2023.04.06
台湾通がオススメ!いま行きたい話題の漢方茶館「仙島 SENTO」
仙島 SENTO
台湾の人たちにとって、当たり前のように生活の一部となっている「東洋医学」。台湾では漢方薬局が軒を連ね、薬膳料理や漢方を体調管理に上手に取り入れるなど、とても身近な存在です。
今回は、台湾通のライターが3年越しに台湾へ! 今話題の漢方を使った”オシャレ茶館”をご紹介します。
幻の島がモチーフの“仙島”へようこそ
台湾・台北駅からMRT(地下鉄)で約15分。MRT・民権西路駅から徒歩10分ほどの場所に、「仙島 SENTO」はあります。こちらでは、カラダが喜ぶ漢方を使用したドリンクやスイーツが楽しめ、“甘いものが大好きだけどヘルシーでいたい!”という欲張りな乙女心を満たしてくれます。
ホームページからの予約サイトでは日本語ページがあるので簡単、安心。人気店のため予約することをお忘れなく!
仙島は、2022年8月にオープン。漢方の基礎となる考え方「陰陽五行」を取り入れた“一服”を提供する茶屋がコンセプト。一歩店内に入ると、まるで異世界に足を踏み入れたような空間に時間が経つのを忘れます。
木漏れ日の中にいるような照明と、黒とベージュを基調にしたデザイン。
台湾の人気空間デザイン会社「好氏研究室」が担当し、オリエンタルな雰囲気が漂います。内装に使用されているのは、台湾でよくみられるイグサ。香りが心地よく穏やかな気分に。
漢方薬局のイメージや、盆栽が飾られるなど日本の茶道の趣も取り入れているのだとか。スタイリッシュでありながら古典的な雰囲気も。五感が研ぎ澄まされる、静謐で没入感のある空間です。
「仙島」という店名は、自然豊かな台湾のはじまりとして語り継がれる民話に登場する、仙人が暮らす極東の海に浮かぶ伝説の島「蓬萊仙島」から名付けられたのだとか。また、「SENTO」と日本語読みの英語名もつけられています。
流暢な日本語で対応してくれたのは、台湾人の余碩(ヨ セキ)さん。スタッフの方は皆さんとても親切で、1つひとつ丁寧に説明してくれます。日本からの来客も多いのだとか。店舗の公式では”日本語の対応はなし”でしたが、もし余さんに出会えたらラッキーですね。
こちらの大きな特徴は、
●「東洋の神々の果実」と呼ばれる「羅漢果(ラカンカ)」から抽出された天然の代用糖をドリンクに使用していること。ラカンカは砂糖の300倍の甘さがある天然の甘味料。抗酸化作用や抗炎症作用などの優れた栄養も含まれ、なんと“ゼロカロリー”“ゼロカーボ”で、体に負担がかからないというスーパーフード! 通常のサトウキビに代用することで罪悪感ゼロで楽しめるようになりました。
●様々な体質の方のために、ミルクの豊富な代替品があること。「牛乳」に加え、「豆乳」「植物性ミルク」の2種類が選択可能(今後、マカダミア豆ミルク、ピスタチオミルクを追加予定)。ベジタリアン、高脂血症、乳製品アレルギーなど乳糖不耐症の方にも、全てのメニューを楽しんで欲しいという想いからだとか。「もう、飲み物に悩んだり、妥協したりする必要はありません」というメッセージは多様性について考えるきっかけになりました。
漢方ドリンクで内側から美しく健康に
メニューは大きく「漢方ミルクティー(茶奶)」、「燕の巣入りティー(茶仙)」、「ブラックティー(茶淸)」の3カテゴリに分かれており、全12種のドリンクとフードメニューが揃います。
ドリンクには、ハスの実・霊芝・桃膠・陳皮など様々な漢方を使用。HOT/ICEは予め指定されており変更できないのでご注意を。タピオカをトッピングしたい場合は追加料金で楽しめるので、ぜひ本場の味もご堪能くださいね!
その他数種類のオリジナルスイーツも楽しめます。
注文して待っている間に、フリードリンクのサービス。台湾と言えば、お茶。水出しでも薫り高く、高いクオリティのお茶が無料でいただけるのは、日本ではあまり体験できませんね。
コンセプトの仙島の山々をイメージしたデザインのグラスにも、細部までこだわりを感じます。
「どうぞ」と出されて思わず食べそうになってしまった(笑)こちらは、お茶のおしぼり。広げるとふんわりお茶の良い香り。
眞山煙嵐/山茶(靑茶=青茶、芭樂=グァバ、野生木香=野生モッコウ、羅漢果糖=ラカンカ糖) 240NTD(冷)
フォトジェニックなドリンクで人気の一品。阿里山青茶にグァバエキスと生薬の「野生木香」を加えたもので、爽やかな風味が特徴です。
中国語の説明文には「山の夏の風景が茶席の上にあり、青茶の山の風味が野生の樹木の森の雰囲気によって補われ、グアバの独特のフルーティーな香りとかすんだ靄が青い空を染めています」とドリンクをイメージした情景が。世界観にもうっとり。
カラフルなタピオカは、クチナシの花や紅麹、人参などの天然色素が使用されています。ぷるんとした小さな輝き宝石のよう。
タピオカは、お茶を飲みながら少しずつ一緒に味わうのが仙島流。ほんのり優しいタピオカの甘さで爽やかなお茶のまた違った雰囲気が楽しめます。もちろん、入れて楽しむのもオススメですよ。
茶清(ちゃせい=ブラックティー) 熟泡煙雨蜜香 250NTD(熱)
仙島では、シンプルなシングルサーブティーも外せません。自然農法で育った茶葉を使用した、阿里山の最高級品。鼻から抜ける幽玄な香りが漂い、口に含むとふんわり広がる味わいが余韻を残します。
お口直しには、ドライフルーツ(トマト・ピーナッツ・くるみ)もセット。差し湯もお願いできるので、心ゆくまで堪能できます。
●仙家漢方煉茶奶—新(漢方ミルクティー)
金丹仙經/鍛茶(錫蘭紅茶=セイロン紅茶、牛蒡=ゴボウ、浦公英=タンポポ、香料蜂蜜=スパイスハチミツ、鮮奶=フレッシュミルク、羅漢果糖=ラカンカ糖) 250NTD(熱)
複雑なスパイスの香りが印象的な漢方ミルクティー。可愛らしいヤカンで提供され、火をつけて温かいまま楽しめます。
ゴボウを砕き、紅茶茶葉の底へ敷き、タンポポも加えられ、ゆっくり煮詰めます。良い香りと、飲むごとにポカポカと心温まるミルクティーです。
台湾の漢方習慣をお持ち帰り
店内の奥には、グッズコーナーも充実。お灸やくすり湯(薬草風呂)、漢方を使ったのど飴など豊富な種類が並びます。
パッケージも独創的でお土産にもピッタリ。日本でも、台湾の漢方を取り入れた生活を楽しめるだけでなく、幻想的な雰囲気をいつでも思い出すことができそうです。
仙島では、サトウキビのストローを使ったり、リサイクルに力を入れるなど、環境の持続可能と台湾の保全にも取り組んでいます。
自然豊かな台湾という故郷を尊び愛する気持ちが溢れる空間で、全ての人に身体が喜ぶものを心から楽しんで欲しいという想いが伝わるひとときでした。
誰もが我慢せずにおいしく美を手に入れられる漢方ドリンク。ぜひ一度味わってみては。
【仙島 SENTO】
◆クレジットカード不可
◆飲食時間90分、ミニマムオーダ180元/人、サービス料はありません
◆氷や砂糖の量は調整できません
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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