2024.11.26
パリにX’masシーズン到来。老舗デパートの圧巻ディスプレイをレポート!
寒さが厳しく、日照時間も短い冬のパリ。日本の冬と違い、毎日どんよりとした空が広がるこの季節ですが、パリではそんな暗さを吹き飛ばすように、華やかなクリスマスイルミネーションが街を彩り始めました。
イルミネーションに輝く美しいパリの街並みは、まるで映画の世界に迷い込んだかのよう。そのなかでも特に注目したいのが、パリの老舗デパートによる圧巻のクリスマスディスプレイです。
これらのディスプレイは、パリ市民も毎年楽しみにしている冬の風物詩のひとつ。パリ在住のライターが2024年の最新バージョンをお届けします!
Le BHV Marais
まずご紹介するのは、パリ市庁舎前にある老舗デパート「Le BHV Marais(ル・ベーアッシュヴェー・マレ)」。規模としては小さめのデパートですが、地元住民から長きにわたって愛されています。今年は11月6日にパリでもっとも早くクリスマスディスプレイの落成式を迎え、話題となりました。
フランスのデパートでは、毎年テーマを設定し、それに沿ったイメージでディスプレイを展開しています。今年のLe BHV Maraisのテーマは「いたずら好きな妖精たちが集まる魔法の家」。デパート全体を家に見立て、元気いっぱいの妖精たちがウィンドウの至るところから顔をのぞかせる、遊び心あふれたディスプレイになっています。
可愛い妖精たちが動き回る姿には、パリの子どもたちも釘付けに! ウィンドウにへばりついて離れない姿もまた可愛らしくて、「今年はサンタさんにどんなプレゼントをお願いするのかな?」と、こちらまで心が温かくなりました。
La Samaritane
アールデコ様式の美しい吹き抜けが有名なデパート、「La Samaritane(ラ・サマリテーヌ)」。こちらはパリの歴史的建造物にも指定されている「一見の価値あり」な老舗店です。シックで洗練された雰囲気が漂うLa Samaritaneでは、商品のセレクトも大人向けなので、きっと素敵なクリスマスプレゼントが見つかることでしょう。
そんなLa Samaritaneの2024年のテーマは「魅惑のウィンターガーデン」。デパート全体がXXLサイズの温室に変身し、訪れる人々を幻想的な植物の世界へと誘います。魅力的な空間美に、クリスマスシーズンの特別なひとときを味わえそうですね。
店内のクリスマスグッズもかなり豊富です。この時期はツリーに飾る「クリスマスオーナメント」がたくさん置かれるようになるのですが、La Samaritaneのアイテムは本当に可愛くて、見ていてどれも欲しくなるものばかりでした!
Le Bon Marché
パリ左岸にあるデパート「Le Bon Marché(ル・ボンマルシェ)」では、「これぞパリ!」といったウィンドウディスプレイが登場しました。今年のテーマはズバリ、「パリのクリスマス」。エッフェル塔やパリのアパルトマン、煙突、街灯といった街の風物詩が夜空に浮かび上がるデザインで、パリの冬の魅力を可愛らしく表現しています。
Le Bon Marchéのショーウィンドウでは、なんとBGMの演出も! 今年はエディット・ピアフの名曲『愛の賛歌』や『バラ色の人生』が流れ、華やかなディスプレイにぴったりのムードを演出していました。
もともと大人のお客様が多いLe Bon Marchéらしく、仕事帰りのムッシュやマダムたちが足を止めて眺めている姿も印象的です。優雅な音楽とともに楽しむショーウィンドウは、まるで街中に広がる小さな劇場のようでした。
Galeries Lafayette
さて、パリでもっとも巨大なクリスマスツリーを飾っているのは、オスマン通りの「Galeries Lafayette(ギャラリー・ラファイエット)」です! 2024年はGaleries Lafayetteの誕生130周年という特別な年。巨大ツリーのデザインは、パリ五輪の閉会式でコスチュームデザインを手がけたケヴィン・ジェルマニエ氏が担当しました。
圧巻の美しさを誇るGaleries Lafayetteのツリー。今年はすべてリサイクル素材を使用し、約2万個もの電球が使用されていました。歴史ある美しいクーポール(天井)と相まって、豪華で壮大な雰囲気を楽しむことができます。
さらに、Galeries Lafayetteの店内はどのフロアからもこのツリーを眺められる仕掛けになっています。わたしも毎年見に行っているのですが、2024年のディスプレイは一段とポップで煌びやかでした。Galeries Lafayetteなら自分へのご褒美を探す時間も、大切な人への贈り物を選ぶ時間も、特別なものになることでしょう!
フランス人はクリスマスをどう過ごす?
ご紹介したパリのデパートは、どこもクリスマスの時期が一年でいちばんの売上げを記録すると言われています。その理由のひとつが、フランス人のクリスマスプレゼント事情。フランスでは、プレゼントは一人につき1つだけではなく、大人でも2~3個、多い時は5個以上贈り合うことも珍しくありません。
プレゼントの包装も自分たちで工夫して行い、クリスマスツリーの下に飾ります。それを12月25日の0時に、一斉に開封するのが伝統的なスタイルとなっています。
さらに、クリスマスは家族が一堂に会する大切な時間。ディナーの内容も一年でいちばん豪華で、アペロタイムから前菜(2種類)、メインディッシュ(2種類)、そしてデザートと、数時間かけてゆっくりと食事を楽しみます。
こうした一大イベントであるクリスマスを、フランスの人々は本当に心待ちにしているようです。11月の早い段階から街がクリスマス一色に染まる理由も納得ですね。
赤や緑、金色で彩られたディスプレイは、見ているだけで心が躍るほどの美しさです。その魅力に、パリでは子どもだけでなく、大人も思わず足を止めて見入ってしまう光景が広がっています。
フランス在住。美容部員、メイクアップアーティストを経て、2019年からライターに。香りやコスメが大好きで、現地パリから最新情報をお届けしています。趣味はヨガと水彩画とパリの美術館めぐり。美容のほか、アート・エシカル・ライフスタイルなど、日本とフランスをつなぐ読みものを発信。
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