【俳優・松本まりか】どういうものの見方をするかで、人生は変わる
4月21日(日)22時よりスタートする新ドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、さまざまな男を手玉に取ってきた百戦錬磨の女性結婚詐欺師・朝倉すみれが本気の婚活に乗り出す、ジレンマだらけのラブストーリーです。
そんな本作でGP帯連続ドラマの初主演に抜擢されたのは女優・松本まりかさん。
恋愛においても、仕事においても“こうあるべき”という固定観念が溶けていき、幸せの形が多様化している現代。
彼女は今、本作を通じてラブストーリー、そして結婚とどのように向き合っているのか。念願の初主演を担うことになった、今の気持ちと合わせて話を聞きました。
悪女じゃない結婚詐欺師のピュアな恋
ーー本作は、脚本家・政池洋佑さんが当て書きしたオリジナルストーリーだそうですね。
本当に誉なことだなと思いました。これまで、舞台で山内ケンジさんに当て書きしていただいたことはありましたが、ドラマでの当て書きは今回が初めてです。
ーー松本さんから見た、朝倉すみれはどんな印象でしょうか?
結婚詐欺師というキャラクターなので、ちょっと悪女っぽい役なのかなと想像していました。世間からそういう役をよくやるイメージを持たれていたりするので、そこを描かれているんだろうと。
でも、実際に脚本を読んでみると全然悪女じゃなかった。それどころか、ものすごくピュアだったんです。美しくもかっこよくもなく、綻びや不器用な部分、おっちょこちょいすぎる部分が目につくような。そういう不完全なところが自分に似ているのかもしれないと思いました。ただ、私のそういった部分は今まであまり見せてきたつもりはないので、政池さんがそこまで見抜いてくださっていたのかと思うとすごいな、ちょっと恐ろしいなと思いましたね。
ーー作品の印象についても教えてください。
私がいつか演じてみたいと思っていた、王道のラブストーリーになっています。真正面から大人のピュア恋愛を描いているなと。そういうところを楽しんでいただけるんじゃないかなと感じています。
自分にとって素敵だなと思う人に出会えたら
ーー王道ラブストーリーが好きとのことですが、具体的にどんな作品が好きですか?
『ロングバケーション』、『タイタニック』、『ロミオとジュリエット』、『愛の不時着』…あまりにも王道ですね(笑)。
ーーどれも名作なので、好きな方は多いと思います。ただ挙げていただいた作品に登場する男性は共通点があるようなないような…。どんな方がタイプですか?
くぅー! 悩ましいですね…。男っぽすぎても、ちょっと困っちゃうんですけど、かわいいだけでも、ちょっと頼りないと思っちゃうんです。だから、本当に欲張りなんですけど、両方の面を持ってていただきたい(笑)。
ーー本作で改めて結婚や恋愛と向き合うことになっているのではないかと思います。松本さんご自身は、結婚や恋愛の価値をどう考えていますか?
結婚するときは、1人でも生きていけるし、1人でも死んでいけるという覚悟ができてからという理想はあります(笑)。
ーーどういうことでしょう?
あまりに無知で未熟な状態で誰かと一緒になることが怖かったんです。私、究極を言ったら、人って1人だと思うんですね。ずっと好きな人がいて、その人と幸せな人生を送ってきたとしても、ふと相手がいなくなってしまった時に、1人になってしまう。そうなった時に、どう生きていくかわからなくなってしまっては嫌だなと思っていました。だから1人になれる強さを知らないうちは、2人でいることが怖かったんですよ。
ーーそして、今はその覚悟ができたんですね。
今は、成長した自分が信頼し合える誰かに出会って、繋がり合える大切さを感じられる人生を送ってみたいなと思っています。自分にとって素敵だなと思える人に出会えたらいいですね。
悲劇のヒロインではなく、素敵な自分に
ーー詐欺師・奈々(すみれが詐欺師として使っている偽名)はターゲットに手の甲をぶつけることで相手との距離を縮めるという“必殺技”を繰り出しています。松本さんご自身は相手との距離を縮めたいと思った時に、どんな行動をしますか?
定型文ではなく、その人らしさについて会話をするようにします。その人がどういうものが好きで、どういう考えを持っているのか。自分から見て、気になるなと思ったポイントを伝えたり、質問したりするかもしれないですね。作中では“結婚詐欺師のさしすせそ”というキーワードが出てきますけど、そうではなくて。自分自身に感じた誰のものでもない、その人の素敵さとか、より深いところで話せたらと思います。
ーー今回、主演に抜擢された際「15歳でこの仕事を始めた頃から奥底に秘めてきた夢が、今こうして目の前にやってきてくれた奇跡はあまりに尊く…」とコメントされていたのが印象的でした。新生活のタイミングということもあり、夢を叶えた先輩としてアドバイスをお願いします。
人生において、失敗や困難がない人なんていないと感じています。だからこそ、重要なのはそういう出来事をどう捉えるかということ。失敗した時や嫌なことをされた時、そこにどう立ち向かうか、どういう解釈をするか、どういうものの見方をして生きていくかによって、人生って大きく変わると思うんです。
例えば失恋をして、絶望みたいな気持ちを味わうことってあると思います。私自身も悲劇のヒロインのようになってみて、三日三晩泣いたこともありました。でも、やってみたからこそ「意味ないな、この時間」って気づいたんですよ。それならば私がもっと魅力的になって惜しいことをしたなと思わせたほうが勝ちだなって。
理不尽なことやイジワルなことをされた時もそう。その人に対して、イジワルし返すんじゃなくて、もっと素敵な女性になって、また仲良くなりたいって思わせたほうがよっぽど良い。そういう風に捉えられるようになったら、嫌いな人もいなくなるし、ハッピーに生きられるんですよね。
困難が起きた時こそ、自分を成長させてくれるものですから。ネガティブな心や悪い心を膨らますのではなくて、失敗を肯定的に捉えて過去を塗り替えていくこと、素敵なものにすることが大事だなと思います。
Profile
松本まりか
1984年、東京都出身。『六番目の小夜子』(2000年、NHK教育テレビ)でドラマデビュー。2018年のドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)での演技が話題となり、『妖怪シェアハウス』(2020年、テレビ朝日系)や大河ドラマ『どうする家康』(2023年、NHK総合)など多数の作品に出演。5月17日には映画『湖の女たち』の公開が控えている。
■作品情報
『ミス・ターゲット』
2024年4月21日より、毎週日曜22時放送
※放送終了後、Tver、ABEMAで見逃し配信
出演:松本まりか 上杉柊平 鈴木愛理 川西賢志郎/八嶋智人/筒井真理子 沢村一樹
脚本:政池洋佑
主題歌:家入レオ「ワルツ」(ビクターエンタテインメント)
公式 HP:https://www.asahi.co.jp/misstarget/
スタイリスト/コギソマナ(io)
ヘアメイク/木部明美(PEACE MONKEY)
取材・文/於ありさ
撮影/須田卓馬
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