2025.11.10
北九州・門司港で、予算5000円の満腹グルメ旅
観光も楽しみつつ、低予算で美味しいものの食べ歩きをしたい。そんな願いを叶えてくれる場所が、北九州の門司港(もじこう)。かつての国際貿易港であるこの場所は、情緒あふれるレトロな街並みを楽しめるほか、米軍発祥のカレー、漁港ならでは新鮮な魚介など、庶民文化や港町の活気から生まれたB級グルメがたくさん! ひとり予算5,000円で、門司港B級グルメを堪能できるプランを提案します。
食文化が発展した、北九州の台所、門司港へ

訪れたのは、北九州空港からバス、電車を乗り継ぎ約40分、新幹線の小倉駅から約15分の場所にある門司港。ここは、明治・大正時代に日本とアジアや欧米を結ぶ国際貿易の拠点として発展した場所。港には多くの外国人や商人が訪れ、異文化交流が盛んに行われ、食文化も発展したそう。

バナナの輸入港でもあり、バナナの叩き売りの発祥の地としても知られています。これは、輸入されたバナナを新鮮なうちに売り切るため、港で働く人々が独特のリズミカルな口上でバナナを売り歩いた商法です。港町にはバナナのモニュメントがたくさんあるほか、バナナジュース、バナナケーキなどバナナにちなんだお土産もたくさん!

町には、洋風建築やレトロなデザインの建物がたくさんあって、まるで海外に来たような雰囲気。歴史的な赤レンガや石造り、装飾的なファサードが特徴的で、散歩しているだけでも楽しいです。ちなみに、写真の右下は、門司港駅。現役の駅舎では、日本で初めて国の重要文化財に指定された建物で、文化遺産指定されています。駅構内のスターバックスもお洒落です。
とろり半熟卵と、焦がしチーズが香ばしい焼きカレー

食べ歩きグルメ旅で、最初に選んだのが焼きカレー。なんと、門司港地区のお店で40店舗以上が焼きカレーを提供しているという、正真正銘のご当地飯です。誕生は昭和30年代の喫茶店。余ったカレーをどうするか悩んだ店主が、オーブンで焼いてまかないにしたのが始まりだそう。街をぶらぶら歩いて見つけた、レトロ可愛い「門司港茶寮」というお店に入りました。

こちらの「焼きカレー」(サラダ付き、1280円+税)は伝統に忠実に作ったクラシックなもの。バターライスにマイルドなビーフカレー、半熟の卵にこんがりと焼けたチーズがトロリ。夕食の前菜でカレーは重いかな? と思ったけれど、スパイシーな香りとたっぷりのコクが食欲をそそり、ふたりで一皿、あっという間に完食!
門司港が紡ぐ伝統食、瓦そばとふぐ料理

次に訪れたのは、瓦そばの由来のお店「元祖たかせ」。もともと瓦そばは、山口県の旅館「高瀬」から始まったもの。明治10年、西南戦争中に西郷隆盛率いる兵士たちが、野営中に屋根瓦を熱して肉や野菜を焼いて食べたのが発祥だとか。その後、旅館のまかないで出され、茶そばを乗せて焼く形に開発されたそう。

テーブルに運ばれてきたのは、どーん! と存在感のある瓦に乗った瓦そば(一人前 1,485円・税込)。映え感バツグンです。

まずは、麺と具をほぐし、温かい麺つゆでいただき、錦糸卵の甘さ、牛の旨みを堪能。次に、紅葉おろしやレモンをきゅっと絞って味変。さわやかな酸味で、新たな美味しさの麺と具材のハーモニーを味わえます。最後は、焼けてパリパリになった麺の食感を堪能。


下関の近い門司港は、ふぐも名産。ということで、真ふぐのたたき(980円・税込)とふぐの唐揚げ(810円・税込)もオーダー。たたきは、さすがの鮮度の高さ。身のぷりっとした弾力、皮のコリコリとした歯ごたえを感じられます。唐揚げは軽やかな薄衣が、素材の良さを引き立てます。
唐戸市場で鮮度バツグンの、海鮮丼朝ごはん

翌朝は、対岸の下関、唐戸市場へ向かい、新鮮な海鮮丼を食べに行くというプランを計画。門司港駅から徒歩5分の場所にある、関門汽船の乗り場から船に乗ります。(チケットは大人片道240円)。心地よい潮風を感じながら乗船5分で、下関に到着。

船を降りて徒歩2~3分で唐戸市場に到着。業者向け卸売りだけでなく、一般来場者向けの小売りもしていて、場内にはお刺身や韓国食材などのお店が並びます。

向かったのは、2階にある「市場食堂 よし」。朝から新鮮な海鮮や揚げ物が食べられる人気店です。9時に着いたらすでに行列ができていましたが、約15分並んで入ることが出来ました。

この後も食べ歩きしたいので、海鮮丼(1,800円・税込)とふぐ刺し(1,300円・税込)を注文し、ふたりで分けることに。厚切りのマグロ、とろけるようなサーモン、ハマチやいくらなど、鮮度抜群のネタが7種類と豪華! ボリュームたっぷりで朝から大満足でした。
豚骨を代表する大砲ラーメンを食べに福岡へ

せっかく九州に来たのだから、豚骨ラーメンは欠かせない! という食いしん坊魂で、門司港を後にし福岡へ。久留米市で1953年(昭和28年)創業、72年の歴史を紡ぐ「大砲ラーメン 天神今泉店」へ。店名の由来は、「一旦決めたら大砲のように一直線に進む」という意味だとか。

大砲ラーメンの真髄ともいえるのが、「呼び戻しスープ」。創業以来、釜を空にせず、毎日フレッシュな豚骨を加えながら継ぎ足し続けてきたこのスープは、半世紀以上もの歳月を重ねたもの。 豚骨だけを原料に、強火で濁りを出し、塩のみで味を整えて、味噌や醤油は一切不使用。ラーメン職人の方が手際よく濾すスープの濃厚さは目で見てわかるほど!

看板メニューの「昔ラーメン」(750円・税込)を注文。細めのストレート麺に、ねぎ、チャーシュー、卵、メンマのトッピング。スープはクリーミーながら後味スッキリ。なんといっても、背油を揚げたサクサクが美味しくて、これはクセになりそう!

そして、お隣の方が食べていて美味しそうだった「半ぎょうざ 5個」(240円 税込)も追加注文。皮は薄めでカリッと焼かれ、中の具材は豚肉と野菜とスタンダード。ニンニク控えめで、ラーメンと相性良し。小ぶりで軽く食べられてしまうので、これはオーダー必至です。
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街の歴史とともに、食文化が息づく門司港。観光を楽しみながら、美味しい料理を満喫しました。帰りに寄った福岡では豚骨ラーメンも食べることができて、大満足のグルメ旅に。なんといっても、コスパがいいのがローカルフードの魅力。ぜひ、みなさんも海千山千の九州に訪れてください。

美容・恋愛ライター、美食レシピ研究家。女性誌を中心にライターとして約20年活動。恋愛、美容、食、健康、結婚、出産など女性のライフスタイルに寄り添ったコラム執筆ほかセミナーを随時開催しています。料理家としても活動しておりアンチエイジングを目的とした料理を中心にレシピつきレストラン「Mitsue’s Kitchen」をオープン。
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