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2025.05.14

【俳優・田中麗奈】年齢を重ねることを「おもしろがる」

映画『名前、呼んでほしい』を含む3作品をまとめた『東京予報-映画監督外山文治短編作品集-』が、5月16日(金)から公開されます。

同作は、『ソワレ』『茶飲友達』の外山文治さんが監督・脚本を手がけ、不倫関係を解消するべく最後に1日だけ夫婦として過ごす男女の姿をつづった短編映画です。

そんな映画に主人公・沙穂として登場した田中麗奈さんにインタビュー。本作での役作りのポイントや、田中さん自身が考える“キレイ”の秘訣を伺いました。

自分が感じた質感のまま役作り

――映画『名前、呼んでほしい』では、夫と子どもと暮らしながら、同じく家庭のある涼太(演:遠藤雄弥さん)と不倫している沙穂を演じた田中さん。セリフが少ない役でしたが、役作りはどのようにされましたか?

余白がある脚本だと思ったので、その余白の部分を活かしたまま「こういう人」と決めすぎずに、その状況を生きている女性という風に捉えました。現代劇ですし、自分自身にとっても身近な世界のことだなと思っていたので、自分自身が感じた質感みたいなものを大切にする形でやらせていただきました。

――涼太の前で見せる表情と、家庭での表情の差も印象的でした。

一緒にいる人や状況で表情が変わるというのは自然なことだと思ったんです。お家の中と仕事している時で表情が違うのと一緒。なので、自然と彼女がそうなる姿みたいなのが映っているといいなと思いました。

――ありがとうございます。演じていて楽しかったシーンと、逆に難しかったなというシーンがあればお伺いしたいです。

どのシーンも本当に楽しくて、夢のような時間でした。困惑している部分とか、揺らいでいる部分も含めて、良い時間だったな、と。難しいことはあまりなかったですね。彼女の心情として「この関係を続けていって良いのか」「相手は私をどう思っているんだろう、どこまで愛してくれているんだろう」といった自分への問いかけが多い役だなとは思いました。でも、それは人に話せるものではないし、相手にも言えないこともたくさんあったと思うので、1人の時間のシーンではそんなことを考えましたが、それも難しいというよりも楽しかったな、と。

孤独の捉え方が変わった

――終始、孤独感や寂しさを感じる役だなとも感じました。

本当に彼女の心の中に溜まりに溜まっているものとか、人に相談できない気持ちを抱えている孤独感はある役ですよね。彼女はそれを直接の言葉にはしないものの、孤独感については常に考えていました。でも、人間ってみんなそうだとも思うんです。孤独を孤独と捉えるか、一人の時間と捉えるか、寂しいと捉えるのか、ありがたいと捉えるのか…状況で変わってくるかもしれないな、とは思いますけどね。

――田中さんは孤独を孤独と捉えないタイプなのでしょうか?

10代で東京に出てきてお仕事をスタートしたんですけど、最初は孤独な時間が多かった気がします。だけど、20代の頃に孤独に対しての向き合い方が、変わった瞬間があったんですよね。孤独を孤独と捉えると、自分の行動に関わってしまったり、気持ちが左右されたりするな、と。でも、それは幻想だ、自分自身が孤独と決めているからこそ日常の世界がそう見えてしまう、ということが、ある本に書かれていたんです。そこから考え方、捉え方が変わりましたね。

好きが明確になり、できなくなったことも増えるけど「おもしろい人生」

――ここ数年は映画に積極的に出演されている印象がある田中さん、お仕事を選ぶ基準はあるのでしょうか?

ご縁とかタイミングはあるかと思います。自分自身、映画が好きなのでお話をいただいたら積極的にやりたいですね。もちろん事務所のマネージャーさんと話し合うことも大切だと思います。

――40代になって、お仕事における変化は感じますか?

子どもが出来てからは「とにかく現場に立つ」という状態から変わっていった気がしています。やりたいこととか、好きなこととかが明確になってきて。できなくなったこともあったかもしれないです。でも、まぁそれはそれで、またおもしろい人生だなと思います。

年齢を重ねることもおもしろがって

――美容についても教えてください。最近お気に入りの美容法はありますか?

すごい肌がキレイだなと思う方がいらっしゃって、その方が化粧水・乳液を3回塗ると良いとおっしゃっていたのを聞いてから、私も真似しています。

――年齢を重ねることとは、どう向き合っていますか?

年齢を重ねることは、もう致し方ないことですから。それはそれでまたおもしろがって、笑いに変えていきたいな、と思っています。年を重ねる醍醐味というか、自分の取扱説明書のようなものがわかってくるのは、また違うと思いますし、50代になったら50代になったで、また変わるんじゃないかなとも思っています。

――最後に、田中さんが考えるキレイな人とは?

体のスタイルが良くって、笑顔で、ヒールを履いてカツカツと歩いているような方には憧れますよね。それから言葉も美しかったり、少し色気もあればなおさら。私自身は、ヒールなんて履かないんですけどね。背が高くてスッとしてる方を見ると、素敵って思います。

Profile
田中麗奈

1980年生まれ、福岡県出身。1998年に映画『がんばっていきまっしょい』で初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞など多数受賞。主な出演作に映画『はつ恋』(2000)『幼な子われらに生まれ』(2017)『福田村事件』(2023)、大河ドラマ「花燃ゆ」(2015)、ドラマ「神の子はつぶやく」「いちばんすきな花」(ともに2023)など。本作のほか、8月15日公開の映画『雪風 YUKIKAZE』への出演を控える。

■『名前、呼んでほしい』『はるうらら』『forget-me-not』
「東京予報―映画監督外山文治短編作品集―」収録
2025 年5月16日(金)シモキタ – エキマエ – シネマ『K2』を皮切りに全国順次公開予定
『名前、呼んでほしい』
出演:田中麗奈 遠藤雄弥
関幸治 太宰美緒 田口智也

『はるうらら』
出演:星乃あんな 河村ここあ
松本麗 鷹見そら 重松りさ 鳥居功太郎
吉沢悠

『forget-me-not』
出演:内海誠子 イトウハルヒ 宇野愛海
ねりお弘晃 盛井雅司

製作・監督・脚本
外山文治

<衣装協力>
カーディガン ¥31,900、キャミソール ¥36,300、スカート ¥29,700/ミュラー オブ ヨシオクボ
ネックレス 上から¥45,100/マッソーズ アンド マッソーズ ¥28,600/シャノンボンド
靴 ¥79,000/ペリーコ(ギャルリー・ヴィー 丸の内店)
リング ¥20,900、¥33,000/CAKI
3連リング ¥19,000/enn.(ロードス)

ヘアメイク/八鍬麻紀
スタイリスト/岩田麻希
撮影/渡会春加
取材・文/於ありさ

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