
2025.03.26
出雲大社だけじゃない!島根の魅力を味わうオススメ観光スポット6選
島根県と聞いて思い浮かぶのは「出雲大社」、という方が多いのではないでしょうか。私もそのイメージが大きかったのですが、ご縁を運ぶ神社以外にも、日本一の庭園、美肌の湯として名高い温泉、豊かな自然が育む発酵文化、神秘的な世界遺産の町など見所が山ほどあるんです。今回は、まだあまり知られていない島根の奥深い魅力をご紹介します。
「日本一の庭園」と美術品に触れ、心が満たされるひと時を

島根を訪れるなら、出雲大社のほかにオススメされることが多いのが、「足立美術館」。
人々を魅了してやまない庭園は、米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」による庭園ランキングで、22年連続日本一に選ばれています。

緻密に計算されたデザインと自然が見事に融合した庭園は、「枯山水」や「池泉回遊式庭園」が調和し、まるで生きた絵画のよう。この日は曇りでしたが、それでも息をのむような美しさでした。季節ごとに訪れたい場所です。

館内のクラシカルな喫茶室からは庭園が一望できます。この日は時間がなくて寄れませんでしたが、次回は必ず立ち寄りたい…! 庭園のほかにも日本の芸術家である北大路魯山人の作品が展示されている「魯山人館」などがあり、半日でも回れないほどの充実度です。
120年以上の歴史を誇る「森田醤油」の醤油蔵見学

歴史が古く、技術においても高い評価を得ている島根県の醤油製造。奥出雲町にある1903年創業の「森田醤油」では、醤油蔵見学ができるとのことで予約をして訪問。こちらでは、国産小麦、自家製麹菌を使用した添加物を使用しない昔ながらの醤油造りが行われています。
所狭しと並んだ100年前からある木桶は圧巻。大豆と小麦の混ぜ合わせ、発酵の管理、搾りの工程などがすべて手作業で行われます。

こちらは、3日に一回作られる麹菌。発酵の進行具合を職人が見極め、温度や湿度を最適な状態に保ちながら、良質な麹を作り上げます。ふんわりと香ばしく甘い香りが漂ってきて、微生物が生きているのを感じます。

見学のあとは、出来上がったお醤油を試飲できます。どれもゴクゴク飲み干してしまいそうなくらい感動的な美味しさ。たくさん欲しくて、帰宅してからネットで購入しました。ふるさと納税での利用もオススメです。
静寂の中で五感を研ぎ澄ます。至極の坐禅体験

四季折々の美しい景観が広がる名庭として知られる「石照庭園」。こちらでは、雲南市の製茶問屋、僧侶と日本庭園がコラボレーションしたプログラムを体験することができます。

坐禅は、庭園の一角にある和室で行われます。僧侶が丁寧に指導してくれるので、初心者でも安心。この日は雨でしたが、しとしと降る雨音を遠くに聞きながら、静寂の中で約15分、無の時間を過ごします。
途中で雑念が浮かんでしまいましたが、終わったあとは不思議と脳内がスッキリ。終了後は、僧侶からの有難いお言葉をいただきました。

坐禅終了後は、隣の茶室で創業明治元年の「藤原茶問屋」の和プーアル茶をいただきます。もともとプーアル茶の産地は中国の雲南ですが、島根県の雲南市にゆかりのある麹や酵母の力で、オリジナルの発酵茶を開発。ワイン酵母由来、コメ麹由来、味噌麹由来など、全6種類あり、それぞれ味わいや香りが全く違うのが面白い。神秘的な出雲の地でのリトリート体験で、五感が癒やされるのを実感しました。
体験プログラム 出雲旅のはじまりに 発酵茶リトリート
1組33,000円(入園料、坐禅及び発酵茶の体験料金、保険料を含む ※1組=大人2名~6名)
明治時代にタイムスリップ。ノスタルジックな街並み残る、世界遺産の町へ

出雲大社から1時間の場所に位置する「石見銀山」。1527年に見つかった日本最大級の銀山で、戦国時代から江戸時代にかけて、世界の銀の約3分の1を産出していたとも言われています。銀山地区には、坑道や銀山で繁栄した当時の面影を残すノスタルジックな街並みが現在も残っているので、懐かしい景色の中をのんびりと散策できるのも魅力のひとつ。

全長600mのうち約3分の1を見学できる大坑道跡「龍源寺間歩」はぜひ見学したいスポットです。昔の採掘方法を伝える遺構や当時の作業環境が垣間見えて、深い歴史の重みが伝わってきます。銀には昔から邪気を払う力があると信じられていて、ここ全体がパワースポットとも言えます。見学には、2時間500円の石見銀山ワンコインガイドに申し込みするのがオススメ。

