【俳優・YU】日本と台湾で、出会った方たちとの“ご縁”を大切に
人気脚本家の野島伸司さんが5年ぶりに地上波連続ドラマに挑んだことでも話題のドラマ「何曜日に生まれたの」(ABCテレビ)。
先日放送の第6話で、これまで謎に包まれていた飯豊まりえさん演じる黒目すいが“コモリビト”となったきっかけでもある10年前の真実が、ついに明らかになりました。
物語も佳境を迎えた今、すいの同級生・雨宮純平役を務めたYUさんにインタビュー。
台湾でミュージシャン、俳優としてすでに大人気のYUさんは、なぜ日本でも本格的に活動を始めることになったのでしょう。日本と台湾の2拠点での生活や、今回のドラマ出演のエピソードをじっくり伺いました。
実際の僕は、どちらかというと“すいちゃん”
——今回の雨宮純平役は、オーディションで決まったと伺いました。決まるまではどんな気持ちでしたか?
一言で表現すると、今回の役が決まるまでは「辛かった」に尽きます。オーディションが終わってから連絡をいただくまで時間が空いていたので、電話が鳴る度にソワソワしていました。ダメだったら台湾に戻ろうとさえ思っていたんですよ。決まったという連絡をいただいた時はイベントに出演中だったのですが、終わってからすぐにビールを飲みました(笑)。
——祝杯をあげたわけですね。
もちろん嬉しかったんですが、正直、「やった!」という気持ちよりも「よかった……」という安堵の気持ちのほうが大きかったです。
——そこから本格的に役作りをなさったかと思うのですが、なにか準備したことはありますか?
撮影に入る前に監督との時間を設けてもらい、雨宮純平という人物のバックボーンを細かくお話いただきました。また、「この人を参考にしたらいいよ」という純平に似た方を4,5人挙げていただいていたので、とても参考になりました。具体的なアドバイスのお陰で、役にはすっと入ることができました。
——純平は俺様気質があり、ツンとしたイメージがあるのですが、ご自身と重なる部分はありますか?
それが純平とは真逆なので、重なる部分はないです。どちらかというと僕は、飯豊まりえさんが演じた“すいちゃん”に近いです。自信ないし、しゃべれないし、本当にすいちゃんですよ、僕は(笑)。だからいつかコモリビト(ひきこもり)の役がきたら、得意だと思います。
今後の励みになった野島作品への出演
——ドラマも後半に入りました。9月17日放送の6話で、純平は井上祐貴さん演じる悠馬に想いを寄せていた過去が明らかになりました。この部分について、どのように理解し、役と向き合ったのでしょうか?
過去に台湾でBL作品に出演させてもらっていたこともあり、純平が悠馬を想う気持ちについては理解できていたので、そこまで難しいとは思わなかったです。
それよりも、純平の独特なセリフの言い回しが非現実的なイメージを持たれるかもしれないと思っていたので、どうやって純平という人物を届けようか、試行錯誤しました。 視聴者の方に受け入れてもらえるのかな?と心配でしたね。でも、思いのほかツンデレ純平も好きだという声も多いようで安心しています。
——脚本家、野島伸司さんの作品についてはどんな印象を持たれていますか?
野島さんの作品は、テーマがしっかりあり、世界観も作り込まれていて、ディープな印象があります。僕自身、メッセージ性のある作品が好きなので昔から観ていました。今回、野島さんの作品に出演できたことは本当に嬉しく、励みにもなります。
——今回は同年代の出演者の方が多かったと思いますが、現場の空気感はいかがでしたか?
皆さん、話すことが好きな方ばかりだったので、現場は常に和気あいあいとしていました。ドラマの役のまま、同級生のような感覚で接することができたので、初日から楽しかったです。また、今回の共演者でもある井上祐貴さんと濱正悟さんとは一度飲みにも行きました。やっぱり一緒にお酒を飲むと距離が縮まるような気がします。
——作品のタイトルにもなっている「ナンウマ(何曜日生まれたの?)」ですが、YUさんはナンウマですか? この「ナンウマ?」は現場で流行ったりしましたか?
