【大阪ステーションホテル】一日の始まりを極上の朝食で

2024年7月31日（水）に開業した梅田のランドマーク的存在「大阪ステーションホテル」。大阪駅直結という便利さながら、一歩足を踏み入れるとそこは静かで気品あふれる空間。長い歴史を持ちながら、愛され続けるこの土地に生まれたホテルをレポートします。

歴史を紡ぐ記憶に残るホテルデザイン

大阪ステーションホテルでは、さりげなく鉄道モチーフの装飾が目に入ります。実はこのホテル、かつて初代大阪駅があった場所に建てられているんです。

エレベーターホールには赤煉瓦風の壁が続き、フロントでは改札を模したチケットボックス風のカウンターがお出迎え。

時刻表をイメージしたアートなど、ホテル全体に“駅”を感じる遊び心がありました。歴史ある立地を活かしながら、上品に仕上げられたその空間は、大阪の中心にいることを忘れさせてくれる特別な雰囲気でした。

ロビー階にある「ウォーターステーション」も、このホテルならではの素敵な設えのひとつ。甕（かめ）で水を振る舞った昔の大阪の風習を思わせるような、さりげない“おもてなし”が感じられる場所です。

自由に水を汲めるこの空間は、ただ喉を潤すだけでなく、ちょっと足を止めて語らったり、一息ついたりできるやわらかな時間が流れていました。

駅上にあるとは思えない、静けさと上質さ

今回、宿泊したのは37階高層階に位置する「シーニックツイン」のお部屋。

客室番号は、鉄道信号機の合図灯「カンテラ」をモチーフにしたものでした。

部屋に入ると、窓の向こうには大阪の街がどこまでも続いていて、まさに“絶景”。

朝焼けから夜景まで、時間ごとに表情を変える景色を、ソファに座って眺めているだけで贅沢な気持ちになります。

お部屋には、長年愛される大阪の老舗の味や、大阪の飴ちゃん文化、出汁文化に触れられる、こだわりのラインナップが待っていました。大阪で100年以上愛されている飴「黄金糖」、職人が鉄板で1枚ずつ手焼きする「クマオカキ」、大阪の老舗「神宗（かんそう）」の「飲むだし」。

お部屋の飲み物はすべてフリーで、大阪府交野（かたの）市にある「大門酒造」とコラボレーションしたオリジナルの日本酒をはじめ、大阪最北端の能勢町のミネラルソーダなどが揃っていました。

穏やかでいられるくつろぎの客室。そうだここは、喧騒の駅の真上だった。そんなことも忘れる静かな空間も、また非日常を感じさせてくれます。

“日本一高い朝食”と呼ばれる理由

そして今回の宿泊で最大の楽しみでもあった朝食。「日本一高い朝食」と噂されるビュッフェは、まさにその名にふさわしいクオリティでした。

朝食はロビー階にある「ザ モーメント グリル＆ダイニング」にていただきます。29階ということで眺めも良い。

和洋中すべてが揃った贅沢なラインナップの中でも、特に印象的だったのが、本格的なお寿司と上質なローストビーフ。朝から？　と思うかもしれませんが、どちらも本格的で上品な味付け。口に運んだ瞬間、「これはもう朝食というより体験だ」と思わず納得。

パンやスイーツのクオリティも感動レベル。まさに専門店のお味です。

フランス・ブルターニュ地方で伝統的な製法で手作りされる発酵バター、ボルディエバターもありました。一般的なバターよりも風味とコクが濃厚で、口当たりがなめらかでした。

スイーツは、ホテルのブーランジェリーやパティスリーで買うようなレベルのものが並んでいて、一つひとつが丁寧に作られ、見た目も美しく、まさに「目にも美味しい」朝ごはん。

左の写真は、好きなトッピングが入ったグラスを選ぶとソフトクリームを盛り付けてくれて、さらに別のトッピングものせられるという、朝から楽しいデザート。右のモンブランは抹茶味で、中にはあんこが入っていて和を感じられるモンブランでした。

また、大阪らしいなと印象に残ったのがこちら。お出汁文化を感じられる鰹節削り器。削りたての鰹節は香りが良く、私は卵かけご飯と共にいただきました。

忙しい日常を忘れる、駅上のサンクチュアリ

「大阪駅直結」と聞くと便利さをイメージするけれど、このホテルはそれ以上に“余白のある時間”をくれる場所。アクセス抜群なのに、まるで都会の喧騒からふっと離れたような不思議な静けさがありました。

「ザ モーメント グリル＆ダイニング」のとなりには「THE LOBBY LOUNGE（ザ ロビーラウンジ）」。初代大阪駅の切妻屋根をモチーフにした「光の屋根」と、線路に見立てたリングアートが美しい。

ここでいただくティータイムも格別でした。

観光や出張の拠点としても最高ですが、それ以上に、特別な日の「ご褒美ステイ」にぴったりのホテルです。

駅上とは思えない眺望、歴史ある建物を活かしたデザイン、そして“体験”と呼びたくなるような朝食。大阪ステーションホテルは、心ときめく滞在を約束してくれる場所でした。