銀山見学の前後には、大森地区の街歩きを。歴史的な風情を感じる建物をリノベーションしたお洒落なカフェや雑貨店、ギャラリーが点在しています。素敵なお店ばかりで目移りしてしまうのですが、私のイチオシは、「ベッカライ コンディトライ ヒダカ」。お店には、国産小麦100%、天然酵母にこだわったドイツパンが所せましと並びます。
クロワッサンやナッツ入りのパンなどを購入して、帰りの機内で食べたのですが、美味しくて感動。県外からお客さんが買いに来るというのも納得です。ここの町、楽しくて一日中いられそう!
1300年以上の歴史を誇る、鉄分たっぷりの最強湯治温泉

石見銀山から車で約30分の場所にあるのが、温泉津温泉(ゆのつおんせん)。江戸時代には、石見銀山の採掘労働者たちの疲れを癒やす温泉として重宝され、銀の積み出し港であった温泉津の町とともに発展。今でも当時の雰囲気が残る温泉街は雰囲気満点です。

今回は、レトロクラシックな建物の「薬師湯」にお伺いしました。泉質は、日本温泉協会による天然温泉の審査で最高のオール5を受けた100%かけ流し湯温泉。温泉津温泉の湯は、天然の鉄分、ミネラルたっぷりで、古くから治療のための湯として、大勢のお客さんが他県からも押し寄せていたそう。湯舟からあふれ出た湯の花が幾重にもこびりついた床や淵も、まるで大理石のように美しい。

大正初期に建てられた木造洋館の建物は、建築学的にも重要文化財レベル。館内も美術館のようで、見学ができます。大正ロマンにあふれたインテリアが可愛くて、思わずときめいてしまう…。カフェも併設されているので、温泉後にお茶をするのもオススメです。
「縁結び」のご利益を高める、聖地巡り鉄板ルート

最後に、出雲のご縁の恩恵をいただく古代神話の舞台に従ったルートをご案内。
出雲神社参拝の前に、日本神話において「国譲り」の舞台となった「稲佐の浜」へ。出雲大社の西側に広がるこの浜は、旧暦10月(神在月)に縁結び会議のために、全国の神々が集まる際の上陸地とされています。ここではぜひ、手を合わせ、出雲の地に足を踏み入れたことを神さまたちにご報告を。そして、浜の砂を持ち帰り、出雲大社に収めます。袋の持参を忘れないように!

稲佐の浜で神々の気配を感じた後は、日本屈指のパワースポット「出雲大社」へ。古事記に記された「国譲り神話」の主人公・大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀るこの神社は、縁結びのご利益で知られます。恋愛だけではなく、家族、仕事、友人などすべての意味での縁を意味するのだそう。「縁結び」の神として多くの人々から信仰されているムスビの御神像や、古事記に記される因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)の像など見所もたくさん! 素鵞社の参拝後は、忘れずに稲佐の砂とお清め後の砂の交換を。その砂を自宅に置くことで厄除けに、持ち歩くことでご利益をいただくことができるそう。

そして旅の締めくくりは、神々が最後に立ち寄る「万九千神社(まんくせんじんじゃ)」へ。ここは全国の神々が出雲での滞在を終え、それぞれの地へ戻る前に宴を開く場所とされています。まさに「縁結び会議の直会(打ち上げ)」が行われる神聖な場所。こちらで正式参拝をすると、「新たなる旅立ち」「新しい一歩」への祈願が行われ、神社の方の講和を聞くことができます。授与品には、お札のほかに、ノンアルコールの御神酒代(出雲生姜じんじゃエールなど)が授与されます。神聖な気持ちで、出雲の旅を終えることができました。
今回、初めての島根でしたが、美しい庭園、温泉、歴史的な街並みなど魅力が満載でした。ご紹介した場所はまだほんの一部分で、他にも素晴らしい場所がたくさんあるのだそう。2泊では時間が足りないほど充実していたので、次回はもっとゆっくり訪れたいと思いました。まだインバウンドも多くなく、穴場スポットがたくさんある島根は大人の国内旅にもぴったりです。

美容・恋愛ライター、美食レシピ研究家。女性誌を中心にライターとして約20年活動。恋愛、美容、食、健康、結婚、出産など女性のライフスタイルに寄り添ったコラム執筆ほかセミナーを随時開催しています。料理家としても活動しておりアンチエイジングを目的とした料理を中心にレシピつきレストラン「Mitsue’s Kitchen」をオープン。
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