
2025.05.29
【俳優・小関裕太】「心がキレイな人は、肉体すべてに現れると思うんです」
2025年、主演やゲスト出演を含め、すでにドラマ6作品に出演、1作品への出演を控えている小関裕太さん。キラキラなモテる役はもちろんのこと、当て馬役や周りも驚くほどのクズ役から、小関さんのオーラを演技で包み込んだいたって普通の役まで演じ分ける器用さが魅力です。
お話を聞いている最中にも、例え話をする中でフッと役に入るかのような瞬間も。
今回は、そんな小関さんの役者としての顔に改めて迫ります。
当て馬にひどい役…近作で演じたキーパーソンたちを振り返る

――本当にさまざまな役を演じられていますが、最近では「あのクズを殴ってやりたいんだ」と「御曹司に恋はムズすぎる」で立て続けに、いわゆる当て馬役を演じていらっしゃいました。2クール続けてそういった役を演じられるのはどういった心境だったのでしょう?
「あのクズを殴ってやりたいんだ」で演じた大葉さんはとことんいい人です。いい人だからこそ身を引く。「御曹司に恋はムズすぎる」で演じた成田さんはいい人だけれど押す。この違いがあったのでやってみたいな、と思ったんです。確かに同じ曜日で、枠は違うけど2クール続けて当て馬役をやるというのは初めてでしたね。僕も恋が叶わない役を特化してやりたいわけでもないので…(笑)。ただ、巡り合った役がたまたまそういった立ち位置で、しかも2クール続いた。物語におけるキャラクターの役割としては同じなんですけど、役柄は全然違うな、という感覚でした。
――一方で、「素晴らしき哉、先生!」では、言葉を選ばずに言うと…ひどい役です(笑)。
ひどいですよ、それが正しいです!(笑)僕が今まで出させてもらった「来世ではちゃんとします」の松田くんや、「癒やしのお隣さんには秘密がある」の仁科も、応援してくださる方の中には好きだっていう人が多いので、「気をつけて!」と思うんですよね。
でも、「素晴らしき哉、先生!」で演じた大友というキャラクターは、みんな嫌いだとおっしゃるので安心してるんです。それが正しいです。そういう役です(笑)。

――逆にここまでクズと言いますか、そういった役は珍しいのではないかと思うのですが、大友のような役を演じていらっしゃる時のお気持ちというのは…?
あんなに報われる要素がないというか、話を重ねるごとに地獄に落ちていくというか、そういう役は確かに珍しいですね。
「素晴らしき哉、先生!」は、撮り方が結構特殊だったんです。監督が脚本も書き、映画やドラマも撮る方なのですが、基本は劇団を主宰されている方で。出役もやっているので、そういう視点を持って撮っていらっしゃいます。舞台の中にたまたまカメラが入ったような長回しスタイルが多かったので、新鮮な体験でしたね。
あとは、監督ご自身がセリフに書いてないような「うん…いや、それは」とか「えっと」、「やば」、「こういうことなんだよ」という味付けが好きな方なので、どんどんやって、と。そこは新鮮ですごく楽しかったです。

――どういった役が入り込みやすい、演じやすい、というものはあるんですか?
逆に入りにくいのは、王様とか。「静まれ!」「待て!」(舞台上のような声量、制するような手振りつきで)のように、一人じゃなくて団体に指示するみたいなのは…。何度か演じる機会があったので、ようやく自分の中に引き出しができてきたんですけど、難しかったです。実際に経験できるものではないので、王って何なんだろう? と考えながら。それでもやっぱり、王が見ている景色や感じる苦悩を理解するのには時間が必要でした。
あとは「…」が多い、語らずに思うだけの役は難しいかもしれません。ただ黙っているにしても、本当は求心力がある人柄だということが表現できないと、本当に黙ってるだけの人になってしまうんですよね。肩透かしを食らう存在になってしまう可能性がある。だからこそ難しいかなと思います。
作品から作品へ。「アウトプットもインプットに」の意味

――今期は「いつか、ヒーロー」と「波うららかに、めおと日和」、そして「ひとりでしにたい」にご出演されます。小関さんが演じられるそれぞれの役の見どころを教えていただけますか。
「いつか、ヒーロー」は板谷由夏さん演じるテレビ局報道部記者・西郡の部下ですが、とにかく尻に敷かれて、振り回されているキャラクター…だけでは終わらないので、ぜひ最後まで観ていただきたいですね。ドラマを観ていても、あのキャラクターがどうなっていくのかは多分わからないと思うんです。物語に身を任せていく中で、積み重ねでわかっていくことがきっとあると思うので、ぜひ何も考えず、楽しんでいただければいいなと思います。
僕自身、もともとこういうダークな作品が好きなので、そういう意味でも出られるならぜひ、と思いました。最終的にはこのドラマを通して、今を生きる若者をはじめ、現代の人たちは何か問われる作品になるんじゃないかなと思うので、純粋に予備知識なく楽しんでもらえたら嬉しいですね。
――「波うららかに、めおと日和」は、それとは正反対のような役ですね。
わりと原作に忠実に作られているドラマなので、大きく軸は変わらないと思います。僕が演じている深見は、(本田)響矢くん演じる瀧昌のことを信頼しているのと同時に、彼の持つ不器用な部分というか、真面目ゆえ肘で突っつくとおもしろい反応が返ってくる掛け合いもできて、それが居心地良いんだろうな、と解釈しています。一方で、女性から見るとすごくミステリアスです。この人は何を考えているんだろう? というような、つかみきれない性格なのかな、と思います。そんな部分が、深見をモテ男のように見せているんだと思います。
彼自身は多分、本当に恋に興味がないんですよね。だから一定以上は踏み込めない雰囲気になっているけど、避けているわけでもない。興味がないというだけで、周りから見るとミステリアスさを感じるんでしょうね。

