮影で地方に行く時は水質の変化で肌が荒れることもあるので、市販のミネラルウォーターで顔を洗います(笑)。

――硬水だと肌が荒れるという人もいますよね。ちなみに撮影でメイクしてもらう時はどうしていますか? 普段とは違う化粧品だと荒れてしまいそうですが…。

私の場合、下地が肌に合っていれば、その上からファンデーションを塗っても荒れないので、下地だけは自分がいつも使っているものを使うようにしています。メイクも撮影が終わったらすぐ落とすようにしていて、普段はファンデーションも使わず、日焼け止めだけで済ませています。

いつか朝ドラのヒロインをやりたい

――今後はどのような俳優になっていきたいと思いますか?

もっと演技の幅を広げて色んな役ができるようになりたいですし、「朝ドラヒロイン」という夢を叶えられるように頑張ります。俳優としてはもちろん、人としても尊敬してもらえるようになりたいです。「おむすび」で私を知ってインスタをフォローしてくださった方々が「いつか絶対ヒロインになれます!」って言ってくださるのもすごく励みになっています。

――今年12月には、ついに20歳を迎えられますね。

もう20歳なんだって、自分でもまだ実感が湧かないです。まだ10代でいたい気持ちもありつつ、20代になったらできることも増えるので、楽しみな気持ちと今は半々ですね。

――20歳になったら、まず何がしたいですか?

家族と一緒にお酒が飲みたいです。うちの家族は全員お酒が強くて(笑)。お父さんも私とお酒を飲むのをすごく楽しみにしてくれています。

――田畑さんは4月から始まるドラマ「やぶさかではございません」にも出演が決まっていますが、どういう役どころかを簡単に教えてください。

このドラマは「サイレントカフェ」という、会話が禁止で注文は筆談という一風変わった喫茶店が舞台になっているんですが、私はそこのカフェでバイトしている美大生を演じます。カフェの中では一番年下で、妹キャラ。天真爛漫で、好きなものに対してまっすぐなところは菜摘と少し似ているかもしれません。

――撮影はいかがですか?

休憩中にお絵かき対決をしたり、カフェメンバーとはすっかり仲良くなりました。共演者の中でも私が一番年下なので、みんなからいじられてます(笑)。主演の松村さんも気さくな方で、いつも現場で楽しくお話させていただいていて、大好きです。他のメンバーも個性的で面白いので、是非楽しみにしていてください!

Profile
田畑志真

2005年生まれ。熊本県出身。2016年デビュー。主な出演作はドラマ「モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-」「高嶺の花」(2018)「リーガル・ハート~いのちの再建弁護士~」(2019)「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」(2021)、映画『偽りのないhappy end』(2021)『前科者』(2022)、『少女は卒業しない』『クモとサルの家族』(2023)など。現在は朝の連続テレビ小説「おむすび」に出演中。

撮影/芝山健太
取材・文/苫とり子

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