名湯・美食・文化…島根の魅力をすべて堪能できる癒やしの宿「界 玉造」
島根というと、縁結びで有名な出雲大社のイメージが強いかと思いますが、それだけではありません。実は、“湯・食・文化”と三拍子そろった見どころ満載の観光地で、私もすっかり虜になってしまいました。
今回は、そんな島根旅の拠点としておすすめしたい、星野リゾートが展開する温泉旅館「界 玉造」の魅力を、たっぷりご紹介していきます。
日本最古の美肌の湯・玉造温泉に佇む温泉旅館「界 玉造」
島根県・松江市の歴史ある玉造温泉の地にひっそりと佇む「界 玉造」は、2022年11月にリニューアルオープンしました。コンセプトは、“いにしえの湯と出雲文化を遊ぶ宿”。名湯として名高い温泉を全室露天風呂付きの客室で堪能できるほか、日本海の豊かな海の幸、日本酒や茶の湯、伝統芸能の石見神楽など、たっぷりと出雲の文化に触れることができます。
梅雨時期や雨の日も楽しくなるおもてなし
楽しみにしていた旅先で雨に降られると、がっかりしてしまうことも…。でも、島根県に降る雨は“縁雫(えにしずく)”と呼ばれ、心をリセットして良縁を運ぶ雨といわれているそうです。「界 玉造」では、雨が続く梅雨シーズン(2023年6月1日から7月10日まで)には、“縁雫巡り”と称して、雨が楽しくなるような設えやアクティビティをご用意。
館内には、色とりどりの和傘で彩られたスポットが設けられているほか、和傘で製作された “ヤマタノオロチ”も展示。直径2m、高さ1.5mにも及ぶ見応えのあるオブジェは必見です!
雨の日限定で楽しめる「雨音みくじ」は、水で濡らすことによって文字が浮かび上がるオリジナルのおみくじ。引いたおみくじは、設置されている和傘に結ぶことで、玉造温泉街にある玉作湯神社へ奉納されるそうです。憂鬱な雨の日も楽しく過ごせるおもてなしに、心も笑顔になれそうですね。
美肌の湯と源泉&日本酒のフェイスマスクも!
1300年前の『出雲国風土記』にも登場する玉造温泉は、奈良時代から美肌の湯として知られていました。内風呂の真ん中にあるお社(やしろ)からは、まろやかな泉質の湯が滔々と流れ、神聖さが漂います。緑と青空をより身近に感じられる岩組みの露天風呂もぜひ。
大浴場では、天然の化粧水である温泉でできるローションパックをお見逃しなく! 源泉をためたコーナーには、マスクと容器が用意されているので、セルフで簡単にお試しすることができます。ここの湯は保湿力がとくに優れている泉質とのことで、湯上がり後は慌てて化粧水をつけなくても、もっちもちの美肌に♡
大浴場に入る手前に設置されている「美酒処(びざけどころ)」も、要チェック! 地元の「米田酒造」が特別に手がけた日本酒パック用の日本酒は、美肌効果が期待できるアミノ酸やこうじ酸が豊富に含まれているとか。源泉と半分ずつでローションパックに浸して使うのがおすすめです。
全室露天風呂付きの客室で、湯浴み三昧!
全24室の客室はすべて、地域ならではの設えにこだわったご当地部屋「玉湯の間」。島根で長年育まれてきた伝統技術が、作家によって現代のスタイルに再構築され、インテリアとして楽しむことができます。
たとえば、ベッドライナーとべッドボードに飾られている藍染アートは、天野紺屋さんの作品。宍道湖の雲の隙間から差す太陽光を表した“天使の梯子”を表現しています。
お部屋には、檜または信楽焼の露天風呂が備え付けられており、玉造の美肌の湯を存分に楽しむことができます。24時間いつでも入れるので、好きなだけゆったり浸かれるのも贅沢。日本酒風呂専用の日本酒を入れれば、さらに美肌効果が高まりそう!
夕食「特別会席」で、高級魚“のどぐろ”と大粒の“やまとしじみ”を堪能!
旅の醍醐味といえば“食”。夕食は、島根の豊かな自然が育んだ素材をふんだんに使った、目にも麗しい会席料理です。
先付けは、“白身のトロ”と呼ばれる、脂ノリ抜群の「のどぐろの炙り」。口の中でとろけるような食感と脂の甘さが、生ハムを忍ばせた柚子の風味が爽やかな大根おろしと調和して悶絶モノ!
