2021.02.24
読んで楽しむイタリア旅。動物と触れ合えるトスカーナの農家民宿
トスカーナ LA VALLE DEGLI ALPACA
動物がのびのびと暮らす、トスカーナのアグリツーリズモ
ワインの生産地として名高い、トスカーナのキャンティ地方。
広大な丘に沿ってワイン畑が広がる美しい風景と、豊かな土地から採れた食材を使った料理とワインは、世界中の人々を魅了して止みません。
そんなキャンティに、地元の人が知る人ぞ知る、動物たちがのんびりと暮らす楽園があると聞いて訪れたのが、こちら「LA VALLE DEGLI ALPACA(ラ・ヴァッレ・ディ・アルパカ)」です。
「アルパカの谷」という意味ですが、実際は谷ではなく、見晴らしのいい丘の上にあります。
元々はアグリツーリズモ(農家民宿)としてご主人が建てた、伝統的なトスカーナの大きな家。でもその直後から次々と孫が生まれたため方針を変更、現在はファミリーが三世帯で賑やかに暮らしながら、4月から9月のオンシーズンに日帰りのゲストを迎えています。アルパカやウールのニット製品も販売しています。
貸し切ってのんびり過ごせる屋外プールや、広大な庭でのパーティも人気。
でもなんといっても最大の魅力は、ここで暮らすアルパカや他の動物たちとの触れ合いです。今回は、触れ合いとアペリティフがセットになったプラン(15ユーロ / 約1,900円)を予約しました。
私たちが訪れた夕刻は、動物たちが庭から小屋に戻り始めていました。アルパカの寝床へ入れてもらい、まずはアルパカ達との距離感を図ります。
アルパカは典型的な草食動物で、性格はとても穏やか。少し臆病な子は後ろの方から私たちをじっと見つめ、好奇心が強い子は大きな目をクリクリさせながら少しずつ近寄ってきます。
か、かわいい! 顔も体も仕草も全てがかわいい♡ ふわふわの首の動きもたまりません。
極めつけは、生後2週間のプリモ君。ピュアでキュートで柔らかい、失神しそうになるほどの愛らしさ♡♡♡♡♡♡
その時オーナーのアントネッラさんが、3年前の悲しい出来事を話してくれました。
夜中にオオカミの群れが襲来し、12頭のアルパカが命を落としたそうです。そして狼たちが食したのは一頭のアルパカだけで、残りの11頭はただ命を奪われただけという無念。想像を絶する惨劇に言葉を失いました。
そして奇しくも、この日お気に入りのオオカミのTシャツを着ていた息子。完全に服のチョイスを誤りました。
アルパカに続き、羊と馬も小屋の中に戻ってきました。この後夕食を食べ、19時には就寝です。
小屋に入る前に、ポニーの乗馬もさせてもらいました。馬と一緒に草を啄んでいたアヒルや七面鳥たちも、しばらくしてから鳥小屋へ。
のびのびと遊ぶ一家の子供たちとも、友達になりました。
ローカルフード&ワインで、至福の夕暮れ時間
動物たちと遊んだあとは、アントネッラさん一家特製のチーズや生ハム、ブルスケッタ、そしてワインをいただきます。
全てキロメートル・ゼロで作られた、オーガニックのおつまみとワイン。新鮮で濃厚な味わいで、ワインが進む、幸せなひと時。
普段から白ワインを水のように嗜むノンナも、ご満悦です♡ 御年88歳、健康の秘訣は、人生を楽しむこと! ちなみに白ワインの次に好きな飲み物は、ジントニックという強者です。
広い空が薄暮に染まる頃。丘の向こうから運ばれてくる風が少し涼しくなると、1日が終わる合図です。離れがたい気持ちを通り越した挙句、次の日も訪れる約束をして家路につきました。
動物たちが今夜も平和に、穏やかな眠りにつきますように。
※この記事は昨年夏の時期に感染症対策を十分に行った上で取材をしました。
映像ディレクターなどを経験し、ヨーロッパなどを旅した後に、NYに留学。そこで出会ったイタリア人の旦那さんとの結婚を機にミラノに。現在は育児の傍ら、通訳や日本食ケータリングのお仕事もしています。人との距離感やテンション、センスなどミラノの全てが大好き! 記事では街やそこに住む人々の魅力も伝えていきたいです。様々な形で日本とイタリアの橋渡しができればと思っています!
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