【俳優・新原泰佑】「身体を動かし続けることが生きがい」根底に流れる役者への熱い想い
INTERVIEW

2025.02.24

【俳優・新原泰佑】「身体を動かし続けることが生きがい」根底に流れる役者への熱い想い

昨年はドラマや舞台への主演など、役者としての活動の幅を広げ、先日、第32回読売演劇大賞にて杉村春子賞を受賞した新原泰佑さん。

日曜劇場「御上先生」(TBS系)では松坂桃李さん演じる主人公・御上孝の兄、宏太を演じています。初回ではその正体は明かされず、「あの青年は何者?」と話題を呼び、第6話でついにその全貌が明らかに。視聴者に大きな衝撃を与えました。

「御上先生」への出演にどのように臨まれたのか、また新原さんの魅力がギュッと詰まった2025年のカレンダー撮影についてお伺いしました。

2024年は常に「次に」を考え続ける1年だった

――2024年は舞台「インヘリタンス-継承-」の出演にはじまり、ドラマ「25時、赤坂で」、舞台「球体の球体」での主演と濃厚な1年だったかと思います。1年を振り返ってみていかがですか。

芝居、そして役への重みを改めて感じた年でしたね。

去年の最初のお仕事が「インヘリタンス」だったんですが、概念が覆されたというか。芝居を詰めていくなかで、役を見つけるということや、人の人生を生きることがどういうことなのかを肌で感じました。

――「インヘリタンス-継承」は6時間半にわたる作品です。

だから入り込みやすかったという部分もあります。あの時間が大変だったというよりは、すごく楽しかったんですよね。役として生きている時間が楽しいと思えて、そこでより芝居の虜になったというか。

そのあとにドラマ「25時、赤坂で」の主演が決まって、「インヘリタンス」で培った芝居と概念やマインドを今度はドラマで生かしていこう、と。監督とお話をさせていただいたりする中で、前の作品を経て、次に何をしていこう? というふうに、常に「次は、次は」ということを考え続けている1年でした。

――どれもとてもチャレンジングな役ですよね。

この仕事の一番の魅力って、やっぱり他人の人生を歩ませてもらえるところだと思うんです。ありがたいことに、今まで「似たような役」というものがなくて、いつも全く違う人。実はそれが僕はすごく好きなんです。「今回はこんな人間か。じゃあどうやって生きればいいんだ?」と未知なることへの高揚感でワクワクしています。

お芝居を現場で詰めたり、監督と相談したりすることが多くなってきて、そこで生まれるものに自分の頭を悩ませているときが楽しいんですよね。本当にいろんな役をやらせていただいて、全部楽しかったですし、もちろん反省点もありつつ、満足感があります。

この役だったら「なれる」と思ったし、なりたいという欲もあった

――そして2025年のスタートは日曜劇場「御上先生」への出演。松坂さん演じる御上孝のお兄さん・宏太役を演じられました。

1話からずっと、ある種、亡霊のようにいろんなシーンに現れていたんですけど、6話で全てが明らかになったかと思います。

宏太はすごく視野が広くていろんなものが見えてしまう人です。知識が豊富で頭も良いのですが、だからこそ、社会が圧し潰してもみ消した部分も見えてしまう。隠されているところまで見えてしまったがゆえに、自分にできることをしなくてはいけない、と一人で行動するんです。

学校の放送室で、全体放送で学校側に死をもって抗議します、と言って命を絶ちます。

しかし、そんなことでは変えられない。社会に圧し潰された犠牲者の一人なんですけど、宏太が死んだ現場を弟が見てしまうんですよね。

――壮絶なシーンですね。

だからこそ、孝のトラウマになるというか。でも、そこには愛が存在しているんです。

孝と宏太が通っていたのは中高一貫校で、当時、宏太が高校生、孝は中学生でした。同じ校舎にいるんですけど、僕は高等部にしか聞こえないように放送室で操作しているんですよね。中等部には聞こえないようにしているんです。弟には聞かせないために。そこに弟への愛情が感じられて。だからこそ、弟も兄をずっと思ってくれている。すごく素敵な関係性の兄弟ですね。

――宏太が想いを吐露するシーンについて、演じられていかがでしたか。

宏太のやりたいこと、言いたいことは、すんなり入ってくるというか。言っていて苦しいセリフは1個もありませんでした。これが御上宏太という人の人生だったんだ、と思って受け入れることができましたね。

彼の言葉は、心の奥底から出てきた気持ちがそのまま言葉になったセリフたちなのかな、と思ってから、自分の中でその感情を探すと「あ、僕の中にもあるな」と。

少し難しいんですけど、「分かる」という感覚でしたね。この役に「なれる」と思いましたし、なりたい、という自分の欲もありました。

――ある種、御上先生の核となるような部分ですよね。

宏太がいなかったら、多分、孝の人生はこうはなっていなかったと思います。お兄ちゃんがいたからこそ、自分はこうなっている、というマインドが孝にも存在していて…。だからこそ、この作品が生まれるきっかけみたいなものを自分が担っているのはすごく嬉しかったですね。

そういう原点みたいなところのお芝居って、一番シンプルで、一番難しい気がしていて。いかようにも味付けできるけど、いかにようにシンプルにもできます。特に今回は回想シーンが多いのであまりバックボーンが語られないんですよね。どこまでもシンプルに、自然を貫くことによって鮮烈に、辛辣に見えるか、というところは監督と相談しましたね。

自信のカレンダーは「どうぞ見てくださいな!!」

――打って変わって、カレンダーのお話も聞かせてください。今回は熱海にあるニューアカオで撮影されたとのことですが、撮影はどうでしたか?

