2022.03.30
古都鎌倉から梅文化を繋ぐ。1粒から広がる自分だけの梅酒作り
蝶矢
あたたかくなり、ちょっとお散歩に足を延ばしてみたくなる季節になりました。鎌倉散策と一緒に、あなただけの特別な「梅体験」をするのはいかが?
日本一の梅酒メーカーが手掛ける体験型店舗
今回訪れたのは、鎌倉駅から徒歩1分。
日本一の梅酒メーカー・チョーヤ梅酒株式会社が手掛ける梅体験専門店「蝶矢」。自分だけのこだわりの梅シロップ・梅酒を梅1粒から作ることができる体験型店舗です。
みなさんご存知「CHOYA(チョーヤ)」は、2000年までは蝶矢という漢字が使われていました。原点であるこの漢字名をつけ、京都に次ぎ東の古都、鎌倉にオープン。
古民家を改装した非日常的な空間で「梅酒・梅シロップ作り」が体験でき、オープン以来平日でも予約困難という密かな人気店。
鎌倉は、古来より「梅」を兵士の出陣や凱旋時の縁起物として扱い、薬用や食用として、梅文化を発展させてきた縁の地。梅文化を世界へ、現代的なスタイルで発信し後世へ継承したいというメッセージが込められています。
初めて見る梅の新しい一面に興味津々
チョーヤの梅酒は、人工添加物は一切不使用。ここでも梅・砂糖・酒のみで「本格梅酒」を作ることができます。
厳選された素材の中から、試飲して好みのものを選びます。なんとその組み合わせは100通り以上!
果てしなく悩む優柔不断な私ですが…梅について熟知しその楽しみ方を伝える「梅コンシェルジュ」がサポートしてくれるので安心。ぜひ相談してみるのがオススメ。
ボトル料金は、Sサイズ(1杯分) 1,100円/Mサイズ(3杯分) 2,200円/Lサイズ(6杯分)3,300円の3種類。
選ぶ梅、砂糖、お酒によって料金が変わります。※すべて税込
①まず、梅シロップや梅酒を作る過程、梅について学びます。
②梅を決めるため、梅エキスのテイスティング。
梅は通常【完熟南高・白加賀・有機南高・NK14・パープルクイーン】の5種。毎月数量限定の”今月の梅”というのも合わせると6種類が揃い、種類によって味も香りも全く異なることに驚き! ぜひ実際に訪れて味わってみて欲しい特別な経験でした。
③砂糖のテイスティング。
砂糖は【氷砂糖・こんぺい糖・はちみつ・てんさい糖・有機アガベシロップ】の5種。南高梅に漬けたシロップを飲み比べます。う~ん決められない…!
④梅酒の場合は最後にお酒選び(テイスティング無し)。
【ウォッカ・ブランデー・ホワイトラム・ジン】の4種。
私が選んだ組み合わせは…
Sサイズ:パープルクイーン×こんぺい糖×ホワイトラム
さくらんぼの様な赤い小梅とこんぺい糖がカラフルでたまらなく可愛い。珍しいホワイトラムをチョイスしてみました。
Mサイズ:有機南高×氷砂糖×ウォッカ
相談に乗ってもらい、店長 北村さんオススメの「THE梅を楽しめる」組み合わせに。
有機南高は蝶矢が和歌山の生産者と一緒に20年以上かけて取り組んだ有機栽培の南高梅のこと。梅本来の個性をそのまま引き出し、魅力を存分に楽しめるのだそう。完成が待ちきれない…!
梅は、土壌選定・収穫の時期や育て方など蝶矢と共に生産する農家から仕入れた高品質なもののみ。手摘みのため傷もなく、高等級の梅にこだわっています。
梅の収穫期は1年に1回だけ。毎年6月、収穫しすぐ‐40℃で急速冷凍。それが通年、高い品質の梅を提供できる理由なんだそう。
⑤梅のヘタをくり抜き、梅・砂糖を交互に入れます。これがお酒になるなんて!
⑥お酒を注ぎ入れ、蓋をしたら完成です! ここまでの所要時間は約30~45分ほど。
ボトルはリユース可能で、次回以降持参すれば半額程度でサステナブルな梅体験が可能。セットはオンラインでも購入可能なので自宅でも漬けることができます。また来たいとすでに思ってしまうほど心を鷲掴みにされる時間でした。
最後は箱詰めしてお持ち帰り。お店で商品を預かってもらえるので、鎌倉散策へ出かけるのもオススメです。
「蝶矢」の由来は、本社がある大阪羽曳野市でその昔、蝶たちが舞い、鏃(矢じり)が多く出土したことが由来。ロゴは梅の産地である和歌山の山々と中心は梅の実。左右には受粉を助けてくれる頼りのミツバチたちがモチーフ。ロゴからも梅への愛情を感じます。
「蝶矢」でしか買えないテイクアウトドリンクや限定梅酒も
体験後は見頃を迎えた梅の木を見ながら、季節限定「梅桜アフタヌーンソーダ」を飲んでテラスでまったり。縁側で日向ぼっこをしているような、心地よい空間(体験以外の方も利用可)。
大粒の完熟南高梅をクラッシュして味に変化を出すのも美味。レシピは約2ヶ月ごとに変わり、すべてスタッフの方々が考案というこだわり。
じっくり愛情を込めて1ヶ月、しばしお待ちを。
帰宅後すぐに飲みたい衝動を抑えるのに一苦労…。梅酒の場合最初の2週間は毎日攪拌、残りの2週間は熟成を見守ります。保管方法等の説明書他、LINEチャットでも梅コンシェルジュにいつでも質問できるので安心。愛情を注いで育て、変化を楽しみ観察しながら完成を待ちわびます。
長期休暇では、お子さんの自由研究としてのセッションも開催され人気だそうですよ。
「梅体験」を通して梅をもっと身近に
実は、日本の家庭では漬けた後の梅が年間2800トンも破棄されているのだとか。(その点CHOYA工場では破棄せず完全有効活用している徹底ぶり!)
今年からフードロス削減を目指し、蝶矢ではSDGsチームを結成。「漬け梅を捨てずにおいしく食べよう」という活動をスタート、HPやInstagramでメンバー考案のレシピを発信中。梅を知り尽くしているからこそ、魅力を最大限に引き出せるレシピに目から鱗!誰でも簡単に、小さなことから始められますね。
昔は家庭で日常的に漬けていた梅も、1kg単位の梅を買うのは現代では少々ハードルが高いもの。
「実を食べたことが無いという若い世代が多く梅離れが進む中、こうして1粒からでも作れる梅体験を通して、楽しいなと感じ、より梅を身近に感じてもらえたら。梅に携わる人が増え、文化が受け継がれていってくれたら嬉しいですね」と北村さん。
今年はちょっと特別な梅体験してみては?
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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