
2025.04.10
魚介、蕎麦、発酵スイーツ、日本酒…島根の豊かな食文化を巡る旅へ
神話の国、島根県は、豊かな自然と歴史に育まれた独自の食文化が息づく場所です。日本海の新鮮な海の幸、肥沃な大地で育まれた山の幸、伝統的な発酵食品。歴史ある食文化が融合しています。
そこで今回は、現地の方が紹介してくれた、知る人ぞ知るご当地グルメから、発酵スイーツ、利き酒など体験型の食文化を巡るプランをご紹介します。
なんと縁結びの神社の境内にお店が!絶品、出雲蕎麦の穴場店

島根に行ったら絶対に食べたいのが、名物の出雲蕎麦。蕎麦の実を殻ごと挽く「挽きぐるみ」と呼ばれる製法で作られるため、蕎麦の香りや風味が強く、ミネラルや食物繊維が豊富。多数店舗がある中でもイチオシなのが、縁結びの神様と呼ばれるパワースポット「稲田神社」の庶務室をお店に改造した「姫のそば ゆかり庵」。

静かで落ち着いた雰囲気の店内は、風情たっぷり。窓からは美しい庭園を眺めることができ、四季折々の風景を楽しむことができます(この日は窓の外は一面の雪!)。

いただいたのは、「横田小そばのそば御膳」。石臼挽き自社製粉の十割そばに、小鉢がついて1,550円。こちらのお蕎麦は、希少な在来種横田小そばを使用しています。お蕎麦そのものの風味とコシがあり、絶品! また、御膳のお料理に使用されるお米は、天日干し仁多米コシヒカリです。野菜、根菜類、果物などは神社の畑での自社栽培というこだわりよう。有難くいただきました。
明治29年創業。老舗酒蔵の茶室で嗜む日本酒と肴のマリアージュ

島根県は、古くから「酒造りの聖地」として知られています。今回は出雲大社で使用する日本酒を製造する酒蔵、「豊の秋(米田酒造)」へ伺いました。こちらでは、松江市の豊かな水と厳選した米を使い、伝統の技を受け継いだ日本酒造りを続けています。

酒造の裏側に回ると、先代が造ったという立派な日本庭園と茶室が。まさに、非日常の世界。こちらの茶室では、季節に合わせた地酒3種と蔵元が自ら厳選した肴3種をいただくことができます。

この日のペアリングは、新酒のにごり×おまんじゅう、特別純米×飛び魚のちくわ、純米吟醸×柚子のゆべし。茶道の世界観を取り入れた静寂の空間で、ふくよかな香り、味わいを楽しめます。こちらのプランは1時間3,500円でなんと日本酒おかわり無制限。日本酒好きにはたまりません。
出雲大社参拝の帰りに訪れたい薬草カフェ

出雲大社の参拝後にぜひ訪れたいカフェが、「The Gift Izumo」。一畑電気鉄道 出雲大社前駅から徒歩約1分とアクセスも便利。こちらでは、出雲に古来から伝わる薬草や地元食材を使った食事やドリンクが楽しめます。写真のお茶は、「出雲國風土記」にも記載があり、出雲大社本殿のしめ縄にも使用される「まこも」のハーブティー。デトックスや浄化効果が高く、スッキリとした優しい味わいです。

ちょうどお昼どきだったので、名物メニューの一つである「陰岐寒シマメ(スルメイカ)の肝しょうゆ漬けどんぶり(1,650円)」を注文。肝と醤油に漬け込んだ隠岐地方のシマメとお野菜がたっぷり。さらに、大山地鶏ハムとアボカドもトッピングされてより豪華に! ヘルシーなのにボリューム満点なのが嬉しい。

こちらのカフェでは出雲ハーブを使用したワークショップを実施しています。今回は「神宿る草まこも」のしめ縄の輪飾りづくり(30分2,000円~)を体験しました(要予約)。想像より簡単に、可愛く作ることができて大満足。出雲旅の思い出に、ぜひ。
アート空間でいただく、出雲ぜんざいと醗酵スイーツ

出雲大社から徒歩10分ほどの場所にある「醗酵文化研究所」へ。“ご縁と美肌のプラットフォーム”をテーマに、ご縁をつなぐレンタルスペースに加え、醗酵メニューがいただけるカフェ、美肌にまつわるワークショップ、島根各地の美肌アイテムのお買い物が楽しめます。

古民家をリノベーションした店内に、カフェとレンタルスペースが併設されています。日本家屋とアートの融合は、非日常にタイムスリップしたよう。

カフェでは美肌にこだわったお食事やスイーツを提供しています。はと麦入りの美肌甘酒ぜんざい(700円)、旭日酒造の酒粕を使用したチーズケーキ(400円)、小豆、くるみ、なつめ、クコの実などをトッピングした美肌豆花(500円)を友人たちと少しづつ味見…ヘルシーで罪悪感はゼロ!
ドリンクは4種類の薬草番茶(ポット 800円)の中から、さんしょう、よもぎ、かき、みかんの皮をブレンドしたものをセレクト。滋味深い味わいで、身体の芯から温まりました。
世界遺産の街で、獲れたての魚と漁師飯に舌鼓

温泉津町の温泉街に新しくオープンした食堂、「港の食堂 KAN」。店内はまるで海の上にいるかのような感覚を味わえる設計で、穏やかな漁港の景色を眺めながら食事を楽しむことができます。建物はゲストハウスや夏になれば自社農園の野菜が並ぶマーケットも併設。温泉津町に来たらぜひ立ち寄りたいお店のひとつです。

驚いたのが、食事のクオリティの高さ! とにかくオーダーするものすべてが美味しい。新鮮なヒラメのこぶ〆(880円)、ジューシーな大粒カキフライ(二個・700円)、アジフライ(一枚・550円)、おでん各種(時価)ほか、地元産の春菊が柔らかくて感動ものの揚げなすとどっさり春菊(680円)、すべてが必食です。
地産地消の素材を最高の調理法でいただく創作和食

島根県大田市にある創作和食「入船」は、地元の人たちから愛される名店。店主は毎朝市場へ足を運び、自らの目で選び抜いた旬の食材のみを使用しています。その日の最高の食材で、最高の料理を最高のタイミングで提供するため、メニューは日によって変わる「おまかせ」スタイル。

今回は、事前に予約したお昼のおまかせ定食(2,000円)をいただきました。朝仕入れた魚のお刺身や、小鉢、茶わん蒸し、このほかにおにぎりとお味噌汁がセットに。感動したのが、シルクスイートの天ぷら! しっとり甘くて、スイートポテトを食べているよう。 次回は夜に訪れてみたいです。
今回の旅で、島根の食文化や食材を知り、実際に食べてその奥深さに魅了されました。恵まれた自然で育まれた食材と、発酵などを通して素材を生かす料理法は、身体だけでなく心までエネルギーチャージしてくれるものでした。
この記事で紹介した以外にも、島根にはまだまだたくさんのご当地グルメや食文化があるので、ぜひみなさんも味覚の旅に訪れてみてください。

美容・恋愛ライター、美食レシピ研究家。女性誌を中心にライターとして約20年活動。恋愛、美容、食、健康、結婚、出産など女性のライフスタイルに寄り添ったコラム執筆ほかセミナーを随時開催しています。料理家としても活動しておりアンチエイジングを目的とした料理を中心にレシピつきレストラン「Mitsue’s Kitchen」をオープン。
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