2023.08.01
フェアトレードなアイテムで世界旅行!素敵でいいものの宝庫・Pamojah
Pamojah(パモジャ)
大阪の中心地、心斎橋の外れに建つフェアトレードショップ・Pamojah(パモジャ)。一見、何屋さんかわかりにくいかもしれませんが、えいっとドアを開けてみてください。そこには異国感溢れる可愛い空間が広がっています!
今回はPamojahのオーナーであり、ラジオのDJ・パーソナリティーとしても活躍する大塚由美さんにお話をうかがいます。
世界から届くフェアトレード商品
スワヒリ語で「共に」「一緒に」という意味合いのPamojahは、今年4月に6周年を迎えました。「フェアトレード」をもっと多くの人の暮らしに取り入れて欲しい、という想いで生まれたフェアトレードショップです。
フェアトレードという言葉、その意味を知っていますか?
日本では、途上国で生産されるフルーツや食料品、コットンなどの衣類が安価で購入できます。生産国では、その安さゆえ生産者へ正当な対価が支払われない、過剰な農薬が使用され環境への負担が増し、健康被害が出るといったいくつもの課題が…。
そこで、生産者と適正な価格で継続的に取引し、その悪循環を改善することを目指す仕組みが「フェアトレード」なのです。生産者の暮らしが安定することで、より品質のいいものを作ることが可能になり、結果、消費者も笑顔になり、自然環境の改善にもつながるという考え方です。
【参考サイト】フェアトレードジャパン
Pamojahの世界観に心ときめく
お店に入ってすぐ目に留まるのが、「ホーリーバジルのリース」や可愛い松ぼっくりをつけた「松のリース」など、存在感たっぷりの野草リースたち!
これはPamojahが3年前に、現在の場所へ移転した際のテーマ「one with nature」に由来した装飾です。「環境や人に配慮したフェアトレードは、無農薬であることが多いのですが、野草はそれどころか無肥料、無手入れ! その逞しいパワーを受け取って欲しくて」と由美さん。
同じ空間には、紛争や貧困のイメージが強いアフリカやアジアなどで、想いを込めて丁寧に手作りされた製品や、豊かな土壌で手間暇かけて栽培された食料品などが並びます。
ほとんどがフェアトレードであるのはもちろん、商品ひとつひとつにストーリーがあること、そしてオーナーである由美さんの「好き」という想いに引き寄せられて、遠路はるばるここまでたどり着いたという共通点が。
また店の奥にあるカウンターでは、野草茶やモリンガティー、フェアトレードコーヒーなど店頭で購入できるドリンクをはじめ、フェアトレードワインや生ビールもあり、アフガニスタンのナッツやドライフルーツをあてにして飲むこともできますよ。
Pamojahの生い立ち
学生時代にはモロッコでワーキングボランティアを、20代後半にアジア~アフリカ~中東をバックパックで旅していたという由美さんは、その道中、いつも現地の人たちの優しさにたくさん助けられてきたといいます。
「親切にしてくれた人たちに恩返しがしたい、という思いが原動力。離れていても彼らと長くつながる方法はないか、と模索するなかでたどり着いたのがフェアトレードだった」と話します。
今、こうしてPamojahを運営して「彼らの国で作られたものを日々扱い、商品とそれらの物語を訪れる人に伝えることで、当時に想いを馳せることができます。彼らに気持ちを寄せるということが大切だと思う」と語ってくれました。
可愛いから、素敵だから
「フェアトレードには、まだまだ“チャリティー”というイメージがあるかも」と由美さん。
「でも、それでは続かないですよね。純粋に可愛いから、使いたいからと喜びから購入してもらいたい。フェアトレードだから見た目がいびつでいいというわけではなく、今後はフェアトレード製品の質を上げつつ、値段を下げることも大事になると思う」。
だからこそPamojahでは、由美さんが本当に素敵だと思う、作っている人が好き、という商品のみが置かれています。
由美さんいわく、「大切なのは、意識的に消費すること」。
「例えばオーガニックコットンの服に触れて着心地のよさに感動、今まで着ていたものとの違いを知り、コットン業界の裏側を知ることになる。その上で、そんな風に作られた服を着続けるかどうか、そこに私たちの選択が問われています」。
自分を幸せにするものを選ぶ基準にする、このシンプルさに立ち返りたいですね。
誰がどういう想いで作っているか
もうひとつ、由美さんが重要視しているのが「誰がどういう想いで作っているか」です。