煮物椀「うなぎと山芋の博多」のあとに、「宝楽盛り」が登場。神棚をイメージしたプレゼンテーションには、八寸やお造りが華やかに盛り付けられており、思わず歓声が! 一品一品感動する美味しさでした。
「のどぐろの塩焼き」、「宝きび餅」を堪能したあとは、いよいよメインの「しじみ牛しゃぶ」が登場! 新鮮な野菜と牛肉を、しじみの旨みが凝縮された出汁でいただきます。ちなみにこのかっこいい土鍋は、島根の石州瓦をイメージして職人さんに製作してもらったオリジナルの鍋だそう。
まず、見たこともない大粒の“やまとしじみ”で出汁を取り、いったん鍋から取り出していただきます。ふっくら、ぷりっとしたしじみは、食べたことのない美味で、お箸が進みます。
このしじみの出汁が凝縮したスープに、さっと牛肉をくぐらせていただけば、至福の味♡ シメは旨みたっぷりスープで作る雑炊です。お腹ははちきれんばかりなのに、ついつい食べ過ぎてしまうお味でした。
甘味の「酒粕のデザート」は、初めて食す驚きの味わい。ラズベリーソースを忍ばせたチーズケーキ風のムースと酒粕のソースが絶妙な相性で、あっという間に完食してしまいました。
伝統のおもてなし料理で、健やかな朝を迎えて
地域の食材や調理法を取り入れたご当地朝食は、郷土料理「うず煮」が主役の和食膳。「うず煮」は、旧暦元旦に出雲大社の「福神祭」で祭りに関わる人たちにふるまわれる、ふぐを使ったおもてなし料理のこと。とろみがある淡い出汁をご飯にかけて、お好みで薬味を入れていただきます。
茶の湯体験で、出雲に息づくおもてなしの心を学ぶ
さてここからは「界 玉造」でしか楽しめない、魅力満載のアクティビティをご紹介いたします。まずは、日本庭園に面した茶室で、抹茶と和菓子を楽しむ「茶の湯体験」(無料)から。
「界 玉造」のある松江市は、“茶人大名”と呼ばれた、松平不昧公のお膝元です。江戸時代に茶の湯文化が栄えた場所で、現在も、京都、金沢と並んで三大茶処のひとつとして知られています。ちなみに、茶の湯文化の発展とともにお菓子文化も栄え、日本三大和菓子所としても名を馳せています。
お点前を披露してくれるのは、三斎流の亭主です。和やかな雰囲気の中、先生がやさしく指導してくださるので、作法を知らなくても緊張する必要はありません。
先生による出雲の歴史の話に耳を傾けながら、季節の和菓子や抹茶をいただくひとときは、伝統文化である茶道を気軽に体験できます。
日本酒好きは必見!島根の地酒を味わう「日本酒BAR」
実は島根県は、日本酒発祥の地といわれており、たくさんの酒蔵があります。島根の地酒に魅せられた「界 玉造」のスタッフが県内の酒蔵を巡り、選りすぐりの地酒を集めたのがこちらの「日本酒BAR」です。
各酒蔵の歴史やこだわりを学んだり、テイスティングすることも可能。メニューは、単品やおつまみがついた3種の飲み比べセットが用意されています。どれにするか迷ったら、日本酒に詳しいスタッフに相談を。
こちらは、地酒3種プラスおつまみ1品で1,000円と、かなりお得に楽しめる内容です。スタッフが組み合わせのおすすめを提案してくれているので、ネーミングで選ぶもよし、味の好みで選ぶもよし、自由に楽しんでみてください。ちなみに写真は、「神様セット」。きっとお気に入りの銘柄に出合えますよ。
大迫力の伝統芸能「石見神楽」で神話の世界へ
地域文化を体感できるサービス「ご当地楽」も見どころのひとつです。ここ「界 玉造」では、古来より島根県の石見地方に伝わる「石見神楽」を、なんとスタッフが披露してくれます。猛練習をしているというだけあって、最初から最後まで舞台に釘付け間違いなし!
演目は、日本酒発祥の出雲の地にちなみ、スサノオノミコトがヤマタノオロチをお酒で酔わせて退治した「大蛇(オロチ)」。豪華絢爛な衣装とお面をまとったスタッフが、軽快なお囃子に合わせ舞う姿がダイナミックです。
【番外編】器好き必見!バーナード・リーチも足繁く訪れた「湯町窯」へ
見どころ満載の島根ですが、実は陶器も有名。県内には数多くの窯元があり、器好きにはたまらない場所です。なかでも「界 玉造」から車で5分ほどの距離にある「湯町窯」は、黄釉やスリップウェアで有名な民藝器の窯元です。
湯町窯の代表作といえば、ほっこりと愛らしい形が特徴のこのエッグベーカーです。油なしでおいしく卵料理を作れる優れもので、蓋を開けるとふわっと卵の香りが立ち上ります。卵焼き以外にもいろんな料理が作れるので、ぜひお気に入りを見つけて。
美容ライター。早稲田大学卒業後、アパレル、出版社勤務を経てフリーに。女性誌やWEBで、美容をはじめ、健康、美食に関する記事、著名人へのインタビュー取材などを担当。好きなことは、スキンケアとファッションと旅行。猫が好き。
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