
2025.03.17
アンティークのティーカップを求めて、歴史あるサセックスの街へ
ロンドン在住のライター・ウエストウッド知佳さんによる連載「My cup of tea」。イギリス英語の表現にある”Not my cup of tea” は「好みではない、好きではない」、”My cup of tea” はその逆に「好みである、好きだ」という意味になります。
この連載では、知佳さんの「My cup of tea=イギリスでの生活や少し足を伸ばして訪れたヨーロッパ旅行」でのエピソードなどをご紹介いただきます。
第五回は、「アンティークを多く取り扱うサセックスの街」について書いていただきました。
イギリスに住んでから、家族の影響もあり、私はアンティークの食器が好きになりました。自宅にある食器やカトラリーのほとんどは夫のおばあ様の物。それに私が日本から持ち込んだ父方の骨董品が少し。
年末に友人宅でお茶を頂いた時、やっぱりうちにもちゃんと使えるティーカップが欲しいなと思い始め、掘り出し物のアンティークに出会えるサセックスに行ってきました。私たちがアンティーク狙いで行く街は大体決まっていて、ルイスとペットワースです。
今回はロンドンの自宅から南に海を目指して車で約2時間、電車で1時間半かかるルイスへとまず行ってきました。
ノルマンディー公ウィリアムがイングランドを征服したヘイスティングスが近いことや、13世紀には国王ヘンリー3世と改革派諸侯が国政をめぐって争った「ルイスの戦い」が起きた、この歴史長いルイスには、アンティークショップが何軒も並んでいます。
今回息子のしたいことも尊重したのでゆっくり見ることができたのはチャリティーショップ(これについてはまたいつか書きたいと思っています)とルイス・アンティーク・センターだけ。一般的に大きなアンティークセンターだと、センターの入口すぐから販売者各々が自分が受け持つコーナーがあり、そこに時代設定や国、それぞれの販売者が得意とする物が展示販売されています。
最近では日本コーナーもよく目にするようになりました。歩を進めると、なんと驚きの日本の結婚式の写 真コーナーまで!
誰かにとっての不用品が誰かにとってのアートや必需品に変わる、そこがアンティークの良いところ。イギリス人がこの写真(3,4枚目)をどのように自宅に飾るのかとても気になりました。
私はと言いますと、夏にペットワースで見たようなアール・デコのティーセットを狙っていたのですが、ここでは出会えず、未だに頭によぎるあの時買えば良かったという後悔…。
しかし1960年代の素敵なティーセットに出会えました。今回買ったのはソーサーカップにケーキプレートの4セットとミルクジャーで合計£80、それに中国のお皿6枚セットで£15でした。
ここまで来た甲斐がありました。
…と言うのも、ロンドンにもアンティークショップはもちろんあるのですが、どうしても値段が高めなのです。夫と私だけなら時間をかけてもっとじっくり見たいところですが、息子の楽しみも必要ですよね。
サセックスの良いところは、アンティークなものが揃うだけではなく、今も公爵が住んでいるようなお城があったり(ほんとんどのお城の居住外の部分は一般公開されています)、海と丘がすぐそばにあり、イギリスを感じられる魅力がたくさんあることでもあります。
後ろ髪をひかれながらルイスをあとにし、車で20分の海辺の街、ニューヘイヴンに夫の友達に会いに行き、ついでに海岸を散歩しました。この辺りの海岸は砂浜ではなくペブルといって小石でできた海岸ばかり。歩くのはなかなか大変ですが、セブン・シスターズという白亜のチョークでできた崖を見ながら夕陽を背に、大人も子どもも、犬も大満足でした。
緑が濃くなる5月頃からのサセックスはさらにとても綺麗なので、ロンドンに来られる際は是非足を伸ばしてみてください。
My cup of tea バックナンバー
>>義母は誰もが知る有名人!ウエストウッド知佳さんの新連載スタート
>>ロンドンで、劇場は社交場のひとつ。在英ライターの観劇日記
>>これぞイギリス流!在英ライターに聞く、クリスマスから年始の過ごし方
>>スターウォーズのロケ地も!スペインで暖を取る冬のヨーロッパ旅