「極論ですが、『無農薬と謳う誰か知らない人』より『慣行農業を行う知人』から買いたい。私にとってはそのくらい大切なこと」。この言葉に、彼女の想いが集約されている気がします。食べ物でも着る物でも、作り手を知っているということはそれだけで圧倒的な安心感、そして信頼につながるのです。
今回は、特におすすめのフェアトレード商品も3つ、ピックアップしてもらいました。
おすすめ① KURATA PEPPER
カンボジアのペッパー生産には700年もの歴史があり、その品質、味は世界一だと言われていました。このペッパーは度重なる紛争のためほぼ絶滅し、たった3本の苗を残す幻となっていました。
それを知った日本人の倉田さんが、伝統的な自然農法で復活させたのです。今では約6ヘクタールの畑に拡大し、現地の人々によって栽培、丁寧に手摘みされています。
(右)作り手が見える温かさ ※画像提供:Pamojah
「KURATA PEPPER(クラタペッパー)は料理全般に使うのはもちろん、ビールにサッと振りかけたり、チーズにかけたりすると美味しい、とにかくこんなペッパー食べたことがない!」と由美さんを唸らせるクラタペッパー。Pamojahの一押しです。
倉田さんは何度も来店し、由美さんとの交流もあるといいます。由美さんの話し方から、倉田さんへの並々ならぬ敬意、そして彼の作る奇跡のペッパーへの愛情がうかがえました。
かつて世界一美味しいと言われたカンボジアのクラタペッパー(胡椒)。フルーティーな風味が特徴のペッパーで、「黒」と「完熟」の2種類が店頭に並びます。
万能なブラックペッパーに加えて、一房に1,2粒しかできない赤く完熟した実だけを 集め乾燥させた胡椒の最高級品の「ライプペッパー(完熟黒胡椒)」。数量限定の希少なもので、奥深い辛味と独特の甘さのあるふくよかな風味が口中に広がります。
おすすめ② キルギス産天然ホワイトハニー
生産者を知る人より直接仕入れ、独自のパッケージに詰められたPamojahオリジナル、看板商品のひとつです。キルギスの中でも特に空気の澄んだ標高2200mの高原に咲くエスパルセットの花から採蜜した、白くとろりとした100%天然の非加熱はちみつです。
試食させてもらうとなめらかな舌触りと、そのまろやかで濃厚な甘さにうっとり。栄養価が高いと、昔から愛されているエスパルセットの蜜。そのため「毎日スプーン一杯の習慣にすることで免疫機能がアップし、もちろん喉にもいいですよ」とDJとしても活躍する由美さん。
おすすめ③ アフガニスタン産あんず
「こんな大きなあんず、見たことない!」と驚きを隠せないこちらは、アフガニスタンで栽培されたもの。「紛争のイメージが強いけれど、実はアフガニスタンは自然豊かで美味しいフルーツの採れる国」だと、由美さんが教えてくれました。
アフガニスタンの中部地方のみで、伝統農法で栽培されています。農薬不使用、砂糖・オイル不使用であるのはもちろん、硫黄処理や漂白処理をせずに乾燥した希少なあんずなのです。
口に入れるとジューシーな甘味と芳醇な味わいで、まるで摘みたてのあんずを食べているかのよう! フルーティーな香りが口いっぱいに広がる至福の体験をぜひ。
7年目の想い
今年で7年目となるPamojah。「引き続きショップとしてはもちろん、今後はフェアトレーダーを紹介する場所、アンテナショップとしての役割も果たしていけたら」と由美さん。また元々の仕事であるDJやパーソナリティーという発信者という立場からも、フェアトレードと絡めてなにかできれば、と話してくれました。
一つひとつの説明を聞きながら、商品とその背景を知ることで世界を旅しているような気分に。タイミングがよければ、店内の奥のカウンターで気になる一杯を飲みながら、由美さんのお話が聞けるかもしれませんよ!
旅するように暮らす自然派ライター/オーガニック料理ソムリエ。
4年に渡る世界一周後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。コーヒー好きが高じてオーストラリアではバリスタ業の経験も。今は繊細でフルーティーな浅煎りコーヒーに夢中です。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを主に執筆。現在は自然に沿った生き方、ほどほど丁寧な暮らしを自ら実践しながら発信中。地球にも体にも優しい生き方のヒントをお届けしていきます。
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