2023.03.11
老舗一流店による感動体験に出会える“Otonami”
Otonami(おとなみ)
私たちが住む日本には、日常生活では気づかないだけで、実はとても身近にたくさんの素晴らしい文化が時代を超え受け継がれています。「Otonami(おとなみ)」は、そんな日本の知られざる魅力に出会うことができる体験予約サイト。新しいことを始めてみたいなと思っていたあなたに。きっとぴったりの出会いがあるはず。
これからの“大人のたしなみ”
Otonamiという名前は、「価値観が多様化するなか、広い意味での日本の文化を理解することが、これからの時代の“大人のたしなみ”ではないか」という考えが由来。
「日本のまだ知られざる魅力や本当に価値があるものを、より広く、より深く伝えていきたい。感動体験を通して、人生を豊かなものにしてほしい」という想いを込め名付けられたのだとか。
早速予約サイトをのぞいて、どんな素敵な感動体験に出会えるか検索してみましょう!
日本は豊かな観光資源がありながら、伝統分野は小規模な老舗事業者がほとんどで見つけ出すのは至難の業。価値があるものでも発信できなければ埋もれてしまいますが、それらを発掘してくれるこのサイトを利用すれば、簡単に予約、気軽に体験することができます。
ユーザーの多くは、知的好奇心が高く「本物志向」。そのため掲載されているのは「魅力的な体験であるかどうか」「非日常を体感できるかどうか」など、独自の基準による厳正な審査・選定をクリアした店舗のみ。本物の一流店ばかりが揃います。
今回は都内で体験できる“金継ぎ”に心惹かれ、予約してみることに! 複数回レッスンのため、今回は初回をレポートします。
和の伝統・食文化に触れる
伺ったのは東京・日本橋にある創業100年の「器 日本橋 夢東 本店」。
1923年に「漆器問屋 武藤三郎商店」として創業して以来、百貨店を中心に、漆器やガラス器などの卸売販売を行い、1階のサロンには職人の手によって生み出された美しい漆器やガラス器が並びます。
蒔絵や金継ぎをはじめ、様々なワークショップを企画し、日本の伝統文化を発信中。
ワークショップ開催のきっかけは、例えば漆器職人として活躍している人の多くが70代など、全国の工芸職人の高齢化が進んでいること。若い世代にも伝統工芸に触れ、楽しんでもらうことで、その魅力を広く後世に繋ぎたいとの想いからスタート。
また、取り扱う漆器は使い込むほど良く、木でできた器をつかうと愛着がわきます。漆器=馴染みの薄いものと捉えるのではなく手軽に使ってみることで、ハードルを下げてほしいのだとか。
店名の夢東(むとう)にちなみ、毎月6~10(日曜日以外)は20%引きのイベントを開催中。この時を楽しみにしているファンも多いそうですよ。
《「器 日本橋 夢東 本店」老舗漆器専門店で学ぶ昔ながらの本格金継ぎ −複数回レッスン−》
体験内容は、うつわの割れや欠け、ヒビを、漆を使って修復する金継ぎ。そして純金粉を用いた蒔絵の技法で装飾する本格的な金継ぎを学びます。
体験は、完成までに複数回(平均8回)通うコース。初回は乾きが速く扱いやすい合成漆で基本の流れを学び、2回目以降は職人と同じ本漆を使います。
大切なうつわとじっくり向き合う時間
持ち物は、エプロンだけなので手ぶらで参加可能なのが嬉しいところ。ちなみに、使い捨てのエプロンであればお店でご用意いただけます。
【①割れの補修→②(欠けがある場合)欠けの補修→③ひびの補修】の順に進みます。
まずは「簡易金継ぎ」という短時間で作れる材料を使用して練習。合成漆を使用しているためかぶれる心配がなく、扱いやすいのが特徴です。
私は祖母にもらった大事なうつわを割ってしまい、それを直すことに(※お店で用意した皿も使用可)。
割れてしまった時は悲しい気持ちでしたが、先生にお見せすると「これは金継ぎが映えそうな、いい割れ方ですね!」と褒めていただき(笑)、明るい気持ちでスタートすることができました…!
