
2025.10.05
【イスタンブール・グルメ】絶景とともに巡る、トルコ料理の名店3選
トルコ料理は、フランス料理・中国料理と並び、世界三大料理のひとつ。
宮廷料理として発展し、多種多様なスパイスが使用され、立地的に文化の中心として他国への影響が大きかったことが理由とされています。トルコに住まう人々は食へのこだわりも深く、地域によって名物料理があるところは日本にも似ていますね。
今回は、イスタンブールの観光客が訪れるエリアを3つにわけ、それぞれから一店舗ずつおすすめを紹介します。とはいえ、グルメの国の首都・イスタンブールの中でどれかひとつを選ぶのは至難の業。食事のスタイルや、現地の雰囲気をメインに楽しんでもらえると幸いです。
旧市街、スルタンアフメット

イスタンブールを訪れた人なら必ず足を運ぶ旧市街、スルタンアフメット。アヤソフィア、スルタンアフメット ジャーミー、トプカプ宮殿といった観光の名所が集まるエリアです。
どこを見渡しても歴史的な建築物が視界に入る、とても贅沢な街並みです。石畳の上を歩きながら、猫たちを愛で、オスマン帝国時代に思いを馳せるひと時を…。


■老舗のキョフテ専門店「Tarihi Sultanahmet Köftecisi」

1920年創業の老舗、世界に8店舗を展開するキョフテ(köfte)の専門店です。
キョフテとは中東や南アジアでよく食べられる料理のひとつ。一般的には牛肉やラムの挽肉にスパイスや野菜を加え、形を整えて調理する肉団子のようなものです。
合い挽き肉が使われることも多いそうですが、同店では牛肉かラムを100%使用。さらに添加物不使用、さらにスパイスも一切使用せずに作られています。


今回は牛100%のキョフテと豆サラダ、スープを注文しました。
トルコの飲食店はたいていそうですが、ここでもパンは頼まなくてもお通しのようにすぐ提供されます。これらは自由に食べて大丈夫。また個人的にはピラウ(ごはん)を合わせるのもおすすめです。
サラダとスープはすぐに提供。しばらくして、炭火でこんがり焼き上げられたキョフテが到着します。香ばしいにおいが食欲をそそります。「スパイシーソース?」とスタッフの方が聞いてくれるので、欲しい人はかけてもらいましょう。
100%牛肉、パン、玉ねぎ、塩のみというシンプルな材料で作られたキョフテは、ぷりっとした弾力! 噛むと肉の旨みが口の中で弾けます。
ときどき酸味の効いたピクルスをかじって、口の中をリフレッシュさせながら食べ進めます。かけてもらったソースはそこまで辛くないので、味変としても楽しめます。



左:キョフテの上に乗っているのはピクルス
ひとりで訪れましたが、着席から料理提供、お会計までとてもスムーズ! 歴史ある店だからと肩ひじ張る必要もなく、気軽にトルコ伝統の味を味わうことができる一軒です。
>>Tarihi Sultanahmet Köftecisi
アジア側の街、カドキョイ

ヨーロッパ側からフェリーで渡れる対岸の街、カドキョイ。イスタンブールのアジア側として知られる街です。アジア側だからといって、アジア系移民が多い街というわけではなく、わかりやすく立地からそう呼んでいるのであって、実際には活気のあるイスタンブールの街のひとつです。



ハイパーインフレが続くトルコにありながら、比較的良心的な価格で良質な宿泊と飲食ができるため、旅行者にも人気のエリアです。
■旅行者の味方、ロカンタ「Çalakașık Kadiköy」

ロカンタとは、トルコ人の食生活を支える大衆食堂です。気になるものを指差しで注文できるため、旅行者にも優しいシステムです。
インフレが続くトルコは価格が高騰しており、スルタンアフメットなどの観光地では値段ばかりが高く味もいまいちという、ロカンタの魅力が半減している店も…。ローカルが愛する地元の味を食べたければ、アジア側など観光地から離れるのも一案です。
今回紹介するÇalakașık Kadiköyは、「ヨーロッパ側から足を運ぶ価値がある」というレビューもあるほどの人気店!

