2023.07.04
<行列必至>ミラノで人気のベスト・テイラーメイドカクテルを味わう
NOTTINGHAM FOREST
ビールもウィスキーも食後酒も、そしてカクテルも人気があるものの、イタリアのお酒と聞いて連想されるのは、やはりワイン。今回は「世界のベストカクテルバー」に長年選ばれ続けているミラノの超有名店をご紹介します。
カクテル好きが世界から訪れるバー・NOTTINGHAM FOREST
予約を受け付けていないお店なので、19時半の開店時間より前に着き、オープンと同時に入店しました。
店名はブリティッシュですが、店内はロンドンでもイタリアでもニューヨークでもなく、暗い照明の中に中世の鎧やアフリカ、アジアの装飾で埋め尽くされた、それでいて統一感がある異空間です。
世界の観光客が押し寄せるだけあって敷居の高さは感じさせず、イタリアらしいフレンドリーなホスピタリティで一見さんもウェルカムな雰囲気。ここでは、常連客も観光客もセレブもスタッフの友達や家族でさえも、全て同じ扱い。予約できない上に常に満席なので、誰もが平等に外で並んで待たなければなりません。
実は随所にオーナーのこだわりがあります。
マティーニカクテルを生んだニューヨークのKNICKERBOCKER HOTELのバーカウンターを運んできたり、ブリティッシュな店名は、イギリスではなくラムが名産のアンティグア・バーブーダというカリブ海の国のお店に由来していたり。
同じものがないテーブル席もこだわり抜いていて、カクテルを片手に独特の世界観に浸れそうです。
「バーシェフ」が作り出す化学でアートなカクテル
バーシェフのダリオさんは、カウンターの定位置で楽しそうにカクテルを作っています。バーシェフとは、伝統的なカクテルやその製法をベースに、新しい技法や斬新なツールを加えてゲストの希望を聞きながらオリジナルカクテルを作り出していく、いわばアーティストです。
ダリオさんは戦前からある父親がオープンしたクラシックなバーを継ぎ、伝統を踏襲しながらもオリジナルな要素を加えていき、NOTTINGHAM FORESTを革命的なカクテルバーとして世界的な有名店にしました。
ダリオさんはMOLECULAR MIXOLOGIST(分子ミクスチャー)のパイオニアで、氷・液体・気体の様々な分子構造の材料をブレンドします。五感で楽しめるカクテルを次から次へと作り出す姿は、アーティストやマジシャンを通り越して、化学者の領域です。
例えばフィレンツェ生まれの人気カクテル、ネグローニを、ダリオさんはジンにゼリー状のベルモット、カンパリのムースで作る、という感じです。
世界中のラムやウィスキー、リキュールを使った500種類以上のカクテルが、オリジナルでユニークな容器に入ってサーブされます。
まるで聖書、と言われるメニューには、代表的なカクテルのストーリーやディテールがぎっしり。暗い店内では読むのに一苦労どころではなかったということもあり、自分の好みをウェイターさんに伝えて、ダリオさんにお任せすることにしました。
「バーシェフ」が創造するサイエンス・アートなカクテル
まずこちらは、ドライアイス入りのウォッカににクランベリー、ライム、ジンジャーを注ぐ「サイボーグ」と名付けられたカクテルです。グラスに入ったライトがカクテルを浮かび上がらせます。
急須に入ったシャンパンと緑茶ベースのカクテルは、ストローの配置にも注目。フルーツジュースで爽やかで飲みやすく仕上げてもらいました。
茶こしの中にはフレッシュフルーツがたっぷり入っていて、日本人としては、急須の使い方のすべてが目からウロコでした。
キューカンバーリキュールとベルガモット、ウォッカが入ったこちらは、ターコイズグリーンの夏らしいカクテル。各14ユーロ(約2000円・税込)と、ロンドンやニューヨークの同様のカクテルバーと比べると考えられないくらい良心的な価格設定です。
おつまみはサラミやチーズが充実しています。スペックやトナカイ、イノシシのサラミに、数種類のパンが添えられてきます。
いつでもどこでも、コミュニケーションが大事なイタリア。こちらのバーでもそれはかわらず、オーダーの時に希望を伝えれば、きっと意外なマイ・ベストカクテルに出会えるはずです。
映像ディレクターなどを経験し、ヨーロッパなどを旅した後に、NYに留学。そこで出会ったイタリア人の旦那さんとの結婚を機にミラノに。現在は育児の傍ら、通訳や日本食ケータリングのお仕事もしています。人との距離感やテンション、センスなどミラノの全てが大好き! 記事では街やそこに住む人々の魅力も伝えていきたいです。様々な形で日本とイタリアの橋渡しができればと思っています!
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