南禅寺界隈に佇む「ふふ 京都」開業。京を五感で楽しむ滞在 | キレイノート

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LIFESTYLE

2021.10.20

南禅寺界隈に佇む「ふふ 京都」開業。京を五感で楽しむ滞在

ふふ京都

春は桜、初夏は青もみじ、秋の紅葉は言うまでもなく、四季折々の美しさを愛でることができる京都。国際観光文化都市にも指定され、コロナ禍にも関わらず、昨年から新規ホテルの開業ラッシュが続いています。
今回の京都旅で利用したのは、今年4月に開業したばかりの「ふふ 京都」。日本の“スモールラグジュアリーリゾート”として熱海、河口湖、奈良、日光に続く、5軒目のふふシリーズが京都の南禅寺近くに誕生しました。

「こぼれる光、文化のかほり、佳麗幽雅な京のリゾート」をコンセプトに、観光地の喧騒から離れた、南禅寺界隈別荘庭園群の一角に位置し、お隣には名勝「無鄰菴」、お向かいには琵琶湖疏水が心地よいせせらぎを響かせています。

地元の京野菜や京都の伝統を取り入れた食事、炭遊びが楽しめる夕食、京名物の白味噌を使用した庵都汁の朝食、体験プログラムには茶道、香道、お座敷遊び、座禅など、京文化にとことん触れる、新感覚のステイケーションがそこにありました。

名勝名庭・無鄰菴と同じ歴史を辿る、ふふ 京都の日本庭園

京都は、かつて平安京を中心に、四方の方角を司る神が宿る「四神相応(しじんそうおう)」の地として造られ、古来より風水において好適地とされています。実はふふ 京都でもそれを見てとることができます。京都加茂七石を各方位のカラーに合わせて据えていることで、京都の地に魅力を感じられる造りになっています。

南禅寺の住職が揮毫した表札が目印

まず最初に現れるのは、京都の邸宅で使用されていた葛石(かずらいし)の古材の門。南禅寺の住職が揮毫(きごう)した表札がお出迎えしてくれます。ゆるやかに曲がる真黒石が敷き詰められ、樹木がせり出す様は玄武の山景を表現しているとか。また、真・行・草の考え方にちなみ、奥に進むにつれ柔らかな表情をつくりだし、歩を進むにつれリゾート空間へと誘い出されます。

南禅寺界隈の別荘庭園群の多くは明治期に造られており、雄大な東山の自然景観と連続する自然を再現することによって別世界を演出しています。

隣接する無鄰菴が有する庭園も同時期に造られており、ふふ 京都の庭園と同様の歴史を感じることができます。例えば、 沢飛びの石、琵琶湖疏水を用いている点、琵琶湖と同じ池の形、四季の彩りを演出するサクラやモミジ、赤松などが秀逸なバランスで植栽されている点、周囲の名庭園の特色を色濃く有している点など、数々の共通点があることから同じ系統の庭師が手がけたと言われています。

この日は雨模様でしたが、シトシト降る雨も、池の水面に落ち重なり合う波紋も、庭園の緑が濡れる様子も美しく、艶やかさを纏っていました。
天気に左右されがちなビーチリゾートとは違い、雨天でも美しい景観を愛でながら過ごす良さが京都にはあることを再認識しました。

ひのき香る天然温泉付客室で包み込まれる至福のステイ

一番広い「ふふラグジュアリープレミアムスイート」は101.63㎡!

全40室の客室はどれも42㎡以上のゆとりある空間づくりで、施設内で一番広い「ふふラグジュアリープレミアムスイート」はエキストラベッドを設置すれば大人4名で泊まることもできます。

百人一首をモチーフにした部屋の名前

今回私が宿泊したのは、ふふラグジュアリーコーナースイート。客室には「憂山」「菜摘」「短夜」と言った百人一首をモチーフにした名前が付けられているのも印象的。

ふふラグジュアリーコーナースイート

桜と白檀が香り、艶やかな漆色やこぼれる光が美しい格子、四季を感じる生け花、京文化漂う職人の手仕事を感じさせる美しい小物や花器が部屋を彩ります。 

四季に応じて変わる生け花

庭園を流れる琵琶湖疏水を想起させる観世水の模様をデザインしたオリジナルの絨毯、手水鉢(ちょうずばち)の水音など、 客室に居ながらにしてこの地の物語を感じることができます。 

お風呂には、全室にひのき香る泉質やわらかな温泉を運んでいるため、京都では珍しく客室で天然温泉の湯浴みが楽しめます。
窓を開ければ微風がやさしく吹き込み、リビングの障子から漏れる淡い灯りが時折妖艶さを醸し出します。窓から差し込む光に照らされた湯面がキラキラと揺らぎ、天井に映し出されて美しく、癒やしの空間を演出します。

