
2025.03.01
衣類アップサイクルデザインコンテスト審査員の篠原ともえさんにインタビュー。世の女性に送るエールとは?
2月15日、大丸松坂屋百貨店が運営するファッションサブスクリプションサービス “AnotherADdress(アナザーアドレス)” が主催する、ファッションデザインコンテスト「roop Award 2024-2025」の最終審査・授賞式が、国立代々木競技場 第一体育館にて開催されました。
衣類循環プロジェクトの推進とクリエイションの祭典がタッグ
大丸松坂屋百貨店が運営するファッションサブスクリプションサービス“AnotherADdress” は、衣類循環アップサイクルプロジェクト「roop」を2024年8月より推進中。
この度、クリエイションの祭典「NEW ENERGY TOKYO」とタッグを組み、プロジェクトの浸透促進と多彩なデザイナーや学生の製作機会を創出するために、ファッションデザインコンテスト「roop Award 2024-2025」の最終審査・授賞式を開催しました。

会の冒頭では、最終審査に進んだファイナリスト20名(プロ部門、学生/アマチュア部門 各10名)のランウェイが開催。
衣類循環アップサイクルプロジェクト

また、当日はお笑い芸人・野性爆弾のくっきー!さんが自らデザイン画を書き下ろした、この世に1着だけのオリジナル「アップサイクルドレス」も登場。花束に見立てた姿と、それを持ち歩く手、そんな花束を見つめるたくさんの目が特長的な作品で、会場の人たちの目を奪っていました。
審査員には長谷川京子さん、篠原ともえさんも
ランウェイの後では、グランプリをはじめとした各賞が決定しました。
部門グランプリに選ばれたのは、学生/アマチュア部門の宮川一葉さん(大阪モード学園)によるブランドネーム「KAZUHA(カズハ)」。
受賞作品は「Multifaceted(多面)」をコンセプトとしており、「色々な着方で、あなただけの一面を見つけて欲しい。一つの作品に対してそれぞれ3つ以上の着方と形があります。服をただ着るだけじゃなくて、探して、試して、発見して欲しい。服で遊んでワクワクして欲しい」との思いが込められています。

受賞した気持ちを聞かれ、宮川さんは「まずは見にきてくださった皆さんありがとうございます。アップサイクル、このコンテストを通して初めての経験ができたので、自分としてはいい経験ができたなと思います。本当に感謝しています。ありがとうございます」とコメントしました。
総合グランプリに選ばれたのは、プロ部門に出演した播磨マイアさんのブランドネーム「Maia Harima(マイア ハリマ)」。受賞作品のコンセプトはずばり「second skin」。播磨さん自身の妊娠という特別な経験からインスピレーションを得て生まれたコレクションだそうです。

受賞後のコメントを求められ「日本に来て5年間、ずっとアップサイクルの活動をしていました。こんな素敵なデザイナーさんの中で受賞できたことを本当に感謝しています。ありがとうございます」と話しました。
審査員を務めた長谷川京子さん、篠原ともえさんのコメント

授賞式の後で長谷川京子さんは「もともとあった商品がさらに息吹をかけられて新しいものになって、もしかしたら、前の服よりももっと素晴らしい服になっているのではないかという感想を持ちました。私自身、服を着るほうのお仕事で作るほうではないですけど、日々、自分のクローゼットに眠っている服をどう活用しようか、ずっと考えています。今回はそういう意味で、今までになかったアイデアというものをいただいた気がして、本当に楽しかったです。素晴らしかったです。ありがとうございました」と話しました。
続けて篠原ともえさんは「審査員の皆さんと白熱した時間を過ごしました。どの皆さんも時間と愛をかけた作品だと感じました」とコメント。続けて主催の “AnotherADdress”について「夢を追いかける皆さんに大きなチャンスを与えていること、それに深く共感します」と笑顔で話していました。

会の最後には大丸松坂屋百貨店の代表取締役社長・宗森耕二さんより総評。「私たちは今日のイベントを通じて、roopという言葉が想いを循環させる言葉であると確信しました。ご寄付をいただいた服への想い、その服を新しい価値へと継ぐデザイナーさんへの想い、新たにその服を着られるお客様の想いを循環させるということが私たちの仕事だと改めて思いました。ぜひ、この輪を広めていただきたいです」とこの活動の意義をコメント。イベントは終了しました。
イベントの直後、篠原ともえさんを直撃

ーー審査員を務めた感想を教えてください。
どの作品もアイデアに溢れていて、特に学生さんの作品はエネルギーに満ち溢れていて、こういったアワードがSDGsを考えるきっかけになればいいなと、私自身もすごく刺激をいただいた時間でした。
ーーファッションはサステナブルと相対する一面も持っているかと思います。アパレルに携わっている篠原さんは、どんなことを意識されていますか?
近年、物作りにおいてSDGsやジェンダーニュートラル、トレーサビリティというのも注目されています。そのアイテムがどのような背景で、いつどこでどのように作られていくのかという制作背景の提示も重要になってきているな、と。私の場合は、ユニフォームのデザインも手がけているので、国内生産にこだわって、職人さんと直接物作りを通じて、繋がり合って制作できるような物作りを心掛けています。
ーーアップサイクルの魅力はどんなところにあると思われますか?
私自身、10代の頃から縄跳びで腕輪を作ったり、ビーズを繋ぎ合わせてアクセサリーを作ったりなど、アイテムにアイデアを入れて、ゼロからオリジナルで作品を作ることにこだわったことが今のデザインの仕事に繋がっていると思うんですね。アップサイクルは楽しみながらできるものだと、私自身も原体験として思い出があります。
ーーアップサイクルと聞くとちょっと難しいという印象がある一方で、お話を聞いて、言われてみればやっているのかもしれないと思いました。
はい。子ども心に戻って好奇心を持って、取り組めるのがアップサイクルだなと感じています。
ーー篠原さんが考える美しさとはいったいなんでしょうか?
美しさというのは外見ではなく、中身だというふうに感じています。美しさに届くためには、外見を磨くよりも、クリエイティブだったり、手仕事だったり物作りだったり、そういった心がワクワクするところに自分自身が飛び込んで、好奇心をくすぐる体験をすることで、その喜びが肌や雰囲気、仕草に出るのではないでしょうか。
ーーどこかに“らしさ”のあるファッションをされている印象がありますが、ファッションにおけるこだわりも教えてください。
ファッションにおいては、自由であることが大切です。好きという感覚を感じながら向き合っていければいいなというふうに感じています。
ーー自分らしくあることに悩んでいる人は、どうしたら自分らしさを見つけることができると思いますか?
私は夢中になることを信じてますね。私自身がファッションやデザイン、アートに夢中になって、デザイナーとしての活動と向き合えているので、自分が手放せないことに夢中に向き合ってみると、あなたらしい自分らしさと出会えるんじゃないかなと世の中の女性にエールを送りたいです。
取材・文・撮影/於ありさ

編集部のおすすめやお知らせをアップしていきます。
この著者の記事一覧へ