【俳優・森田想】「憧れの人はいない」ありのままでいられる理由とは
くるくると変わっていく表情がとてもキュートな森田想さん。発せられる言葉はどれも感情がにじみ出ているかのようで、気ついたら心を引き寄せられます。
そんな森田さんが出演するのが、映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』。日本ホラー界の重鎮・清水崇さんが総合プロデューサー、本作が商業映画デビュー作となる近藤亮太さんが監督を務める「新次元Jホラー」です。
主人公は一緒に出掛けた山で弟が失踪した敬太(杉田雷鱗さん)。ある日、敬太のもとに母から古いビデオテープが送られてきます。それは弟がいなくなる瞬間を映したもの。敬太の同居人で霊感を持つ司(平井亜門さん)は深入りしないほうがいいと助言するのですが…。
森田さんが演じるのは、敬太を取材対象者として追う新聞記者・美琴。どのように作品に取り組んだのか、また共演の藤井隆さんとのエピソードも。さらに森田さんこだわりのファッションについてもお聞きしました。
実は、ホラー作品が苦手
――森田さんはホラー映画への出演も多いですが、ホラー自体はお好きなんですか?
実は、よくお話をいただくんですが…ホラーは苦手なんです。つくることは好きなんですけど、自分から進んで観ることはしないですね。
――公式サイトでのコメントでは、観た時に「あまりの怖さに久しぶりに顔を覆った」とありましたが、特に恐怖を感じられたのはどういったところなんでしょう?
もうビデオテープがそもそも怖いというか。自分が参加してる前半のシーンはどういった内容かわかっているから観られたんですけど、後半の杉田さんと平井さんたちのシーンとか、ビデオテープの映像だけとかは観たことがなかったので、もう耐えられないぐらい怖かったです。
ずっと画面の端を観ていたので、そのシーンは観ていないと言っても過言ではないかもしれません(笑)。
――出演されていてもそうなんですね!
無理です、無理。絶対に無理。
――どういう演出が恐怖に繋がったと思われますか?
作品に入る前の本読みで「とにかく怖い映画をつくろうと思っています」と監督から言われました。脚本もおもしろかったけど、怖くなる要素がたくさんありましたし、想像もしやすかったですね。
私は当事者というよりはそばで見ていて巻き込まれる役なので、その巻き込まれていく動揺のようなものは、セリフを言う時に気をつけるように監督と話をしていてました。
――今回も難しい役どころだったかと思うのですが、振り返っていかがですか?
ホラーはご縁もあるので、演じるたびに楽しいなと思っているんですけど、今回のように自分が渦中にいない役はわりと気持ちが楽ですね。やりやすいところはあります。
――当事者役のほうが辛い?
ホラーは絶対に誰かは死ぬので、死に役だと、ほかの作品よりもリアルに映りたいな、とは思ってしまいますね。やっぱり人を怖がらせる効果の駒として動かないといけないので、やることも多いですし。
藤井隆さんがあまりにおもしろくて…
――撮影現場はいかがでしたか?
お貸しいただいた場所も、もともと怖いんですよね。もう演出される前から現場が怖いし、寒いし。寒いのは単に12月だったから、というのもあるんですけど(笑)。
でも、なんて言うんでしょう…その場所にお邪魔します、という感じでした。あんまりふざけるとダメなのかな、ということはホラー作品の時にはいつも思いますね。
――上司役は藤井隆さんが演じていらっしゃいますね。
藤井さんがいらっしゃるシーンは、場所的には普通のオフィススタジオだから怖くないんです。でも、不穏な話もするし、ホラーを撮っているという感覚で藤井さん自身もいい意味で必要以上にホラーっぽい言い方をたくさん試してくださっていました。また、藤井さんとのシーンは映画を観ている方への説明のパートでもあるので、色を付けてホラーっぽくしてくださっていましたね。
――藤井さんは「森田さんと話している時が楽しくて救われました」とコメントされていましたが…。
もうそのコメント、嬉しくてスクショしすぎて!(笑)
実は私、藤井さんのファンで、家族にも「藤井さんがうちの名前言ってるよ!」と言っていたんです。本当にすごくお優しい方でした。
――お話された中で印象に残っていることはありますか?