注文の仕方は簡単です。まずトレーを取り、目の前のショーケースから気になるものを指してお願いするだけ。そのままカウンターに沿って進むとレジに着くので、支払いを済ませましょう。
また、レジのすぐ横に、カトラリーやサービスのパンが並んでいます。





ほうれん草のグリルを頼んだら、トルコ料理らしくヨーグルトをかけてくれました。ソースしかり、必要か確認してくれるので、苦手な人は断ることもできますよ。
メインのチキンもジューシーで柔らかく絶品。チキンの下はお米ではなく、パスタライスでした。チキンの旨みやソースが染み込んで、それだけで食べても美味しかったです。
そしてお財布に優しい価格は、やはりありがたいですね。
ガラタ塔からジハンギルまで。新市街・ベイオール

スルタンアフメットからガラタ橋を渡った先にあるのが、近代的な街並みの新市街、ベイオール。
旧市街から見えるガラタ塔と、その少し先からタクシム広場まで続く目抜き通りのイスティクラル通りは、観光客が新市街でまず訪れる場所です。
さらにベイオールにはたくさんの個性豊かな地区があります。例えばメイン通りから坂を少し下ったところには夜に活気づくジェザイル通りが、さらに下ったところにはボヘミアンな街並みが特徴のジハンギルがあります。こちらはかつてアーティストやクリエイターたちが集った地区で、今でもその名残を強く感じられます。





またベイオールを歩いていると階段越しや建物の合間から、イスタンブールを東と西に隔てるボスポラス海峡がのぞくことがあり、その美しさに思わず立ち止まってしまいます。
■トルコ伝統の朝食をオーガニックで「Privato Cafe」

トルコでは、休日には家族や友人とゆっくり朝食を取る文化があります。テーブルにはトルコのパン、ジャムやはちみつ、チーズ、オリーブなどを乗せた小さなお皿がたくさん並びます。
こうしたトルコの朝食は、旅行者でも簡単に楽しむことができます。
今回はガラタ塔のすぐ近くにある、伝統の朝食をヘルシーな素材で提供するオーガニックカフェ、Privato Cafeを訪れました。


右:レンガや木が使われた温もりのある空間
注文を済ませるとまず運ばれてくるのは、冷製の小皿とチャイ(紅茶)。お皿の多さに驚きを隠せずにいると、「次はメインが来るよ!」とスタッフさん。
しばらくすると、トルコ式パンケーキや目玉焼きなどの温製料理が運ばれてきました。


野菜やフルーツは、主に自社の菜園や農園で栽培したものを使用。そして添加物を使わず、丁寧に手作りしたものばかりがテーブルにずらり! それらを前に、どれから食べようかと迷うのも楽しい時間です。
トルコでは、パンにたっぷりのバターとはちみつをかけて食べるのが定番の朝食のひとつですが、もちろんここにもあります。コクのあるはちみつは、ジョージア産だそう。
野菜は見るからにフレッシュで、何種類もある砂糖不使用の自家製ジャムはスプーンが止まらないほど美味しかったです。
ホットディッシュのトルコ式パンケーキや、グリルしたハルミチーズも絶品でした。厳選素材ばかりを使った料理のおかげで、身体に力がみなぎるよう!


右:冷製のお皿だけでお腹いっぱいになりそう!
家族や気心知れた友人とたっぷりの朝食を囲んで過ごす、トルコ人の暮らしを垣間見た、有意義なひと時になりました。
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トルコで外せない代表的なグルメを、そのエリアと一緒に紹介しました。
キョフテもロカンタの料理も、伝統の朝食も食べられる場所は紹介した店以外にもたくさんあります。記事を参考にしながら、ぜひイスタンブールで地元のグルメを楽しんでくださいね!
※情報は取材時(2025年9月)のものです

旅するように暮らす自然派ライター/オーガニック料理ソムリエ。
4年に渡る世界一周後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。コーヒー好きが高じてオーストラリアではバリスタ業の経験も。今は繊細でフルーティーな浅煎りコーヒーに夢中です。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを主に執筆。現在は自然に沿った生き方、ほどほど丁寧な暮らしを自ら実践しながら発信中。地球にも体にも優しい生き方のヒントをお届けしていきます。
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