
2025.10.15
東西が出会う街、イスタンブール。トラムやフェリーを使って絶景を探しに
ヨーロッパ(西)とアジア(東)が出会い融合する街、イスタンブール。歴史的な美や快適さが魅力の西と活気に満ちエキゾチックさが魅力の東、その両方をいいとこ取りできるのはこの街ならでは。そんなイスタンブールに憧れがあるという人は、きっと多いはず!
外せない定番から、少し足を延ばしてでも訪れたい絶景スポットまで、トラムやフェリーなどの移動手段とともに紹介します。
イスタンブール散策は公共交通機関が便利!

移動手段はメトロやトラム、バス、フェリーなど選択肢が多いイスタンブール。
まずは旅行者でも簡単に購入できる、イスタンブールカードを手に入れましょう。日本でいうSuicaやICOCAと同じ感覚で使え、暮らすような旅も叶います。
特に、海外旅行でハードルが高いとされるバス移動も、日本のように現在地と行き先が常に車内に表示されるため、初めてでも問題なく目的地に着くことができます。


今回は主にトラムやバス、フェリーの紹介になりますが、メトロやフニクラなどもイスタンブールカードを改札機にピッとするだけで乗車できるので簡単。ちなみに機械にかざすのは乗車時のみ。下車の際はそのまま出てしまって大丈夫です。
スルタンアフメット ジャーミィ(ブルーモスク)

旧市街に到着したらまず目に入るのが、通称「ブルーモスク」と呼ばれる「スルタンアフメット ジャーミィ」。
イスタンブールはもちろん、トルコを代表するモスクで、オスマン帝国時代の第14代スルタン アフメット一世によって建設されました。
現在は、イスタンブール歴史地域の歴史的建造物群のひとつとして、世界遺産に登録されており、オスマン帝国の栄華を今に伝える観光名所としても重要な存在です。



右:イスラム教についての案内は日本語も! しかも無料
ブルーモスクと呼ばれるゆえんは、ブルーを基調としたイズニックタイル。一枚一枚に緻密な植物や幾何学模様が描かれたタイル約21,000枚が、内部の壁面や天井を飾っています。そのため内部全体が青みがかった空間に見えるのです。約260枚のステンドグラスより光が差し込むと、より幻想的な雰囲気に!
また高さ43メートル、直径27.5メートルの巨大なドーム天井に6本のミナレット(尖塔)があるのも、ブルーモスクならではの特徴です。


観光施設の入場料が高騰するなかで、ブルーモスクの見学料は無料です。一日5度の礼拝(通常時)の時間以外は、イスラム教徒以外にも開放してくれているのはありがたいですよね。
見学の際には肌の露出を少なくし、女性はスカーフを被る、土足厳禁などのルールがあります。サインが出ているので事前に確認しましょう。
■トラム「スルタンアフメット(Sultanahmet)」駅
スルタンアフメッド駅は旧市街の中心にあり、下車した瞬間から観光をスタートさせることができます。
同駅を走るトラムT1はカバタシュ(Kabataş)駅からバージュラル(Bağcılar)駅までを結ぶ路線。イスタンブールの名所であるガラタ橋やエジプシャン バザール、グランド バザールへもアクセスできるため、観光客が多く利用しています。


海上から望むイスタンブールの街並み

イスタンブールを訪れたら、外せないのがフェリー旅! 潮風に吹かれながらヨーロッパ側とアジア側の街を移動すると旅情緒をたっぷり感じられ、まるでひとつのアトラクションを楽しんだような満足感が得られます。
さっきまで歩いていた街並みを海の上から眺める、そんな風に様々な角度から楽しめるのもイスタンブールの魅力のひとつです。


特に旅行者にとって利用価値が高いのが、ヨーロッパ側からカラキョイ・エミノニュ~アジア側のカドキョイ間ではないでしょうか。少しだけフェリー旅の雰囲気を味わいたい場合、新市街カラキョイから旧市街エミノニュまでのトリップも可能です。
■フェリー・メトロ・バス「カドキョイ(Kadikoy)」駅
アジア側、玄関の街カドキョイは、フェリー旅の拠点のひとつです。
ヨーロッパ側からのアクセスは、ほぼすべての交通手段が使えるため、片道はフェリー、片道は別の移動手段を選ぶと旅の楽しみも広がります。
フェリー会社は「トゥルヨル(TURYOL)」と「シェヒル ハトラル(ŞEHİR HATLARI)」の2社があり、駅の電光掲示板で行き先を確認して簡単に乗車できます。
ちなみに、同記事内で紹介しているオルタキョイ行きのフェリーもあるので、時間がある方はぜひ船旅をゆっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。