演技があまりにも面白くて。“あるある”なんですけど、シーンの最後のセリフからカットがかかるまで時間が長かったりする時って、だいたいアドリブで繋げたりするんです。絶対に何かやってくださるから、私もそこを楽しみにしていました(笑)。うしろに何かいるかのように何度も振り返ったりとか、カメラ目線をしたり…。藤井さんとしても貪欲に使ってほしい、という感じでアドリブを入れてくださって、さすがだな、と思いながら一緒にやっていました。
“ほか”に興味がないんです
――ファッションやメイクについてもお伺いしたいなと思うのですが、森田さんのファッションがいつも素晴らしくて。先日の東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日実施)でのお衣装もステキでした。
いえーい!(笑) ありがとうございます!
――どういったところにこだわっていらっしゃるんですか?
とにかく人と被らないようにしています。世の中の流行もあるし、自分の中の流行りも変わりやすいんですけど、それはちゃんと取り入れるようにしています。
――お衣装を選ぶ際に、譲れないポイントはあるんですか?
黒は着ないようにしていますね。パッと見で黒い服を着ていると思われるのが嫌なんです。着たとしても黒の印象を与えないような服をお願いしています。やっぱり、被りやすいので。
――確かに着てしまいがちですね…。メイクのこだわりもお聞きしたいです!
チークが好きです。韓国の文化も大好きなんですけど、流行っているし、多幸感があるようなメイクで。
――ファッションもメイクも、やっぱり流行はしっかりキャッチされているんですね。
昔からSNSも大好きですし、海外ドラマも好きだったので、海外のセレブリティの人たちの私服や授賞式、ファッションイベントは全部見るようにしているんです。そこで自然と勉強しているのかもしれませんね。
――ファッションに留まらず、生き方などもそうですけど、理想像はあるんですか?
ないですね。たぶん、中学生の時に尖っていて…今も尖ってますけど(笑)。自我を出すのに精いっぱいの時は誰かに憧れたりもしたんですけど、どうしても真似になる、と思った時に疲れてしまって。そこからありのままで過ごしていたら、なんとなく自分らしいことが身につけられるようになりましたね。他に興味がないんですよね。
――年齢問わず、ロールモデルがいないとしんどい、という人も多いかと思うんですが、森田さんのように生きられるのはステキですね。
一度、ないものねだりをする時期を過ごしていたからかもしれません。その時期が私にとってすごく濃かったんですよ。だから、逆に振り切れるようになったんだと思います。
――そんな森田さんの2025年の目標を教えてください!
コーヒーをいっぱい飲む!
あと、旅行が好きなんですけど、もっといろんなところに行ってみたいですね。日帰りとかでも。
Profile
森田想
2000年生まれ。東京都出身。幼少の頃より子役として活動をスタート。 映画『ソロモンの偽証』など多数の出演を経て『アイスと雨音』で映画初主演を務める。『朝が来る』『タイトル、拒絶』『わたし達はおとな』など話題作に多数出演。2023年に主演映画『わたしの見ている世界が全て』で、マドリード国際映画祭外国映画部門にて主演女優賞 受賞。2024年公開の映画『辰⺒』では、第16回TAMA映画賞 最優秀新進女優賞受賞。趣味の旅行などの様子を収めたYouTubeチャンネルも開設した。
■『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』作品情報
2025年1月24日(金)公開
出演:杉田雷麟 平井亜門 森田想 藤井隆
総合プロデューサー:清水崇
監督:近藤亮太
脚本:金子鈴幸
公式サイト:https://mcv-movie.jp
公式 X:@mcv_movie
公式 TikTok:missing_child_videotape
©2024「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」製作委員会
撮影/芝山健太
取材・文/ふくだりょうこ
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