SERIAL STORY

2024.07.24

中国・ハルビン旅行記ーグルメ編ー
by Kana Sato vol.04

ブランディングディレクター、コンサルタントとして活躍する佐藤香菜さん。世界各国を旅して見つけた“本当にいいモノ”を見極める審美眼を持ち、SNSで発信する丁寧な暮らしが同世代から熱い支持を集めています。そんな佐藤さんが、普段愛用しているコスメやいま気になっているモノ、旅先でのエピソードなど、美容からライフスタイルまで赤裸々に語ってくれる本連載。

第四回は、「中国・ハルビン旅行記ーグルメ編ー」についてお話いただきました。

キレイノートでのコラムも第4回目。今回は初めて訪問した中国・ハルビンへの旅をお届けします。「ハルビンに行ってみたいんだよね」少し前から親しい友人たちにそう言うとほぼ全員から「え、どこ?」というリアクションが返ってきました。確かにわたしの友人でハルビンに行ったことのある人を聞いたことがありません。わたしがなぜこの場所に行ってみたかったかというと、乏しい知識の中でも

・街並みにロシアの文化が色濃く見られる
・日本統治下だった満洲時代の名残がある
・歴史的な背景に興味を持っていたから

今回の渡航を準備したのは1ヶ月前。ロシアと北朝鮮に挟まれた中国東北地方であるハルビンには、成田空港から飛んでいるエアライン スプリングジャパンで行くことができます。わたしが予約した7月初旬は往復4万円ととてもリーズナブル! もっとリーズナブルに渡航できる季節もあるほど。 中国への渡航は2024年7月現在、観光ビザが必要なため、少々手間ですがこれを取得する必要があります。

ネットで検索すると[Chinese Visa Application Service Center]という申請用のサイトが出てきます。事前にビザ申請用の写真を撮影しておく必要があり、おでこがしっかり写っていることや背景の色やサイズまで細かいルールがあるため、写真館で撮ることをお勧めします。わたしはカメラのキタムラで中国ビザ用である旨を伝えスムーズに撮影していただきました。その写真をアップロードするため手元に用意してから英語で入力開始! 

両親の生年月日や直近の職歴などの入力もあるので都度調べつつ入力を進め、全て入力したら送信。それを印刷したものとパスポートと証明写真を持参して次に向かうは有明にあるビザ申請サービスセンター。提出を済ませたら 5営業日後くらいにビザを受け取るため再度訪問します。これが少々手間ではあるのですが、これさえクリアできれば中国旅行が可能です。 旅行中のWi-Fi環境ですが、わたしはHolaflyのesimを申し込みました。3泊4日で1,700円ほどで、滞在中はLINEも使えてとても快適でした。 現地ではクレジットカードを使えるのは外資系のホテルとスターバックスくらいと調べていたので、現金は必須。現地の人たちは中国のQR決済がほとんどですが、現地の電話番号を持たない私たちには登録が難しいため基本的には現金を使うことになります。日本の空港で両替しておくのが必須です。

成田空港から飛行機でたったの4時間、時差は1時間でハルビンの空港に到着。タクシーで市内に向かうのですが「ぼったくられたくない!」という異常な緊張感で、携帯の電卓機能を片手に運転手さんと交渉。ちょっと大袈裟ですが、すぐにOKしない、相手の出方を探るパフォーマンスの意味合いを込めて強気さを見せるのは海外において必要だと思っています(笑)色々と調べてみましたが高速道路も使う距離のため、150~200元(日本円で4,500円)くらいまでならば適正と言えそうです。

中心部が近づいてくると見える高層マンション、西洋と東洋が感じられる独特な建築、初めての中国旅行となるわたしはこの時点でも中国の広大さを実感。そしてハルビンの街並みは本当に美しいのです。事前にBooking.comで予約したマリオット系列のホテルに荷物を置いた時点でまだお昼ごろ。観光の時間の始まりです。

今回ハルビンで見つけた素敵なスポットの中から、3つの素晴らしい珈琲店をご紹介します。

【鹿魚珈琲】
中央大街というエリアの、43 Hongzhuan St. という通りにあるこちらの珈琲店。 とても歴史ある建物の1Fにあり、重厚感あるエントランスからもう心が躍ります。キンモクセイの花が乗せられたラテを注文しましたが、とても美味しいバランスでした。

【78号珈琲】
78 Gongsi St. (公司街)にひっそりとある、ツタが絡んだ古い建築の珈琲店。中心部から少し離れた静かなエリアにあります。中国国内の珈琲の大会で賞をとったバリスタが丁寧に淹れてくれるハンドドリップコーヒーは5種類の豆から選ぶことができました。あまりに美味しかったのでつい2杯目も注文してしまったほどです。