僕は火曜日です。まさにこの「ナンウマ」に関しては、キャストの顔合わせの時に「YUです。火曜日生まれです。よろしくお願いします」みたいな感じで、全員が自己紹介をしました。話すキッカケにもなりますし、コミュニケーションツールとして面白いなと思いました。
日本と台湾でグロバールに
——YUさんのこれまでのことも詳しくお聞かせください。高校までを日本で過ごし、大学進学をきっかけに台湾に移住されたということですが、なぜ台湾だったのでしょうか?
僕の母が台湾出身なので、母から中国語をマスターして欲しいと言われたことがきっかけです。そこで、高校2年生の時に大学は台湾の学校に進もうと決めました。大学では料理関係の勉強をしていました。
——もともとお母さまとは中国語で会話されていたのですか?
家庭内では日本語で会話をしていましたが、中学時代に1年半、上海の中学校に留学し、そこで基礎を学びました。でも、ちょっと読み書きができるくらいのレベルだったので、18歳で台湾に行き、3か月間は語学学校で勉強し、そこから本格的に大学に入学しました。
——その後、どうやって芸能の道に入られたのでしょうか?
もともと芸能界に興味をもっていたので、語学の勉強をしながらモデル活動をしていました。転機となったのは、大学3年生の時に今の台湾の事務所の方に声をかけてもらったこと。そこから本格的に活動をはじめました。在学中にチャンスがなかったら日本に戻ろうと思っていたので、良かったです。
——台湾は日本人にとっても人気の旅行先ですが、魅力はどんなところだと思いますか?
人柄ですね。台湾の方って誰に対しても優しいんです。そして、相手にオープンで温かい人柄なので本当に素敵だなと思います。困っているとすぐに手を差し伸べてくれるので、僕も助けてもらっています。
いつかはもっと大きな舞台にも挑戦したい
——台湾ではミュージシャンとしても人気だと伺っています。
台湾ではまずミュージシャンとしてメジャーデビューをしました。もともとギターをやっていたので、音楽は好きです。同時期に台湾のドラマのお話もいただいたので、お芝居もほぼ同じ頃からはじめています。
——台湾で活動しながら、いつか日本でも活動したいという思いは当時からあったのでしょうか?
そうですね。最初は台湾に身を置く覚悟ではやっていましたが、やっぱり僕は日本人なので、日本でも仕事をしたいという思いはありました。
——ここまでのお話を伺うと、とんとん拍子に道が開けているようなイメージですが、ご自身ではどう思いますか?
これもすべて人とのご縁ですね。出会うべくして出会っている方が多いな、というのが僕の印象です。だからこれからも人との縁は大事にしていきたいですね。
——最後に今後の展望について聞かせてください。
英語も勉強しているので、いつかはもっと大きな舞台に行けたらいいなと思っています。
でも、まずは日本と台湾を拠点にして、これまで演じたことのない役にどんどん挑戦していきたいと思っているので、これからも応援よろしくお願いします。
Profile
YU
俳優。ミュージシャン。愛知県出身。大学進学を機に、台湾へ移住し、2018年に台湾の芸能事務所の研修生となり、語学・芝居・音楽を学び、2021年放送の「We Best Love 永遠の1位 / 2位の反撃」にて、ジョウ・シューイー(周書逸)役を務め、初主演でドラマデビュー。同作の挿入歌も担当し、ミュージシャンとしても活動している。2021年8月から日本での活動も開始。
■作品情報
「何曜日に生まれたの」
毎週日曜22:00~、ABCテレビ・テレビ朝日系にて放送中
出演:飯豊まりえ 溝端淳平 / 井上祐貴 YU 若月佑美 片山友希 濱正悟 / 早見あかり ・ シシド・カフカ 陣内孝則
脚本:野島伸司
音楽:福廣秀一朗
主題歌:The Hollies「Bus Stop」
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー:南雄大 松原浩 柴田裕基 難波利昭
演出:大塚恭司 岩本仁志 松原浩
制作著作:ABCテレビ
<衣装>
ジャケット ¥66,000(コンフィアンス/ジョワイユ)
ネックレス ¥110,000、ブレスレット ¥49,500、フープピアス ¥14,300、スクエアピアス ¥13,200、イヤーカフ ¥19,800、リング ¥26,400(すべてガルニ/ガルニ トウキョウ)
その他はスタイリスト私物
ヘアメイク/佐々木麻里子
スタイリスト/齋藤 良介
取材・文/安田ナナ
撮影/渡会春加
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