
2025.09.07
【ドイツ】夏の風物詩、ライン川最大の移動式遊園地「キルメス」の楽しみ方
日本の夏と言えば「夏祭り」や「花火大会」ですが、ドイツではどんなものが風物詩として人々に愛されているかご存じですか?
私が在住しているドイツのデュッセルドルフという街では、夏の風物詩と言えば、ライン川の移動式遊園地「ラインキルメス(Größte Kirmes am Rhein)」が挙げられます。
「今年も夏がやってきた~!」と多くのドイツ人が胸を躍らせ足を運ぶ盛大なお祭り「キルメス」とは、一体どんなイベントなのでしょう。ワクワク華やかな雰囲気を写真と共にご紹介します!
老若男女が遊び倒す、ビッグなお祭り

日本には全国各地に常設の遊園地がありますが、ドイツにはそのような施設はほぼ無く、その代わりにサーカスや移動遊園地など期間限定のものが順に街にやってくるのです。
そんなことから、老若男女問わず誰もがこの夏の大イベントを心待ちにして、開催期間は明るい時間から夜中まで思う存分楽しみます。

デュッセルドルフのキルメスは、毎年ライン川を移動する「ラインキルメス」としてドイツ最大級。7月中旬に約10日間限定という短い期間にもかかわらず、約400万人もの人が訪れるのだとか!
約165,000平方メートルの広大な敷地に、とても移動式とは思えないサイズの迫力ある絶叫マシンや観覧車などのアトラクション、ゲームコーナー、屋台などがズラリと立ち並ぶ様子は圧巻そのもの。
まさに子どものころ思い描いた、楽しいものや美味しいものだけがギュッと集まった夢のような空間!

この催しは、遡ること約700年もの歴史があるといわれています。ドイツ語でキルメス(Kirmes)と書きますが、もとは教会=キルヒェ(Kirche)に関連し、教会の祭りを意味する「Kirchmesse(キルヒメッセ)」が短縮された言葉から由来した、伝統的な国民のお祭りの一つです。
ドイツ国内の伝統的な市民のお祭りの中ではおなじみの、ミュンヘンで開催されるオクトーバーフェストに次ぐ、2番目の規模を誇るとも言われています 。
移動式の概念を覆す、巨大アトラクション

日本の遊園地とは異なり、キルメスの入場は無料、アトラクションに乗る際にはその都度料金を支払うというシステム。そのため誰もが気軽に立ち寄ることができるのがよいところ。

開催日の数週間前から工事が始まり、野原だった場所にいつの間にか突如出現する巨大なアトラクションたち。どのように短期間で組み立てたのか毎年不思議に思うのですが、移動式がスタンダードなドイツの方々にとってはこれが当たり前の光景なのかもしれませんね。

どのくらい巨大なのかというと、世界で最も高い移動可能な「フリーフォールタワー」はなんと85mもあり、また「バイエルンタワー」という写真のアトラクションは73mの高さから、チェーンに繋がれたシンプルな椅子に乗ってグルグルと回転しながら飛行します。
頭上のはるか遠くから聞こえる悲鳴を聞きながら、乗った気分になるのも私流のオススメの楽しみ方です。

こちらも毎年大人気のアトラクション。縦と横に回転しながら、さらに土台も高速で回り続けるというもの。

アトラクションは、絶叫系だけでなく射的などの屋台も豊富。日本の縁日と同じように、上手にできたら景品がもらえます。キャラクターグッズから名前も知らないぬいぐるみまでその種類は様々。楽しかった夏の思い出をゲットしようと、大人も真剣に遊ぶのがドイツ流。
食べ歩きがたまらない!定番屋台グルメを堪能

豊富な屋台グルメも大きな魅力のひとつ。グルメを目当てに訪れる方も多いようです。

子どもが目をキラキラと輝かせる視線の先には、色とりどりのお菓子。大人が乾いた喉を潤すのはもちろんドイツビール! 年代問わず、思い思いに食事を堪能できる場所がいたるところにあります。

ドイツらしい大きなクッキー、「レープクーヘン(Lebkuchen)」。ハチミツをたっぷり使用し、スパイスをふんだんに生地に練りこんだお祭り定番の一品が気分を盛り上げてくれます。

「Bratwurst(ブラットブルスト)」はドイツの屋台グルメでは定番の焼きソーセージ。ホットドックとは異なり、バリっとしたフランスパンに挟んでアツアツをいただくのが絶品! ピリッとした相性抜群のマスタードも病みつきになります。

「Churros(チュロス)」はまっすぐで1本…という日本で食べるイメージのものとは違い、最初はボリュームに驚きましたが、好きなフレーバーをトッピングして提供してくれるアツアツのチュロスは意外にも完食できてしまう美味しさ。

ドリンクスタンドには豊富な種類のアルコールが。日差しが強いヨーロッパの夏にぴったりのドリンクを、音楽を聴きながら楽しむ人たちで溢れています。

イタリア原産で、ドイツでも人気があるのが「アペロール」というのオレンジ風味のリキュール。これをプロセッコ(スパークリングワイン)とソーダで割った「アペロール スプリッツ」は、ドイツで定番の夏のカクテルとして親しまれています。
お祭りのクライマックスは“夜”

キルメスの営業時間は曜日によって異なりますが、なんと遅い日は26:00(翌2:00)まで! 昼間とはまたガラリと雰囲気を変えた景色を楽しむことができます。

開催期間クライマックスを迎えるのは、最後の金曜の夜に打ち上げられる花火。今年は新しくドローンショーも開催されました。

ヨーロッパ、ドイツの夏は日が長く、最も日が長い日は日没が21:00頃と遅い時間まで明るいため、日本の一般的な開催時刻よりも遅めのスタート。22:30から打ち上げられるのですが、川沿いにはたくさんの人が鑑賞に集まるのが風物詩の一つとなっています。
また来年、この季節を楽しみに

約70もの乗り物や出店で賑わう会場ですが、移動式の遊園地のため開催期間が終わった後は1週間ほどであっという間に姿を消してしまいます。空っぽになった景色になんだか寂しさを覚えますが、今年も堪能した! と、また来年もこの季節を楽しみにするのも素敵な習慣だなと思います。
日本の花火とはまた違う、夏の風物詩はいかがでしたか? ぜひこの季節に訪れた際は「キルメス」にも足を運んでみては?

ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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