右:フェリー会社は複数あるので行き先や時刻に合わせて選んで
ボスポラス海峡に臨む、オルタキョイの街とモスク

イスタンブールの新市街、北側にある小さな町。ヨーロッパ側とアジア側を結ぶ、7月15日 殉教者の橋。その袂に堂々と建つ「オルタキョイ モスク」は、そんなオルタキョイの町のシンボル的な存在です。
モスクと橋、そしてボスポラス海峡が映る写真は、あまりに有名なので、見たことがある人もいるのではないでしょうか。写真でも十分に美しいのですが、やはり実際に目にすると迫力を感じられます。
夕暮れ時のオルタキョイ モスクと橋のコラボも格別なので、可能であればぜひどちらも足を運んでみてください。



右:女性は入口でヒジャブ(スカーフ)を借りましょう


■バス停「Ortaköy-Kabataş Erkek Lisesi」、フェリー「Ortaköy」
オルタキョイは新市街のさらに北にありますが、バスやメトロ、そしてフェリーなど幅広い交通機関があるため、観光客でもアクセスしやすいです。
乗り継ぎが必要な場合もありますが、Google mapを使うと本当に簡単。さらにどの交通機関も、比較的頻繁に運行されているので待ち時間も少なめです。


右:フェリーの駅もある
ピエール ロティのチャイハネから見る、市内と夕暮れ

イスタンブールの全景を眺めたいなら、中心地からトラムやバスで30分ほどのイユップの街を目指しましょう。そこからすぐのピエール ロティの丘からは、金角湾の絶景はもちろん、新市街側の街並みやランドマークでもあるガラタ塔のほうまで見渡すことができます。
なかでも丘の上にある「ピエール ロティのチャイハネ」と呼ばれるカフェからの景色は圧巻。ピンクやオレンジ色に染まる夕暮れのイスタンブールを見に、夕方にはより多くの人々が訪れます。
この名前は、フランスの海軍士官・作家のピエール ロティが世界中を航海し、イスタンブールを訪れた際に、この喫茶店を大変気に入ったという話に由来しています。

赤のギンガムチェックが目印の同カフェからは、刻々と色合いが変化する金角湾と、その周りの街並みを楽しむことができます。人々はチャイやトルココーヒー、スイーツなどをゆっくりと味わいながら、優雅なひと時を過ごしていました。


また展望台からは誰でも、全景を楽しむことができます。完全に日が暮れるまで、名残惜しそうに過ごしている人たちも…。

■テレフェリッキ(ゴンドラリフト)
トラムやバスでイユップ(Eyüp)まで来たら、テレフェリッキで丘を上がります。こちらもイスタンブールカードをかざすだけで乗車可能です。
乗車時間は5分と少し。ただピエール ロティのチャイハネがある丘は、大変人気のスポットなので、特に夕暮れの時間などは列ができていることも多く、30~40分ほど待つこともあります。
ですが、乗車中にテレフェリッキから見える移り行く景色も美しいので、待つ価値はあります。



右:スタッフが順番に案内してくれる
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道を歩けば絶景に出会うイスタンブールの街。今回紹介しきれませんでしたが、イスタンブールには名のない絶景もそこかしこにあり、散歩の途中でそれらを目にするたび、思わず立ち止まりため息が漏れるのでした。
突如現れる絶景。そんなサプライズも、イスタンブールの魅力のひとつです。
※情報は取材時(2025年9月)のものです

旅するように暮らす自然派ライター/オーガニック料理ソムリエ。
4年に渡る世界一周後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。コーヒー好きが高じてオーストラリアではバリスタ業の経験も。今は繊細でフルーティーな浅煎りコーヒーに夢中です。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを主に執筆。現在は自然に沿った生き方、ほどほど丁寧な暮らしを自ら実践しながら発信中。地球にも体にも優しい生き方のヒントをお届けしていきます。
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