――そして6月からは「ひとりでしにたい」がスタートします。
本当に普通の役で、言葉数も多くなくて、一般的な弟、という感じです。僕以外はみんなすごくキャラクターが濃いんですけど、僕だけは「普通」というキャラクターなんですよね。いろんなことに対して堅実で、石橋を叩いて渡るタイプ。適齢期で結婚して適齢期に子どもが生まれて…で、きちんと稼いである程度、生活力があるキャラクターです。
――これだけ違うと切り替えも大変そうですね。
切り替えざるをえないので、勝手に切り替わる、という感じですね。アウトプットすることで入ってくる情報もたくさんあるので、アウトプットがインプットになっているのかもしれません。
“キレイ”だなと思う人は、「心がキレイな人」

――そして、美容についてもお聞きしたいな、と。
美容は全然やっていないんですよ。CMをしているというのもあるんですが、それを抜いてもすべてミノンの製品を使っています。
――使い始めたのはCMに出演されるようになってから?
CMが決まってからずっと使っています。ミノンがすごく肌に合っていて、僕のおすすめはオイルです。奥様方のなかでファンデーションにオイルを混ぜて使うのが流行っているらしいんですけど、僕もメイクさんにそれをやってもらうことがあります。目の周りが季節の変わり目で荒れてしまうことがあるので、そういう時にすごく助かっています。

――良い出会いだったんですね。
もともと小学生の時から化粧水や乳液をつける習慣はあったんです。すごく乾燥肌なので、つけ忘れると肌が痛くなるんです。
――小学生から、というのはすごいですね!
母が美容師だったので、肌や髪のことは細かく言われてたんですよね。「歯磨いた? 化粧水した? 乳液した?」って言われながらやっていました(笑)。
――今、ほかに気になる美容法や試してみたいことはありますか?
酵素浴は気になっています。この間、共演者の方に教えてもらって。別の方にも京都に有名な酵素浴屋さんがあると教えていただいて、気になってたけど、結局ちょっと忙しくて行けなくて。行ってみたいですね。

――最後に、小関さんは“キレイな人”と聞いてどんな人を思い浮かべますか?
心がキレイな人ですね。初対面で受けたイメージからどんな人なのか考えながら話すことが多いんですけど、小さい頃から「やっぱりそうなんだ」と思うことが多くて。第一印象からだいたい予想通りなんです。どうして当たるんだろう、と思っていたんですけど、自信がある人は前のめりになって話したり、優しい人はちょっと小さくなって控えめだったり。そういうのって使っている筋肉や姿勢に出るし、性格によって骨格が変わっていくのかな、って気が付いたんです。
声優のお仕事に挑戦させてもらった時に声優さんをずっと観察していたんですけど、声に特化している方って、声の特徴と体がフィットしていておもしろいなぁ、と。たぶん、僕が今まで感覚的に「この人はこういう人だろうな」と思っていたことを納得させてくれる材料だったんですよね。だから心がキレイな人って、肉体とか表情筋とか、そういうものに全部現れる気がするんです。
そのなかで僕が、この人きっと心のキレイな人だなと思う印象は2つですかね。すごく自信がみなぎっていてキレイな人だなっていう方と、視野が広くて見えちゃって気疲れするほどキレイなんだなっていう方。それ以外にも、いろんなキレイがあるなぁって思います。

Profile
小関裕太
1995年生まれ、東京都出身。子役として俳優活動をスタートさせたのち、数々のドラマ、舞台に出演。近作に、ドラマ「来世ではちゃんとします」シリーズ、「癒やしのお隣さんには秘密がある」「あのクズを殴ってやりたいんだ」「御曹司に恋はムズすぎる」、ミュージカル「四月は君の嘘」、舞台「ジャンヌ・ダルク」、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」などがある。現在、ドラマ「いつか、ヒーロー」(朝日放送)「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ)に出演中。6月21日からはドラマ「ひとりでしにたい」(NHK)が、8月31日からは舞台「サヨナラソング-帰ってきた鶴-」への出演を控える。
撮影/須田卓馬
取材・文/ふくだりょうこ

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