
2025.02.10
スターウォーズのロケ地も!スペインで暖を取る冬のヨーロッパ旅
ロンドン在住のライター・ウエストウッド知佳さんによる連載「My cup of tea」。イギリス英語の表現にある”Not my cup of tea” は「好みではない、好きではない」、”My cup of tea” はその逆に「好みである、好きだ」という意味になります。
この連載では、知佳さんの「My cup of tea=イギリスでの生活や少し足を伸ばして訪れたヨーロッパ旅行」でのエピソードなどをご紹介いただきます。
第四回は、年末年始のスペイン旅行について書いていただきました。
この冬最後の暖をとりに、スペインはアンダルシア地方に行って参りました。
元日を迎えると気温が低いだけでなく、灰色の空が続くロンドン。春までがとても長く、春を迎えるまでに気分が滅入ってしまう人たちが多いのです。
夏目漱石はロンドン留学中に、当時のイギリスの物価があまりに高く貧困に苦しんで精神を病んだと言われていますが、青空の見えない天候に気が滅入ったか らという説もあるくらいです。
もちろん、イギリスにもいいところはたくさんあります。そしてヨーロッパ在住の1番の魅力は、なんといってもヨーロッパ中に気軽に気楽に行けること。国が変われば言葉も変わる、建物も気候も全然違います。
今回はロンドンから飛行機で2時間10分、最高気温5度のロンドンから最高気温18度のセビリアに、まずは足を踏み入れました。

青空の下、街のあちらこちらで目にするオレンジの木。通りを歩くだけで色鮮やかな世界に元気をもらいます。

世界遺産のセビリア大聖堂を観覧し、スターウォーズ好きの夫と息子が一番見た かったスペイン広場までサンタ・クルス地区を通りてくてく歩きます。


道中、焼き栗の出店をいくつか見かけたので、私たちも買ってみました。ほのかに塩が振ってあり、とても美味しゅうございま した。

どうやら『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のシーンの1つがスペイン広場で撮影されたようで、我が家のボーイズだけでなく世界中のスターウォーズファンがここで写真撮影をしていました(笑)。

20世紀初頭に作られたスペイン広場。
アフリカ大陸に近く、イスラムの支配下にあった歴史あるアンダルシア地方には、その当時の美しさを 反映したタイルがたくさんあります。



夫婦してタイル好きの私たちは、目を凝らしてデザインや組み合わせの美しさを楽しみました。
次は、セビリアから車を走らせて1時間のコルドバへ。コルドバではまず今回の旅で訪れたかったメスキータを訪れました。

英語で「Mosque-Cathedoral」と呼ばれている通り、イスラム教とキリ スト教の歴史が融合するモスク大聖堂です。赤と白の縞模様のアーチが、まるでドクタースースの絵本の世界。ここに入れば8世紀に渡る大歴史の生証人になったような、何とも言えない気持ちにな れます。




メスキータを出てローマ帝国時代に造られたローマ橋を見学し、川沿いを散歩しました。 紀元前にこんな建物を作れる技術、人間の叡知に感心するばかりです。

コルドバを後に車を走らせ、次はハエンの山の中に。
アンダルシア地方の魅力の一つはワイルドで手付かずの美しい山々にもあります。山の中では突如たくさんの山羊に囲まれました。

ハエンの宿泊先の朝食で羊羹のような物を発見し、小豆好きの息子と餡子なら嬉しいねと話していると、スペイン人の方が「メンブリージョと言ってマルメロを砂糖で煮詰めた物でヤギのチーズ と食べたら美味しいよ」と教えてくれました。口にすると、うーん、とても美味しい!

最後はグラナダ県からシエラ・ネバダ国立公園を経由して、夫のおじさんが2人も移住している海辺のアルメリア方面の小さな町へと行きました。海岸沿いでもあり山の起伏も激しいこの場所から見渡す景色は壮観です!


そして、家族でスペイン流の年越し。スペインでは年越しの際に1秒刻みで計12回、鐘が鳴ります。その時に1秒毎に1粒ずつ葡萄を食べるのです。
12粒の葡萄を鐘が鳴っている間に全部食べ終えることができたら、その年は幸運な1年になるのだそう。

葡萄を完全制覇し、元旦にはおじさんのスペイ ン人のパートナー・マリアの本場のパエリアと採りたての海老を食し、2025年を楽しく美味しく迎えました。

My cup of tea バックナンバー
>>義母は誰もが知る有名人!ウエストウッド知佳さんの新連載スタート
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