
2025.03.03
オーガニック大国・ドイツに根付くBIOスーパー。現地ライターいち押し店を巡る
昨今、日本でも「オーガニック」や「ビオ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
実は、ドイツはオーガニック発祥の地と言われていることをご存じでしたか? ヨーロッパの中でも、特にドイツでは環境にもカラダにも配慮されたBIO商品はとても身近な存在で、他のヨーロッパ各国と比較しても圧倒的にBIOスーパーが多く展開されています。
ドイツ在住のライターオススメのスーパー、お気に入りの商品やレシピをご紹介します。
「Alnatura」とは?

「Alnatura(アルナトゥーラ)」は、1984年に始まったドイツ最大のオーガニックスーパー。ミューズリーや調味料だけでなく生鮮食品やパン、肉など品揃えは多岐に渡ります。他の一般的なスーパーと比較すると価格帯は高めではあるものの、自社ブランド製品が充実していて日常遣いに多くの人が利用しています。
BIOとは?世界で一番厳しい!?ドイツの審査基準

「そもそもBIOって何…?」と思う方も多いのではないでしょうか?
BIOとは「有機的な」という意味のドイツ語で、英語の「Organic」と同義です。農薬や化学肥料などを使用せず、有機原材料によって生産された無添加オーガニックな商品であることが証明されているものを指します。
実は、ヨーロッパでのオーガニックは社会運動として始まったのだとか。約100年前、ヨーロッパの生産者を中心とする市民が、化学肥料や合成農薬に依存する近代農業に異を唱え、当時のドイツ領で会合を行ったのが前身になったと言われています。
参考記事:https://iob.bio/journal/about-organic/

厳しい基準をクリアしたBIO製品には目印が。日本でも目にした際に意味がわかると便利ですね。
ドイツにおける、オーガニック生産協会が設けている審査基準は世界で最も厳しく、EUの基準を満たしながら、製品よってはさらに厳しい審査を合格する必要があると言われています。
【左】BIOマークBio-Siegel(ビオ・シーゲル)
ドイツ政府認定、オーガニック認証の統一規格で、2001年からドイツ国内で使用されているBIOマーク。このマークがついている商品は、香料・着色料・化学調味料などが不使用なもの。
【右】ユーロリーフ(EURO LEAF)
オーガニック認証を受けた商品のラベルやパッケージに貼られる、EUオーガニック認証のマーク。
EUの旗にも描かれている12個の星を、葉の形のようにデザインしたもの。「オーガニック成分を95%以上含むもの」である証明で、管理機関のコード番号と、農業原料の生産地も表示する必要があるという厳しいルールも。
日常から環境やカラダを考える

お買い物のスタートはエコバッグから! こちらは愛用しているオリジナルトートバッグ。ドイツではほとんどの方がエコバッグや買い物かごを持参して買い物に訪れます。

店内の入り口には焼きたてのパンが並び、よい香りが漂います。購入の際は、紙袋に入れてくれたり、販売されているパン専用の布袋を持参して利用している人が多く見られます。

日本ではあまり目にする機会がないサイズのチーズたち。大小さまざまなグラムでパッキングされているものもあれば、必要に応じて計り売りもしてくれます。必要な分だけ購入できるので、食品ロスにも貢献できる良いシステムですよね。

色鮮やかな野菜やフルーツ売り場。どれも新鮮でみずみずしく味が濃厚。BIOスーパーの特徴として、「生産地が記載」「常温保存可能な野菜や果物は包装なし」「商品を詰める袋は再生紙の袋」などが特に徹底されています。

「より少ない包装のために一緒に!」と書かれたメッセージ。紙袋や再利用可能な有料ネットのバッグに入れて、野菜をレジまで持っていきます。プラスチックよりも紙を積極的に使用するこういったシステムは、ドイツでは日常的になっています。

