2023.02.19
南阿蘇初のラグジュアリーリゾートでカルデラと雲海を独り占め
THE ACONCAGUA RESORTS(アコンカグアリゾーツ)
阿蘇カルデラ南部、阿蘇五岳と外輪山に挟まれた南郷谷に位置する熊本県南阿蘇村。熊本空港から車で1時間ほど行くと、次第に空が広くなり、彼方此方に広がる田園風景はどこか懐かしい、日本の古き良き風景を思い起こさせます。周辺には白川水源や竹崎水源などの南阿蘇村湧水群があり、「平成の名水百選」に選定されるほど、名水の里としても知られています。
立ち寄った「道の駅 あそ望の郷くぎの」のゲートの先には雄大な阿蘇五岳がパノラマに広がります。水の流れを利用して米を搗き粉を挽く水車小屋や、手打ち蕎麦体験ができる南阿蘇そば道場、ドッグランコース、パークゴルフ場まで、充実のコンテンツ。
南阿蘇の大自然に包まれたスモールラグジュアリー
今回宿泊先に選んだのは、2021年10月に開業した「THE ACONCAGUA RESORTS(アコンカグアリゾーツ)」
140年以上の歴史を誇る老舗・栃木温泉「荒牧旅館」がその前身で、南阿蘇エリア初のラグジュアリーリゾートとして話題を呼んでいます。
新阿蘇大橋のすぐ近く、阿蘇谷を流れる黒川と、南郷谷を流れる白川が合流する場所、立野渓谷を見下ろす高台に位置し、南阿蘇の自然を間近に感じられます。
18,000平米の広大な敷地内には、インフィニティプール、ダイニング、ラウンジ、貸切露天風呂、大浴場、キャンプ場を併設しています。レストランや大浴場は宿泊客以外も利用できるので、週末などはドライブがてらランチに訪れる地元客も多いとか。
エントランスに入ってまず圧倒的な存在感を放つアートは、世界的にも活躍している南阿蘇出身の画家・興梠優護さんの作品。ロビーの壁にライブペインティングで描き上げたそう。
高台に突き出すようにデザインされたフレームレスのインフィニティプールは、このホテルのアイコン的な存在。温水で管理されているため、少し肌寒い日でも利用できるのが嬉しい。(冬季は休業中。不定期で利用できる週末も)
ちなみに「アコンカグア」とは、アンデス山脈の主峰で標高6,960mを誇る、南米最高峰の山。アルゼンチンとチリの国境に位置し、現地の言葉では「山の番人」を意味するそう。
わずか12室のカルデラと雲海を望むゲストルーム
広大な敷地内に客室はたったの12室。シンプルなスタンダートルームからヴァレービューのスイートまで、異なる間取りと価格帯でゲストのニーズに合わせて選べます。ルームプレートが数字ではなくアルファベットで記されているのも印象的。
今回宿泊した「Valley Exclusive」は、南郷谷から立野渓谷を望む絶景を堪能できるゲストルーム。
窓の向こうに広がる朝焼けに照らし出された南阿蘇はとにかく圧巻。雄大な阿蘇山のカルデラを一望でき、運が良ければ幻想的な雲海に遭遇することも。
ベッドの後ろに設置されたバスルームはガラス張りで、鏡越しに映し出される原生林を見ながら身支度をする、贅沢な朝のひと時。
日帰り利用もできる、源泉掛け流し貸切風呂
約140年前、この地に開湯したと言われる栃木(とちのき)温泉。毎分400ℓ以上湧き出る豊富な湯量を誇り、温泉からは南阿蘇の四季折々の風景を感じられます。
大浴場は男女共に内風呂、外風呂があります。岩風呂は岩場をゆっくり降りて行くと辿り着く、野天風呂のような秘湯感があります。
夜は月や星空を観測しながら、翌朝は朝日をめいっぱい浴びながら湯浴みを。今後はスパも開設予定だそう。
特筆すべきは6室ある貸切風呂。全室渓谷向きで、内風呂と半露天風呂を備えています。
南阿蘇の草原の美しさや、外輪山の切れ間、有明海に沈む夕日を望めるプライベート感ある空間は、“家族湯”の風習がある熊本ならでは。
当初アコンカグアリゾーツのオーナーが子供たちのために温水プールを作ろうと掘ってみたところ、たまたま源泉が湧いたことでこの貸切風呂が誕生したそう。
源泉掛け流しの豊富な湯を贅沢に利用し、鉄分豊富な泉質は疲労回復効果も。保湿成分で知られるメタ珪酸と鉄分を多く含み、湧き出る透明な源泉は空気に触れることで黄色に変わります。40~42℃のぬるめの湯でありながらも冷めにくいため、時間をかけてじっくり浸かれるのが特徴。就寝時までポカポカ温かいのが続きます。
