2022.03.22
量り売りスーパー「斗々屋(ととや)」。京都で楽しむゼロ・ウェイストな買い物
斗々屋(ととや)
「ゼロ・ウェイスト」という言葉を知っていますか。
ごみを出さない社会を目指すために、私たちができることをそれぞれ取り入れた暮らしや考え方のことです。
今回は京都御所の近くにある、ゼロ・ウェイストを全面的に取り入れた量り売りスーパー「斗々屋 (ととや)京都本店」を訪ねてきました。
ゼロ・ウェイストな買い物って?
私たちの暮らしは「いずれごみになるもの」で溢れています。
買い物する際、野菜はプラスチックで個別包装されていたり、自動的に紙のレシートが手渡されたり。日本でもマイバッグの持参が根付いてきましたが、ゼロ・ウェイストの視点で見るとまだまだできることがありそうですね。
ごみになるものをなるべく家に入れない、買ったものは長く愛用する/使い切るなど…。無駄なもののない、循環するサイクルを意識した買い物、暮らし方がサスティナブル(持続可能)であり、ゼロ・ウェイストなのです。
「地球1個分」の買い物を提案する斗々屋
2021年、京都御所の東側、河原町通沿いにオープンした量り売りスーパー・斗々屋。
日々の買い物を通して「地球1個分の暮らし」の概念を根付かせ、サステナブルな未来のための消費や生活のあり方を広げることをミッションに掲げています。
商品数はなんと約700品! それだけ揃えばいつもの買い物とほぼ同じ内容を、ゼロ・ウェイストなスタイルで購入できますね。
さらにこちらでは最先端のテクノロジーの利便性も柔軟に取り入れています。昔ながらのお店とお客さんの交流を保ちつつ、ごみを出さない工夫と、新システムを導入してより便利で快適にできる買い物のスタイルを提案しています。
また同店はコーヒーかす回収も行い、業者さんを通して京都の農園などに堆肥として提供。家で飲んだコーヒーの残りかすも無駄にならない仕組みです。
地元を応援する品揃え
店内に並ぶのは「オーガニック」「フェアトレード」「ゼロ・ウェイスト」を基準に選ばれた商品ばかり。関西を中心に生産者さんの顔が見える食材が、その栽培への思いと共に紹介されているので、つい読み込んでしまいます。
入ってすぐ、新鮮な季節の野菜や果物が迎えてくれ、奥に進むと利尻こんぶ、煮干しなどのダシの具から味噌、豆腐、梅干し、ごまなど和食に欠かせない食材、米粉、うどん、パスタ、お米などの主食までずらり。さらにデリやスイーツ、調味料にワイン、粉せっけんや重曹など環境に優しい洗剤までがところ狭しと並び、まるで宝物探しみたいなワクワクを味わえます。
パッケージはありませんが、各商品には調理方法や使用方法が丁寧に書かれているので安心です。
最新システムで量り売り
最新システムを使った値段付けやお会計は、最初だけ少し戸惑ってしまうかも。でも斗々屋のスタッフは皆、フレンドリーで声を掛けやすく、とても丁寧に教えてくれるので心配は無用です。
導入されているのは、国内最先端の量り売り販売の機械システム。
このシステムのおかげで商品を取り出す時にモーションセンサーが反応し、近くの電子はかりに商品情報を伝達。食材の入った容器(はかり横にあるものも使用可)を電子はかりに乗せると、直前に感知した商品名がスクリーンに表示される仕組みになっているのです。
いくつかの候補から自分の購入する商品を選べばバーコードが出てくるので、それを商品の容器に貼るだけ。
サスティナブルな取り組み
斗々屋を訪れる前に、用意しておきたいのはいくつかのマイアイテム。
なぜならこちらでは使い捨ての包装や袋は一切用意されていないから。シリコンバッグやガラスボトル、布巾着などを用意しておくと便利です。
手ぶらで来ることになった際でも、次回に持参すると預かり金が返金される預かり金方式のリターナブル容器や、バッグやスタッシャーなどの購入も可能。
メニューのないレストラン
斗々屋ではフードロス対策、ゼロ・ウェイストを可能にするための工夫が凝らされています。
店頭で鮮度が落ちる直前の食材はデリにして販売、それらはイートインスペースでも食べられます。夜にはレストランと化し、デリをつまみながらワイングラスを傾ける楽しみも。
それでも使い切れない場合は、真空の瓶詰めにして保存食に。加工をすれば、常温で1年でも2年でも保存がきくそうです。
イートインスペース利用はワンドリンク制なので、今回はハーブティーを注文。
いただいたのは定番人気の日替わりの卵焼き、お稲荷さん、ポテトグラタン、きのこのマリネ、大豆ミートと大豆の黒酢あんの5品。
マリネに使われているひらたけはコーヒーかすを堆肥化した土壌で育てられたもの、黒酢あんかけは二条のミシュランのビブグルマンに掲載された「大鳳(たいほう)」のヴィーガン対応レシピなので、味は保証済み。
どの料理もそれぞれの物語があり、興味深くいただきます。
手間の先にある楽しみ
斗々屋での買い物を体験してみて、毎回「何グラム必要ですか」と聞かれることで、「自分に必要な量」を意識するきっかけになりました。
無駄をなくす、そのためには自分に必要な量を知ることからなのだ、と再認識したのです。
量り売りスタイル、少し手間に感じてしまうかもしれませんが、一度覚えてしまえば後はラク。家に持ち帰っても包装のごみが出ないし、ストレスフリーに近づきます。
自分の暮らしに必要なものや量を把握できるって、とてもミニマルで心地がいいものかもしれません。
旅するように暮らす自然派ライター/オーガニック料理ソムリエ。
4年に渡る世界一周後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。コーヒー好きが高じてオーストラリアではバリスタ業の経験も。今は繊細でフルーティーな浅煎りコーヒーに夢中です。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを主に執筆。現在は自然に沿った生き方、ほどほど丁寧な暮らしを自ら実践しながら発信中。地球にも体にも優しい生き方のヒントをお届けしていきます。
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