2025.01.05
【京都・普廻-Fune-】地球に優しい食で体をととのえ、エシカルアイテムに心をときめかせる
京都御所の南側(通称、御所南)にある、エシカルなライフスタイルを提案する小さな複合施設「普廻-Fune-(ふね)」(以下、Fune)。施設内のカフェ「未来粥」にて、素材と調理法にとことんこだわったお粥とロースイーツを提供していると知って、訪れてきました。
年末年始に食べすぎてしまった人、寝正月を過ごした人も多かもしれません。一年のはじまりに、ヘルスコンシャスな料理で体を内側からととのえに行きませんか。
また食事も新年のお買い物も一緒に楽しめる施設、Funeも一緒にご紹介します。
腸内環境や素材にこだわり抜いたグルメ
扉を開けると、ところ狭しと並ぶエシカル雑貨や衣類が迎えてくれ、その奥に食事ができる席がいくつか並んでいます。そのスペースがカフェ「未来粥」、ショップや奥のキッチンともシームレスにつながる気持ちのいい空間です。
メニューはつい読み込んでしまうほど情報たっぷりですが、フードはお粥一択、デザートも2種類のみ。数少ないメニューだからこそ特別感が増し、そこに込められたお店の想いやこだわりを感じますね。
未来粥膳(みらいがゆぜん)
「未来粥膳」は、有機米「ひのひかり」を使ったお粥を中心に、5つの小皿が乗った御膳スタイル。入れ子式の黒い器に、それぞれのおかずの存在感が際立ちます。
お粥の米は、光合成する古代菌である藻類、シアノバクテリアを肥料に育てられたものです。おかずには特製の胡麻とうふや納豆せんべい、また腸まで届く強力な乳酸菌を持つぬか漬けなどの定番に加え、自然・有機栽培の旬野菜を贅沢に使った温・冷それぞれの料理が提供されます。
カフェの構想を練っておられたパンデミックの時期、「大切なことは免疫機能をアップすることだ。そのためには腸内環境の改善から」との想いから、お粥の御膳を考案されたとオーナー兼デザイナー・沖野ふみかさん。
同店では「自然界に存在するすべてを分け隔てなく大切にすることをめぐらたい」というお店の方針をさまざまな観点で表現していますが、この未来粥膳は、食べることで「体や心の廻(めぐ)りをととのえる」メニューとして考えられました。
食材はできるだけ地元産の農薬不使用の野菜を厳選。調味料にはプルーン入りのお味噌やわさびオイル、陳皮、麹、黒酢など一風変わったものや、発酵食品を中心に使い、素材の旨み甘味を引き出す調理法で砂糖も不使用だとか。
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噛むほどに旨みが出るお粥と、その滋味深くもプレーンな味に、楽しみやインパクトを添えてくれるおかずたち。
特にぬか漬けは、従来のものより薄めのスライスですが、それでも十分な濃厚さでお粥が進みます。納豆せんべいは納豆が苦手なオーナーが食べやすいように工夫をして作られたもの。一口で食べられ臭みがなく、香ばしさがあり納豆の旨みは残っているので納豆好きにも嬉しい一品です。
また温菜は野菜をタジン鍋で蒸し焼きにしたもの。野菜から出る水分だけで調理するため、旨みがぎゅっと凝縮され野菜本来の美味しさを堪能できました。
ヴィーガンロースイーツ「御所の杜(ハーフ)」とドリンク
ケツメイシのチャイ 650円
※ランチとセット料金に
デザートのメインは、ヴィーガンロースイーツ「御所の杜」。
ロースイーツとは名前の通り、オーブンなどで加熱せずロー(生)の状態でいただくスイーツ。「未来粥」では卵、乳製品、小麦粉、砂糖も使わないため、自然の恵みをそのまま体内に取り込むことができます。
「御所の杜」で提供されるロースイーツは3種類です。
人工大理石テラゾに見立てた「フルーツのテラゾ」は生カシューナッツや白みそ、レモンが主原料。口に入れるとレモンの爽やかな甘味が口いっぱいに広がる、爽やかなスイーツです。
緑が特徴的な「森を食べる」は、人参やオートミール、ココナッツフラワー、デーツなどが入っており、色付けにはクロモジの粉末が使われているそう。しっとりとしつつ歯ごたえを感じる、満足感の高い一品に。
「ローチョコレート」はロースイーツの定番ですが、純度の高いチョコレートを味わえる本格派。プレーンのほかにわさび、ベチパーがあり日によって変わります。
今回はハーフサイズにしましたが、フルサイズもあるので、カフェ利用の場合はそちらもおすすめです。
またスイーツと一緒にいただいたのは「ケツメイシのチャイ」。自然療法で知られるケツメイシと3種のスパイス、CTC茶葉を独自にブレンドしたものです。茶器で提供される驚きと、濃厚でエキゾチックなスパイスの風味に幸せな気分になる一杯でした。
エシカル複合施設「普廻-Fune-(ふね)」
建物は、住宅だった古民家を改装して活用されています。シンプルな外観が目を惹きますね。運営しているのは、自然と調和のとれたアイテムの企画から制作、販売までを手がける「日の出PRODUCTS(プロダクツ)」。そのアンテナショップをはじめ、カフェやファブリック専門店、レンタルスペースなどの利用が可能。
Funeはまさに小さなコミュニティのような存在。オーナーの沖野さん曰く「似たような思いを持つ同士、交流が生まれる場になりつつあります」とのこと。「私自身、上下関係とかあまり意識しておらず、それぞれができることを持ち寄って過ごせたら」という社長の考えが根づいた、風通しのいい空間に。またここに来られるのは暮らしにこだわりを持つ方も多く、スタッフ同士のみならずお客さんとの交流も生まれているのだそう。
日の出プロダクツ提案、エシカルなアイテム
食器洗浄から洗濯、入浴剤まで多用途な「ホタテ貝殻の粉」、クロモジの枝葉の細胞内から抽出した「クロモジ細胞水」など、自然の恵みを活用したこだわりのアイテムに並びます。また今力を入れているのが、アップサイクルや循環をキーワードに「人と環境に優しい」ファッションの提案です。
実際、売り場の3分の1ほどを占めているのが、自社ブランドのファッションアイテムです。ヘンプ(大麻)を使った「呼吸-KOKYU-」、着物をアップサイクルする「象形-SHOKEI -」など、ほかではなかなか見ることができないものも。またヘンプの生地はサイトで販売、サンプルの取り寄せもできるそう!
気になる方はお店のスタッフに声をかけてみてくださいね。
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ヘルスコンシャスな食とエシカルな衣類雑貨、食事と買い物が同時に楽しめる、Funeを紹介しました。もちろんグルメスポットとしてだけでも十分楽しめるので、御所界隈を散策する際には一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
旅するように暮らす自然派ライター/オーガニック料理ソムリエ。
4年に渡る世界一周後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。コーヒー好きが高じてオーストラリアではバリスタ業の経験も。今は繊細でフルーティーな浅煎りコーヒーに夢中です。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを主に執筆。現在は自然に沿った生き方、ほどほど丁寧な暮らしを自ら実践しながら発信中。地球にも体にも優しい生き方のヒントをお届けしていきます。
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