2024.11.19
「発祥の地ドイツ」で今年も心躍るクリスマスマーケットがスタート
すっかり気温が一桁台に下がり、ダウンを着込むこの頃。ドイツでは、一年で最も盛り上がる、街が煌めく美しいシーズンがやってきました!
クリスマスマーケット発祥の地とされるドイツ。その起源は、17世紀に遡るといわれています。今年は11月20日前後から多くのクリスマスマーケットがスタートします。
ドイツ在住のライターが、昨年訪れた際の写真(本年開催前のため2023年の写真です)と共に現地の様子をお届けします!
Dortmund(ドルトムント)
ヨーロッパ最大のツリーがあることで有名なドルトムント。先端の星が下からは見えないほどのツリーの高さは、なんと45mもあるのだそう! 圧巻の景色を観るため世界中から人々が集まります。
冬でも青々とした常緑樹が使われるツリーは、一説によると「永遠の象徴」なのだとか。
高くまっすぐに伸び、力強い生命力を感じさせるツリーは、古くからヨーロッパの長く寒い冬を耐え春を待つ人たちにとって非常に大切な存在であるに違いありません。
お酒を飲みながら談笑し、大きなツリーを見上げてキラキラとした笑顔の人たちを見て、微笑ましく心が温まります。
開場に流れるトランペットの音色。よく見たら、ツリーからひょっこり生演奏でした。演奏後は会場で拍手喝采。そんな温かなしあわせな雰囲気が会場を包みます。
Köln(ケルン)
世界遺産の街「ケルン」のクリスマスマーケットはドイツ国内でも有名で、ユネスコ世界遺産にも登録されている「ケルン大聖堂」をバックに様々なマーケットが開かれています。
近年日本でも様々な場所で開催されていますが、やはり本場の規模は想像以上のもの。
日本と異なるドイツのクリスマスマーケットの大きな特徴は……
①入場料が無いこと
②1つの街でも複数のマーケットがいたるところで開催され、それぞれにテーマや特徴が異なること
ケルンの旧市街で開かれるマーケットはメルヘンな世界観がテーマで特に人気です。小人たちがたのしく遊んでいるモチーフで飾られた「ハインツェルの冬のメルヘン」会場。
常設ではないこの時期限定のこの観覧車は、実は1902年に作られ120年もの歴史があるのだとか! レトロないでたちながらも、日本では考えられないほど超高速で回転…! 少し怖い気がするものの、皆さんおかまいなし。列ができる程の人気アトラクションです。
大人も童心に返って盛り上がっているのは”アイスストック”というスポーツ。スケートリンクも超満員です。
このマーケットは、昔ケルンにいたハインツェルと呼ばれる、小人たちの伝説に由来しているのだとか。会場のいたるところで、いたずらをしたり愉快に遊んでいる様子にクスッとします。
ツリーに飾る陶器でできたオーナメントも毎年コレクションしたくなる可愛らしさ。
ヨーロッパでは間接照明やロウソクの明かりが生活に根付いています。道行く人から見えるように、多くの家では窓際にオーナメントやライトなどで飾りつけをして、温かな灯を燈します。
ドイツは職人の国。木彫りなどの工芸品も数多く並び、ぜひお気に入りを一つゲットしたいところ。それぞれ表情が違うのも手作りの良さですね。
Düsseldorf(デュッセルドルフ)
ドイツの西部に位置するノルトライン=ヴェストファーレン州の州都「デュッセルドルフ」。
街のショッピングエリアに点在するおしゃれなマーケットが特徴です。写真は「Märchen-Markt(メルヘン・マーケット)」と呼ばれる、屋台の白いとんがり屋根が可愛らしいエリア。
別のエリアではおもちゃ箱のような雰囲気。毎年登場する巨大な観覧車は移動式というから驚き。準備期間になると少しずつ組み立てられていく様子を見ることができます。
クリスマスマーケットではずせないのが「ホットワイン&マグカップ」 。
代金はマグカップ代込みなので、カップを最後に返却することで数ユーロ返却があるデポジットシステムが一般的。返却せずに持ち帰ったり、カップのみを購入することもできるので、毎年コレクションが楽しみな方も多いですよ。
