2022.09.04
機内食ってどう作られる?工場見学ツアーに元CAが潜入!
WRLD FLVRS(ワールドフレーバー) The CREW
飛行機で旅に出るときの、醍醐味のひとつである機内食。
でも、一体どのように作っているのか気になったことはありませんか? かく言う私も、CAとして乗務経験がありながら、その製造工程を見たことは一度もないのです。
今回は、通常一般の方は入ることのできない機内食工場を見学できる特別なツアーに参加。みなさんもご一緒に、機内食の世界をのぞいてみましょう。
誰も知らない舞台裏。見学ツアーに出発!
世界60ヵ国200拠点、世界各国のシェフたちが腕を振るう、機内食業界で世界最大規模の企業Gate Gourmet (ゲートグルメ)社が手掛けるWRLD FLVRS(ワールドフレーバー)。
「飛行機が好き」という方から絶大な人気を誇る、心をつなぐオリジナルグッズを扱うThe CREW。
この2社がタッグを組み、今回が第一回目となる成田工場見学ツアーが実現。1日限定、午前・午後の2部制で開催されました。
The CREWの公式HPで予約後、自宅に届いたのはビジネスクラス仕様の搭乗券。FROMが自宅のある”YOKOHAMA”になっており、まるで本物のパスでこれから飛行機に乗るような気分に。行き方の詳細も同封されていて安心。旅の始まりです!
こちらがGate gourmet Japan成田工場。スイスに本社を構え、日本では成田・羽田・広島に拠点を置き、ここで航空各社の機内食の製造から機内搭載までを担っています。
世界中で各国のエアライン・政府専用機の機内食を提供している強みを活かし、旅に出ることが難しい昨今「気軽に機上のグルメを届けたい」という想いからWRLD FLVRSが誕生しました。
製造工程が見られる一生に一度の経験
搭乗券で受付を済ませ、指定のシートナンバーに着席。スケジュールについての説明後、健康についてなどの簡単な書類を書きます。消毒し、白衣・ヘアキャップ・シューズカバーで衛生対策は万全。
【搬入】海外から買い付けた食材は、そのまま40ftコンテナで工場に直付け。システムを使って、何時にどんな食材が届いたのかなどを管理しています。鮮度には細心の注意を払い、少しでも解凍の兆しがあるものは受け付けません。
Gate gourmetが扱う主なエアラインは、ユナイテッド航空、タイ国際航空、エミレーツ航空、カンタス航空など。中でもエミレーツ航空の機内食はすべてハラル。
この保管エリアでは、食材レベルでかなり細かく区分けされ(ゼラチン・動物性のチーズもNG)、使用する食材も、ハラルの協会が認定したもののみという徹底ぶり。
【調理エリア】ここからはしっかり手指を消毒。白衣の小さな塵も除去してから入ります。
《冷蔵庫》扱う肉の7~8割はハラル対応で、高品質のものを使用。下ごしらえなどを行う作業用のテーブルや冷蔵庫も分けられ、ハラルのものが、ハラル以外のものと同じ場所に絶対に入らないようになっています。
《加熱》添加物や保存料は一切加えず、シェフが丁寧に下ごしらえした食材を真空パックに入れ、オーブンの温度制御でじっくり低温加熱します。
それ故、肉汁も逃げず、食感は信じられないほどしっとり! 柔らかく仕上がるのだそう。
特筆すべきは、インターネットに接続されていること。なんと世界各国の拠点からシェフの最新レシピや調理方法などをリアルタイムに取り入れることができるのだとか!