①割れの補修
まず、割れ目に爪楊枝で接着剤を塗り、ズレないよう継ぎ合わせます。割れ目が合うように接着剤を薄く均一に伸ばし、素早く行うことが大事。ぴったりはまれば仕上がりがより綺麗に。思わず息を止めてしまうほど、集中力が高まる瞬間です。
接着部分がズレないよう固定。口にする部分には適さないため、食品がずっと当たっている部分や底などが割れてしまっている場合は食器として使用するのは難しいとのこと。今回は端が欠けただけなので、また食器として生まれ変われそうです。
半乾きになったら、はみ出した接着剤をきれいに取り除いていきます。
和やかな雰囲気のワークショップでは、金継ぎにまつわるお話も聞くことができ、より理解や興味が深まります。
「お話をしたり付加価値をつけて満足度を上げて帰って欲しい。来てよかったと言ってもらえるのが一番嬉しいですね」と先生。
思い入れのあるものが直った! という、体験した方が喜ぶ瞬間を間近で見られるのが何より嬉しいのだとか。
②欠けの補修
欠けている部分に、パテを少しずつ盛ってすき間を埋める作業に移ります。硬化したらはみ出ている部分をヤスリで削り、うつわの形を整えます。
目をつぶって触っても、境目がわからないくらいになめらかに仕上げるのが成功の秘訣。
③ひびの補修(塗り)
いよいよクライマックス! 合成漆・金粉・うすめ液を混ぜたものを筆先に付け、継ぎ目やパテ埋めをした部分に線を描きます。失敗しても修正できるので、初心者でも安心。
欠けているところに色をのせて、まるで実のような表現をしたり、月に見立てたり…。そんなことから、金継ぎでは修復された傷跡を「景色」と呼びます。線の太さや揺らぎも味わいを生むので、リラックスして心の赴くまま筆を走らせます。
一般的な簡易金継ぎの教室ではここで完成。しかし、仕上げに金箔の粉を付ける「金粉蒔き」の工程が体験できるのが「器 日本橋 夢東」ならでは。乾いた漆に金粉をチョンチョンと乗せていくと、みるみる表情が変わります。
上に金箔でお化粧することで、もう一段階輝きが増し、ぐっと高級感のあるうつわに大変身。
ご覧ください…! 大切な器が、想像よりも遥かに美しく生まれ変わりました!
“割れたものを直す”だけではなく金継ぎをすることで、アートのように全く違う表情を見せてくれるのも醍醐味なのだと感じました。
2回目以降は、職人と同じ本漆を使用し、本格的な金継ぎを体験します。より時間をかけて行うので完成した時の喜びもひとしおなのでは、と楽しみです。
美しい日本の伝統で“感動体験”を
Otonamiのサービスコンセプトは「日本の魅力を感動体験として届ける」。ただ“体験”して終わるのではなくそこに“感動”はあるか? もプランの企画において重視しているポイントなのだとか。
実際に事業者からは「多くの方が自分たちの取り組みに関心を持って体験してくださることが嬉しい」、ユーザーからは「今まで敷居が高いと思っていたけれど、より日本の文化が身近に感じられた」との声も。
作り手と私たちを繋いでくれる存在は大きいと痛感。今回の深い学びのある時間が、生活に彩りを与えてくれるものになりました。触れてみないと味わえない日本の魅力、みなさんも一度体験してみては?
◆『「器 日本橋 夢東 本店」老舗漆器専門店で学ぶ昔ながらの本格金継ぎ −複数回レッスン−』
1回 5,500円(税込/1名)
料金に含まれるもの 体験料、講習料、材料費、施設利用料
※2回目に参加の場合、金継ぎの道具(税込11,000円)をオプションにて購入。
※詳細はHPをご確認ください。
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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