地元の養鶏農場やオーガニックな餌や環境で育てられた卵たち。日本とは異なるため生卵で食べることは基本的にできませんが、どれも新鮮で味も良いためよく購入します。

Alnaturaオリジナルの卵ケースを購入し愛用しています。こちらを利用すれば、バラ売りの卵を好きな個数だけ購入可能で、ケースも再利用できるためゴミもでません。中の仕切りはそのまま鍋に入れて茹で卵を上手に作ることもできる優れもの。

店内には、冷蔵食品も豊富で、写真の右に写る陳列棚は全てヨーグルト…! BIO製品のヨーグルトだけでも膨大な種類が取り扱われています。ヨーロッパはヨーグルトやチーズの種類が豊富なので、初めて見る方は驚くのでは。

「Asia」と書かれたアジア食品コーナーも充実。日本と比べると価格は上がるものの、海外でも安心の原材料で日本食が手に入るので、重宝している方も多いのだとか。

パンの国ならでは、小麦粉の種類も豊富。これらも全てプライベートブランドで取り扱いがあります。よく見ると、Type405・550…と数字が書いてありますね。ドイツでは数字が上がるほど全粒粉に近づきます。
日本の小麦粉はタンパク質量(グルテン量)で薄力粉、中力粉、強力粉と分類されているのに対し、ドイツは灰分量(ミネラル量)で分類されるという違いがあります。スーパーでは各国の違いも見つけることができるのが興味深いところ。
食品だけじゃない、BIOの世界

ドイツでは、オーガニックの考え方が古くから社会に浸透し生活に根付いているため、その種類も豊富でスーパーでも簡単に手に入ります。
食品同様に厳しい基準をクリアしているだけでなく、製造過程での環境負荷にも配慮されているのが特徴です。

店舗では、世界的に有名な「WELEDA(ヴェレダ)」だけでなく、ドイツのオーガニックコスメブランドの「lavera(ラヴェーラ)」【写真左】や、1978年から始まったドイツのオーガニックコスメのパイオニア「LOGONA(ロゴナ)」【写真右】などが並びます。原材料にも欧州原産のものが使われているのが特徴で、やはり西洋のハーブ文化の長い歴史を感じます。

洗剤から子ども用品まで、多岐に渡ります。子どもにも安心・安全なものを小さな頃から使うことができる環境が整えられているほど、ドイツではBIOが身近だということがよくわかります。
BIO製品を使ったオススメレシピ

最後に、実際にスーパーで購入して愛用しているオススメの商品で作る簡単レシピをご紹介。

スプレッドはどれもパンにぴったりでオススメですが、中でもお気に入りが、ドイツ発オーガニック&ヴィーガンのブランド「Zwergenwiese(ズヴェルゲンヴィーゼ)」。
ロゴマークはヨーロッパの伝説に登場する、大地を守る小さな精霊がかぶる赤い三角帽子なのだとか。社名はドイツ語で「精霊の牧草地」を意味しています。

素材由来の鮮やかな色合いが目に楽しく、有機ひまわりの種をベースに、野菜や果物・ハーブ・スパイスなどで作られたプラントベースのスプレッド。
ミックスハーブ、バジル、マンゴーカレー、ビーツ&ホースラディッシュなどがあり、瓶と小分けタイプがあります。日本では、パリ発のオーガニックスーパー「Bioc‘Bon(ビオセボン)」でも取り扱いがありますので、気になる方はぜひ検索してみてくださいね。

ドイツでお気に入りの「REISWAFFELN(ライスワッフェルン)」。ポン菓子のような軽い食感で、塩味などはなく、素材そのままの味が楽しめます。スペルト小麦のワッフル(全粒粉)が特に芳ばしくオススメです。

スプレッドは、パンに乗せるだけでなく、ライスワッフルとの相性も抜群! 野菜やフルーツを乗せるだけで華やかな一品に。
自分が選んだもので少しずつ変わる世界

ドイツで生活するようになってから、BIOは一過性のトレンドのようなものではなく、日常に存在し健康や環境を常に考え選択する人たちの意識が生み出した、今までもこれからも長く続いて行くものだと感じるようになりました。
どちらにしようかな…と迷った時、何を手に取るかによって少し変わる選択肢をぜひ思い出してみてくださいね。

ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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