【老会堂珈琲】
道里区 82 Tongjiang St. にある珈琲店はユダヤ教のシナゴーグ内にあります。第二次世界大戦の最中、ドイツ軍が勢力を拡げたヨーロッパから世界中に逃げたユダヤ人は遠く離れたここハルビンにもいたそう。このシナゴーグは一度火事で消失したものの再建され、今は礼拝の場ではなくコンサートホールとして使われており、その一角が趣のある喫茶エリアになっています。高く開放感のある天井と六芒星のデザインが見られる窓を見ながら、タイムスリップしたかのような静かな 時間を過ごすことができます。

ご紹介した3軒以外にも、街中には素敵なカフェがあります。コーヒーがお好きな方は、そのためだけにハルビンに行ってみることをおすすめしたくなるくらい、歴史ある建築とリノベーションされた内装の空間は素晴らしく、中国でありながら西洋の世界観を持つ独特なバランスです。

わたしが中国に持っていたイメージが、大きな声で話す方が多そう、あまり清潔ではないかもしれない、食べ物がちょっと未知の世界・・・というように、正直なところ良いことだけではない先入観があったのは確かです。しかし中国の中でハルビンに惹かれたのも不思議な縁で、戦争を経験していた祖父がハルビンに滞在していたことがあると聞いたことがあったり、もともとロシアの文化は好きなため「きっとわたしはこの街を好きになるだろう」という予感がしていました。

今回実際にハルビンで過ごした4日間で、嫌な思いをしたことが1回もなく、むしろ現地の方にとても親切に接していただけました。ハルビンでは外資系のホテル以外、ほとんど英語が通じず簡単な単語でも会話が難しいため、携帯を片手にGoogle翻訳でやりとりしました。どれだけ混雑していて忙しそうな飲食店でさえも、小さなことでもスタッフの方は翻訳アプリを使って丁寧に接してくれます。

例えば、お茶は冷たいものがいい?常温がいい?などから、注文したメニューの確認まで、しっかり「伝えよう」としてくれることがとても嬉しかったのです。 それも面倒くさい素振りなど一切なく、ゆっくり丁寧に。もっと素っ気ない態度をとられることを想像していたわたしは、やはり勝手なイメージで判断せず自分の耳で聞く声のトーンや表情を見て感じることの大切さを改めて実感し、自分の直感からこの街に来ることに決めるまでの行動力を少しだけ褒めたいと思えました。

帰国後、中国に詳しい知人に話したところ「それはハルビンだからだよ!」とのこと。中国の中でも特にハルビン出身の方は表情も柔らかく応対が丁寧な気がするとか。

この写真はお昼に訪問した有名店【張包舗】という110年以上の歴史あるお店。人気店のため順番待ちをする必要があり、待っているあいだ番号札をもらうのですが、問題は呼ばれた数字(中国語)を聞き取れるかどうか! 無事に店内に入ったらいざ注文するのですが、さすがここはアジア、だいたいどこの飲食店でもメニューに写真があるので安心して選べます。 ハルビンの名物料理は数あれど、日本人の味覚にも合う「鍋包肉」をいただきました。この料理、豚のヒレ肉をたたき伸ばして揚げたものに酸味の強いお酢と野菜が乗っており、とてもさっぱりしている酢豚のような、お箸が進むメニュー。

そしてハルビンで出会ったお気に入りのドリンク「クワス」は、パンを発酵させる際の酵母を使った炭酸飲料でこちらも大変美味しい! 滞在中何回もオーダーしたほどで、もともとはロシアやウクライナ、ベラルーシ周辺でも飲まれていたもので、ここハルビンでもロシア人によって持ち込まれたのが始まりのようです。べっこう飴を炭酸飲料にしたようなコクと香ばしさを感じる味は懐かしさもあり、ぜひ飲んでみてほしい1本です。

ハルビンの旅はまだまだ続きます! 次回、後編はハルビンで見つけた「かわいいもの」「購入したもの」をご紹介します。お楽しみに。


Branding Director 佐藤香菜


株式会社マッシュビューティーラボにて、オーガニックのコスメとインナーケア製品のセレクトショップ「Biople by CosmeKitchen」の立ち上げとディレクションを行ったのち、独立。ブランディングディレクター・コンサルタントとして多数の企業の製品企画立案、製品プロデュースから販路拡大に携わる。オーガニックコスメを巡る旅の様子はNHK「世界はほしいモノにあふれてる」への2度の出演や、Instagramアカウント @kana__sato622 で発信している。

>>vol.01 1人で旅する時間で気づくこと
>>vol.02 大人になった今だから本当の友人に出会える
>>vol.03 5月のパリ旅行記  おすすめグルメスポット!

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