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2025.06.20

古き良きイギリスを感じる。ウエストウッド家恒例のギフォーズサーカスへ

ロンドン在住のライター・ウエストウッド知佳さんによる連載「My cup of tea」。イギリス英語の表現にある”Not my cup of tea” は「好みではない、好きではない」、”My cup of tea”はその逆に「好みである、好きだ」という意味になります。

この連載では、知佳さんの「My cup of tea=イギリスでの生活や少し足を伸ばして訪れたヨーロッパ旅行」でのエピソードなどをご紹介いただきます。

第八回は、「ギフォーズサーカス」について書いていただきました。

6月と言えば、我が家では「ギフォーズサーカス」が毎年の恒例です。私の義母であるヴィヴィアン・ウエストウッドの元秘書・タイザーがこのサーカスと縁があり、息子が2歳の7年前から毎年義母夫妻、私たち家族、タイザー家族で訪れる一大家族行事なのです。

今年は例年になく小雨が降ったり肌寒かったりしたのですが、息子の友達2人を連れてタイザー家族と鑑賞してきました。

ギフォーズサーカスはイングランド地方を巡業するサーカスで、2000年にコッツウォルズ地方の農家出身のトティ・ギフォードと妻で作家のネル・ギフォードが始めた小さなサーカスです。

オックスフォード出身のネルが子どもの頃によく観ていた、村々を訪れる小さなサーカスの再現を夢見て作られたもので、パリのバーレクスクを思わせる会場の案内係の女の子たちの衣装のみならず、すべての衣装やセットまでも手作り。サーカスに出てくる馬も自分たちで調教し、生のバンドにライブ感や一体感が満載の、イギリスの昔を思わせてくれるとても素敵で特別なサーカスなのです。

義母はこのサーカスとギフォード夫妻をとても大切に思っており、毎年欠かさず観に行っていました。

演目には毎年テーマがあります。今回は1950年代のアメリカに着想を得たラグーナベイ。演出を手掛けたのは、今年も舞台演出家のカル・マックリスタルです。

海辺をモチーフに巨大なビーチボールが会場中を回ったり、髪の毛だけで支え合うトラピーズや、賛否両論ありますが馬や犬のショーも。なんといっても今年のハイライトは飛行機を使ったジムナストのパフォーマンスでした。

そして毎年私たちが楽しみにしているのは、道化師のミスター・ツイッギーです。彼がいることでギフォーズサーカスの公演は締まるといっても過言ではありません。

Mr. Twiggy

道化師としての彼のタイミングやパフォーマンス力は圧巻。今年も大爆笑させてもらいました。

巡業は4月末から始まり、6月上旬にロンドンのチジックハウス&ガーデンズに3週間ほど滞在し、夏中イングランドを回って9月の末頃にシーズンを終えます。

メインのサーカステントの周りにもいくつかのテントやトレイラーがあり、レストランや売店、はたまたトイレの役目を果たしています。

テント内もトレイラーも色鮮やかで季節のお花が飾ってありとてもかわいいです。

6月のロンドンは夏至に向かって太陽が出ている時間が長いので、チジックハウス&ガーデンズの緑の芝生がとても美しいガーデンで、サーカスが始まる前とインターバル中にピクニックをします。

サーカスが終わって外に出るのは21時を過ぎていますが、その頃もまだ外が明るく、基本的に19時に就寝するイギリスの子どもたち(我が家は例外ですよ)も、ギフォーズサーカスをスタートに夏の夜更かしを楽しんでいるようです。

ギフォーズサーカスのロンドン公演は22日まで。それを見逃してもまだまだ地方巡業がありますので、夏休みに渡英される方にイギリスを感じられるこのサーカスを全力でおすすめします。

■ギフォーズサーカス
https://giffordscircus.com/

文/ウエストウッド知佳

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