野菜は地元農家のフレッシュなものを使用し丁寧に手作業で取り扱われます。地産地消のFarm to Tableの価値観を大切にしています。
ところで、飛行機に持ち込んではいけないものといえば…? そう、”危険物”です。
飛行機の出発前は、CAなど乗務員も機内に不審物・危険物がないかチェックしますね。工場で使用する包丁などの危険物もQRコードをつけ厳しく管理。誰が何を何時に取ったか把握し、万が一紛失した際は工場を閉鎖して捜索するなど保安が担保されています。
飛行機を飛ばすために、携わる全員が安全を遵守していることを肌で感じ、感動しました。
加熱しないサラダなどのエリアでは食材にストレスをかけないよう、マニュアルを見ながら「作る→パッキング」を短時間に手作業で行います。
【冷蔵庫】こちらのカートはみなさんも見覚えがありますね。完成したミールは5℃の冷蔵庫で搬出まで保管。エアライン、便ごと、ハラルも区分けして管理されています。
CrewMeal(クルーミール)という、機内で乗務員が食べる機内食も作って搭載しています。必ず火を通したものが入るので、寿司などはボイルやマリネした素材を使います。
ここから出発の2~3時間前に飛行機へ搭載するところまでが一連の流れ。すべて無駄のない動線です。
インド料理担当のSinghシェフにお会いすることができました! Gate gourmetでは各国料理のスペシャリストが自ら調理しています。徹底した管理体制と丁寧な作業が、私たちの旅に彩りを添えてくれていることを実感しました。
まるで芸術。ビジネスクラスミールを堪能
【ビジネスクラスミールのコース】工場見学後は、いよいよお待ちかねのお食事タイム!実際に機内で提供しているものと同じものをいただきます。元CAであるTheCREWのスタッフの方がカートサービス。その光景はもう、まるで機内さながら。
~Appetizer~
前菜は「サーモンとクリームチーズのタルタル オレンジマスタードソース」。立体感のある繊細な盛り付けに”わぁ~!”っと一斉に歓声が。
今回使用された料理を引き立たせる美しいお皿は、日本の美意識や価値観を発想の原点に生まれた環境に優しい紙の器「WASARA」のもの。
何層にも、丁寧に手間をかけて作られた前菜は一緒に食べると口の中でトロける美味しさ。オレンジマスタードソースがアクセントになり新鮮な味付け。
あたたかく、ふわふわでもっちりとした良い香りのパンは、ついおかわりに手が伸びてしまいます。
~Main Dish~
メインは「ビーフチーク:希少部位の牛ほほ肉とポルチーニマッシュルームソース」または「ロストポーク:スイス人シェフによるスイス・ベルン州で愛される自慢の郷土料理(写真)」から予約時に選べます。
メインディッシュはなんと機内でCAが実際に行っているように盛り付け体験! 正解はあえて内緒。全員が自由に盛り付けていきます。
ビジネスクラスミールは高さを出し美しく盛り付けるため、加熱してすぐ食べられるエコノミーミールとは異なり、飾りつけやソースなどそれぞれ別の容器に。機内では作業も多く時間との勝負。温めたらすぐ盛り付けて提供できるよう工夫が施されています。
丁寧にのせ…完成! 私のプレートは、見栄えよりも食欲が勝ってしまい、山盛りで少々不格好になりました。
~Dessert~
デザートは「Chefお勧めケーキの盛り合わせ(ブルーベリーチーズケーキ・チョコレートケーキ・プリン)」。紫陽花をモチーフにした華やかなケーキと、飛行機や”The CREW”のオリジナルプレートが可愛らしくどれも絶品です。なんとこれはThe CREWへのシェフからのサプライズだったそう!
喜んで欲しいというホスピタリティがお皿から溢れ、その場にいる全員が温かい気持ちに。
【工場シェフによる質問コーナー&クイズコーナー】機内食に関する質問などが参加者から次々と。地上と上空の味覚の違いによる味付けの工夫など、普段聞くことのできない貴重なお話でした。
集合写真を撮り、最後には嬉しいThe CREWのオリジナルグッズのプレゼントも。飛行機モチーフの気分が上がるものばかりで、実は現役の頃から大ファン! フライト時に愛用していたので喜びもひとしお。
スタッフの皆さんの終始おもてなしの心が温かい、大満足のツアーは大盛況に終わりました。
余韻に浸りながら。さぁ! 次の旅先は?
成田工場から徒歩15分。ツアー後は、「ひこうきの丘」にある「ワールドフレーバーカフェ」へ。滑走路から約600mの場所にあり、離着陸する大迫力の飛行機を見ることができるため、航空機ファン・家族連れでにぎわう観光スポット。
機内食でも出すローストビーフなどを使ったサンドイッチなどの軽食やスープ、手作りプリンなどスイーツが勢揃い。特製のレモネードやコーヒーなどを飲みながら、夕日と飛行機を心ゆくまで堪能しました!
こちらは当日注文して後日自宅に届いた、WRLD FLVRS新作の「南インドカレー」セット。なんと工場でお会いしたシェフが真心込め作ったもの。食べたことのない繊細で深みのあるスパイスが異国の風を運んできてくれました。
「WRLD FLVRS×The CREW」のコラボレーションは、次回も企画中とのこと。新しい景色を見せてくれたツアーのように、今後も目が離せませんね!最新情報をどうぞお見逃しなく。Enjoy your flight & Have a pleasant day!!
◇WRLD FLVRSのお取り寄せについてはこちらの記事をご覧ください♩
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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