SERIAL STORY

2021.02.11

ムズムズの季節に「鯛」
鯛のポワレ バジルソース添え

仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という東洋医学の知恵に基づき、旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!

2月後期のカラダとココロ

東洋医学では「五行(ごぎょう)」と呼ばれる自然哲学の思想がとり入れられていて、その中で「春は風の季節」といわれています。気候だけでなく、人体の中でも風が吹くため、鼻がムズムズしたり、皮膚や目が痒くなったりするアレルギー症状が頻発するのがこの時期。風は変化が早く、遊走性や移動性、動揺するという特徴があり、じん麻疹や花粉症などの春のアレルギーに影響を及ぼすとの考えから、東洋医学では風の邪気を発散することで治療します。

昔はなかったアレルギー性鼻炎が急激に増加した原因は、花粉だけでなく、大気汚染や食品添加物、食生活と住環境の変化などにより、わたしたちの体質が変わったことも大きく関係していると考えられます。体質や時期によっても症状が違ってくるので、以下のふたつのアレルギータイプをチェックしてみてください。

アレルギーのタイプと養生のポイント

風寒タイプ(くしゃみ、鼻水、鼻づまりタイプ)

※2月~3月の寒さが残る春先に多い
透明の鼻水がたらたら止まらない、鼻がむず痒い、くしゃみを連発する、朝起きたときの症状がひどい、むくむ、冷えると症状が悪化する、など
寒がりで手足が冷たい体質の方、寒い地域の方は、このタイプの花粉症を起こしやすい

症状が悪化したときは、生姜、ねぎ、シナモンをとり入れて

風熱タイプ(目が充血して痒い、咽が痛いタイプ)

※4月~5月の少し暖かくなってきた時期に多い
目が充血して痒い、目ヤニが出る、咽が痒い、咽に違和感や痛みがある、鼻づまり、鼻汁が粘く黄色い、咳が出る、皮膚が赤く痒くなる、温まると悪化する、など
暑がりで手足がほてる方、目が充血しやすい体質の方、暖かい地域の方は、このタイプの花粉症を起こしやすい

症状が悪化したときは、ミントや菊の花、大根、葛粉などをとり入れて

この季節になるべく避けたいこと

生のもの、冷たいもの、唐辛子やにんにく、乳製品、アルコール、アレルゲンの植物に近づくこと、寝不足など

ムズムズの季節に鯛

鯛の旬は春と秋の2回あり、産卵前の春に漁獲されるものは「桜鯛」と呼ばれています。良質な動物タンパクを質たっぷりと含んでいる鯛は、免疫力を高めるほか、粘膜を保護する効果もあるといわれています。また、胃腸の調子を整えて、むくみを解消する作用も。脂質が少なく、あっさりとクセのない味わいの中に、特有の旨味と香りがあるのが特徴です。どんなジャンルのメニューとも相性がよく、魚の中でも扱いやすいので、料理初心者の方にもおすすめ。

鯛を使った主菜

鯛のポワレ バジルソース添え

材料(2人分)

  • 真鯛(切り身) 2切れ
  • 塩 少々
  • オリーブオイル 小さじ2
  • バジルソース(作りやすい量)
  • バジル 20g
  • 塩麹 小さじ2(または塩ひとつまみ)
  • カシューナッツ 大さじ1(松の実やくるみなど、ほかのナッツで代用できます)
  • オリーブオイル 大さじ2

皮目はカリッと香ばしく焼いてパリパリの食感に、身はふんわりとやわらかく仕上がるポワレは、鯛におすすめの調理法です。切り身を使うことで、包丁なしで気軽にできるのもうれしいところ。風の邪気を発散するバジルを合わせて、アレルギー症状に効果を発揮するレシピです。横に添えるバジルソースは、にんにく不使用にすることで香りが引き立ち、鯛の風味をいっそう際立たせます。バジルの代わりに春菊や大葉でもおいしくできるので、ぜひお試しを。

バジルソースをつくる下準備

バジルの固い茎の部分をのぞく

バジルソースをつくる下ゆで

沸騰した湯にバジルをさっとくぐらせ、すぐに氷水にとる

ひと手間の理由

湯通しすることで発色がよくなり、時間がたっても変色しません。火を通しすぎると香りが飛んでしまうので注意

バジルソースをつくる撹拌して合わせる

水気をしぼり、塩麹・オリーブオイル・カシューナッツと一緒にミキサーまたはブレンダーにかける

ひと手間の理由

ペーストが固いときはオリーブオイルを足して、さらに撹拌します。ミキサーやブレンダーがない場合は刻んで混ぜてください

1 下準備

鯛の両面にまんべんなく塩をふり、10分ほど置く

2 皮目からしっかりと焼く

オリーブオイルを熱したフライパンに、鯛の皮目を下にして入れたら、焼き縮みを防ぐために10秒程度ぎゅっと押さえつける。皮目においしそうな焼き色がついたらひっくり返し、蓋をして中まで火を通す

3 仕上げ

焼きあがった鯛のポワレを皿に盛り、バジルソースを添えて、できあがり

体に良いといわれている食べものも、食べ方によっては毒にもなります。よく噛んで、適量でやめることが大切。「ありがとうございます」を3回心で唱えながら食べると30回噛めて、少しの量でも満足できます。

(献立担当) 鈴木聖子 Seiko Suzuki

料理研究家。大学で栄養学を習得し、卒業後は飲食店のスタッフトレーニングや商品開発の仕事に従事。その後オーストラリアへ渡り、レストランで働きながら食文化を学ぶ。帰国後はクッキングスクールに10年間勤務。2013年から「3さいからはじめる料理教室 KISSAKO」を主宰。季節の食材を使う料理レッスンのほか、企業向けのレシピ開発、ケータリング、加工食品販売なども手掛ける。頭の中は常においしいもののことでいっぱいな二児の母。

料理教室・料理研究家KISSAKO / instagram / facebook

アレルギーを起こさないためには、胃腸を元気にしておくことが大切です。日頃、冷たいものや生もので胃腸を冷やしている方は鼻水たらたらの症状が出やすくなり、刺激物や甘いものを多く食べる方は赤みや痒みを起こしやすくなります。

(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina

漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局

編集・文/依知川亜希子 撮影/黒澤義教

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