すっごいきれいで…あ、急に語彙がなくなった(笑)。

――(笑)。雰囲気のあるホテルですよね。

きれいなんだけど、いい意味でクラシカル、そして荘厳。だから今回のカレンダーにはすごく合っているな、と思っています。

今回、カメラマンは憧れの濱田英明さん。

濱田さんってシンプルなのに、エネルギーとストーリーを感じるような美しい1枚を撮るのがすごく魅力的な方なんです。じゃあ僕と写真はシンプルに素のままで、きらびやかなロケーションに委ねてみよう、と。濱田さんの思い付きで撮ったショットもあったり、メイクさんとスタイリストさんと撮影の座組のフィーリングがすごくマッチしていて順調に撮影できました。

――ご自身で出来上がったものを見ていかがですか?

胸を張って「どうぞ見てくださいな!!」という感じでございましょうかね(笑)。

例えば、前回のカレンダーではアーティステックなものを表現したりしていたんですけど、今回は本当に顔面、顔圧! みたいな。マネージャーさんが「今年は顔で勝負したいかもしれない」って言ったのがきっかけなんですよ。最近、色々な作品を経て顔つきが変わったから、と言われて。

「インヘリタンス」に向けてダイエットをしていたんですけど、そこでしかっり痩せることができて。そこからビジュアルがわりと安定してきたというか。あの、舞台ダイエットというのがありまして。「インヘリタンス」と「球体の球体」はすごくダイエットに向いていました(笑)。

自分の身体はいつまでも大事にしていきたい

――去年から今年にかけて更にお忙しくなっているかと思うのですが、新原さんはオンオフの切り替えはどうされているんですか?

僕、朝にも絶対お風呂入るんです。撮影の前は、半身浴したりするんですけど、それで起きた顔面を作る、という意味ではそれがスイッチになっているかもしれないですね。

寝る前のお風呂上がりのケアでスイッチをオフにして、朝のお風呂上がりのケアでオンにしています。

――最近、こだわっているケアはありますか?

毎日、パックをして、美容液を塗ったり、あとは美顔器を使ったりしているんですけど、最近リードルショットに手を出そうかなと思って、いいものはないかな、と探している途中です。メイクさんに聞いたりとか。

メイク用品でいったらプランパーが最近お気に入りです。イベントの時とかは、付けています。年末のハンサム運動会でも韓国のめちゃくちゃ痛いプランパーをつけていました(笑)。

あとは首の後ろをマッサージするようにしています。

ストレートネックではあるんですけど、それにプラス猫背、巻き肩だったので、余計に姿勢が悪くて。少しずつ治ってきたらいろんな人に、「身長伸びた?」と言われるようになって、ちょっと嬉しいですね。

――全身に気を遣っていらっしゃるんですね。

ダンスも含めてですけど、身体を動かすことが生きがいなので。自分の身体は顔、肌、中身も含め、いつまでも大事にしていきたいな、と思っています。

――最後に。今回、カレンダーの対面式イベントも行われます。今回初めてイベントに来られる方もいらっしゃるかと思うんですが、緊張していらっしゃる方にはどんなふうに声をかけますか?

僕、たぶん話しやすいと思います! 本当に少しの時間ではあるんですけど、僕も全力でいくから、一緒に大切に時間を過ごしたいという気持ちですね。

緊張で何も話せずに終わってしまう方もいらっしゃるんですけど、その気持ちも分かるんですよ。これ話そうと思っていたのに話せない気持ち、みたいな。

僕も実際に経験がありまして。事務所の大先輩のPerfumeさんなんですけど、本当に小学生の頃から大好きで。実際に初めてお会いした時、本当に偶然だったんですね。事務所でちょうど取材していた部屋が隣同士で、ドアを開けたらいた、みたいなテンションだったんですけど、伝えたい愛はこんなにたくさんあるのに出てきた言葉が「すすすす、好きです!」だけ。なので、ファンの方の気持ちがとっても分かります。

だから、無理しないで、本当にゆっくりでいいよ、という気持ちで僕も待ち構えているから、本当に安心して落ち着いて、来てほしいな、と思います。

Profile
新原泰佑

2000年生まれ。埼玉県出身。“日本一のイケメン高校生”を決める「男子高生ミスターコン2018」のグランプリ受賞をきっかけに俳優デビュー。主な出演作に、「なれの果ての僕ら」(2023)「アオハライド」シリーズ、「25時、赤坂で」(2024)、ミュージカル「ニュージーズ」(2020/2021)、舞台「ラビット・ホール」(2022)「ロミオとジュリエット」(2023)、「インヘリタンス-継承-」「球体の球体」(ともに2024)など。第 32 回読売演劇大賞 杉村春子賞受賞。初の主演映画『YOUNG&FINE』の公開と、ミュージカル「梨泰院クラス」の公演を控える。

撮影/須田卓馬
取材・文/ふくだりょうこ

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