昼夜でガラリと雰囲気が変わるのも醍醐味。マグカップで飲む「Glühwein(グリューワイン)」と呼ばれるホットワインは、赤ワインにシナモンなどのスパイス、フルーツなどを入れたもの。フルーティな香りが立ちほんのり甘くカラダが温まりまるので、寒い夜にぴったりです。
主な開催期間は12月25日まで。1ヶ月は長く感じますが、ドイツでは2,500以上のマーケットがあり意外とあっという間に過ぎてしまいます。どこに行こうか? と計画を立てるのも人々の楽しみのひとつとなっています。
マーケットグルメ
おいしそうな香りに誘われ多くの人が訪れます。数ある中から、お気に入りを厳選してご紹介。
■Reibekuchen(ライべクーヘン)
ジャガイモを細くすりおろし、たまねぎ、卵と小麦粉、塩コショウで平たく揚げ焼きに。リンゴソースをかけて。
■Frittierte blumenkohl(ブルーメンコール)
カリフラワーのフリットでほくほく感がたまりません!酸味のあるクリームソースと一緒に。
■Heiße Maronen(焼き栗)
この時期になると出る焼き栗は、ほくほくとして美味しいです。販売している方の制服も雰囲気が出ていて非日常感がありますね。
■Brezel(ブレッツェル)
言わずと知れた国民食。ドイツにはプレーンから総菜系(チーズやハム)など様々なものが存在しています。ひとつで満腹に!
■Muzen(ムッツェン)
NRW州(ノルトライン・ヴェストファーレン州)のお菓子。ドーナツやサーターアンダギーのような食感です。揚げたてにシナモンや砂糖をかけていただきます。
■Schoko-Obst(チョコがけフルーツ)
バナナやいちごは定番ですが、その他にもぶどうや梨など、どうやって食べるの!? というようなサイズのものも。丸ごとチョコがけした様々なラインナップが人気です。
■Bratwurst(ブラットブルスト)
ドイツの屋台グルメでは定番の焼きソーセージ。ホットドックとは異なり、バリっとしたフランスパン生地のパンに挟んでアツアツをいただくのが絶品!
■Backfisch(バックフィッシュ)
ふわふわ白身魚のフリットにタルタルソースがかかったもの。肉料理がメインのドイツでは珍しい魚料理です。
■Champignonpfanne(シャンピニオンプファンネ)
「プファンネ」はフライパンという意味。マッシュルーム、たまねぎ、にんにくをじっくり炒める料理。マッシュルームのうまみにぴったりの酸味のあるクリームが抜群に美味! 最後にソースをつけて食べるトーストも絶品です。
■Eierpunsch(アイヤープンシュ)
アルコールと卵黄、砂糖からつくられたリキュールをベースにした甘いお酒。たまご酒のようなカスタードのような味わい。生クリームが乗りデザートのよう。
■Glühwein Bier(グリュービール)
珍しい温かいビール。たくさんのスパイスが入っていてクリスマスならではの飲み物です。
■Churros(チュロス)
チョコやリンゴジャムなどトッピングを選ぶと、ディップタイプで提供されます。食べられるカップなのも、エコ意識が高いドイツならではですね!
■Crepes(クレープ)
チョコレートやシナモンが人気です。日本のクレープと比べると平たくシンプル。大人も子供も大好きな人気スイーツです。
大切な人との時間を楽しみましょう
本場ドイツのクリスマスマーケットの様子はいかがでしたか? 今回ご紹介した以外にも有名なマーケットは数多くありますので、ぜひ訪れてみてくださいね。
日本でもドイツでも、一年で最も煌めくこの季節を堪能して、どうぞステキな冬をお過ごしください!
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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