完全予約制でビジター利用可。日帰り風呂は1部屋60分利用で5,000円。時間延長(最大60分まで)の場合、追加料金5,000円。
ハッピーアワーは宿泊客限定のラウンジで
16~18時のハッピーアワーは、宿泊者限定のラウンジでフリーフローが楽しめます。ビールやスパークリングワインなどのアルコール類のほか、ソフトドリンクやスナック類も。
バーカウンターはどこかオーセンティックな雰囲気。ディナー前にちょっと一杯、プールサイドで夕日を見ながらアペロするのもいいかも。
さらにはチェックアウトのギリギリまで楽しめるようにと、翌日10~12時にもフリーフローを設けているのも嬉しいポイント。
チェックアウト後にランチをとり、インフィニティプールで泳いだり、貸切風呂で再び湯浴みを楽しんだり、思う存分ステイケーションを満喫してから夜のフライトで帰る宿泊客も多いとか。
こだわりの食器と創作フレンチ
シックでモダンなロビーと一体化するように設計されたレストラン「La Xanadu(ラ ザナドゥ)」では、南阿蘇のおいしい水と大自然で育まれた食材をふんだんに使い、従来にはない視点で調理しています。和洋のシェフが常駐しているため、連泊のゲストも飽きることなく食事ができます。
思わず目を引くのは、パキッとした鮮やかな色と華やかな模様が描かれたプレート、そして色彩豊かで繊細な盛り付け。運ばれてくる一皿一皿がまるでアート作品のよう。
テーブルに華を添える食器たちは特注で作られたものだそう。目も心もお腹も満たしてくれる、究極の美食体験。
この日いただいたのは創作フレンチコース。ワインはソムリエがセレクト。和食には熊本の地酒を提案することもあるそう。
ランチでは南阿蘇・久木野名物の一つでもある蕎麦会席を提供しているそう。ホテルで製麺しているという手打ち蕎麦には定評があり、リピーターも多いとか。
地産地消の和朝食
翌朝、暖かな自然光が差し込むダイニングで朝食を。パチパチと音を立てながらゆらゆらと燃える暖炉の火に癒されます。
テーブルに美しくセットされた豪華な和定食。ここでも器に心を奪われます。
フルーツにヨーグルトと蜂蜜をかけていただくリフレッシュメントから始まり、釜炊きご飯とそれに合う副菜、焼き魚などが並びます。ジュースやミルクは好きなものを好きなだけどうぞ、というスタイル。
グループステイにおすすめのゲストキッチン
ゲストフロアに設えたキッチンダイニングでは、家族連れやグループ旅行、あるいは長期滞在のためのパーソナルキッチンとして、新しい旅のスタイルを提案しています。調理器具や食器も揃っていて、宿泊客は無料で利用できます。
敷地内のキャンプサイトでは、テントも食材も全て自由に持ち込むスタイル。近くのスーパーマーケットや道の駅で各自食材を調達して、BBQを楽しめます。暖かくなるこれからの季節におすすめ。
進化し続ける終わりなき未完成リゾート
2016年の熊本地震によって温泉設備が損傷し再建困難と思われていたものの、「止まった時間を動かし、南阿蘇の復興を加速させたい」というオーナーの強い想いで再出発。2021年、今までにないリゾートが見事に誕生しました。
開業はしたものの、パーテーションを作り替えてみたり、ウッドデッキを設置してみたり、時代のニーズに合わせながら今もなお進化し続けているそう。まるでサグラダファミリアのように、ある種の未完な芸術作品なのかもしれません。
今年3月下旬にはグランピング施設がOPEN。サウナが増設。ドッグランスペースが併設され、ペットと泊まる滞在プランがスタート予定。
南阿蘇の復興を支え、この地に新風を巻き起こし続ける、新たな“番人”、アコンカグアリゾーツ。ぜひ一度足を運んでみては?
17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。6年にわたってMBSラジオパーソナリティを務める。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は47カ国。特にタイに精通し、渡航回数は30回以上。ハワイ留学、LA在住経験有り。現在は拠点を湘南に移し、全国各地を巡りながら、東京と行き来してデュアルライフを送る。JSAワインエキスパート呼称資格取得。
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