木瓜紋と格子をモチーフにしたふふ 京都のシンボルマーク

ふふ 京都オリジナルの今治タオルや、シンボルマークが刻印されたバスローブが濡れた身体をふわっとやさしく包み込み、この至福の瞬間を味わいたくて、滞在中何度も湯船に浸かってしまいました。

お風呂上がりには冷えた瓶ビールや緑茶を。冷蔵庫内のドリンクやお菓子もコンプリメンタリーのものがあるというホスピタリティもまた嬉しい。ふふではお馴染み、シモンズとカトープレジャー グループが共同開発したスリープレジャーのベッドに身を委ねれば、すっぽり包み込まれるように翌朝までぐっすり熟睡できます。

離れで“香りを聞く”、香道体験

木造平屋で造られた離れ「八重一重(やえひとえ)」では、華道、茶道、お座敷遊びなど、京都ならではの多種多様なプログラムが提供されます。今回は人生初の「香道」を体験することに。

①香の歴史を学ぶ。

1400年以上の歴史を誇る香道。飛鳥時代、仏教伝来とともに日本に香木が漂着したことに始まり、平安時代には薫物として発展し、女性が自分だけの香りを創ることで男性の家に足繁く通うときにあえて存在感を残したり、姿を見ずとも香りで識別する習慣があったとされています。

戦国時代になると、優美な香りを持つ「薫物」よりも、清爽な香りで鎮静効果のある「沈香」が好まれました。有力者による香木収集が進み、武士が自身の心を鎮め癒したり、気持ちを鼓舞するときに使用されました。特に徳川家康は香木収集に熱心だったそう。
このように、この後の聞香や調香を楽しむためにまずは講義を受けました。

②一つ一つの香りを楽しみながら聞香する。

聞香=「聞」とは中国語で“嗅ぐ”という意味ですが、日本語での「聞く」は理解しようとする、心を傾ける、奥深さを感じる、香りを聞き分けるという意味合いがあるそう。

創業300年以上の京都御所近くの香木店で調達したという、没薬(ミルラ)、乳香、龍脳、桂皮、安息香といった10種類以上の香木の小瓶がずらりと並び、香りの原料を嗅ぎ当てていきます。天然香料の中には、薬種として漢方に使われるものも多数あります。

中華料理で使われる香辛料や、鎮静効果のある薬剤など身近にある香りから、どこか懐かしさを感じるオリエンタルな香り、目が覚めるような珍しい香りまで、まるでワインを嗜むように香りを探しに行って自分の記憶と結びつけていくのが楽しく感じられました。

③自分の好みの香りを調香する。

代表的な白檀、伽羅、沈香をベースに、数種類の香木をブレンドして自分だけの香りを作ります。お椀に一杯ずつ香木を足しながら混ぜ合わせていく、その加減がなかなか難しい。

香りは味覚と同じく、甘酸辛鹹苦で表現します。あるいは、草原の匂い、苔が生したような匂い、雨が上がったときの匂いなど、日常生活のワンシーンを連想させるように表現するとより分かりやすいそう。

④匂袋と文香作りに挑戦。

インスピレーションを大切に、デザインの異なる香り袋を選びます。先ほど調香したお香を詰めて匂袋に。余ったものは和紙で包んで文香を作ります。

匂袋の歴史は古く、奈良時代より人々に利用されてきました。天然香料による防虫効果にも優れ、見えない心配りとして箪笥に入れて衣類に香りを移したり、鞄に入れたりと手軽に香りを楽しめます。

嗜み心と五感を満たす、炭遊び(ひあそび)京料理

京都ならではの風情を感じる花街の団扇のお中元

お待ちかねのディナーは、施設内にある「庵都(いほと)」にて。一般的な京料理にとどまらず、炭火による新たな演出を加えた日本料理を創出するレストランです。エントランスには、芸妓舞妓さんから贈られた団扇が飾られ、京都ならではの夏の風情を演出しています。

ロビーの間仕切りに使われている”こより和紙”

店内には、平安貴族の館にも使われていた蔀戸(しとみど)や源氏香の図をモチーフとしたオリジナルの香図格子、手すきの落水紙、京都の職人による蒔絵盆など、京都の歴史や文化を感じられるインテリアが、「ふふ」ならではの世界観を創造しています。

植栽家/Re:Planter(リプランター)によるリサイクルとプランツをテーマとするスペースコロニー

中でも目を引くのは、空中に浮かぶスペースコロニー。ガラス球体の中に佇む盆栽とすぐ下に設えた蒔絵で、池で泳ぐ鯉を再現しています。室内に居ながら日本庭園を感じられる斬新な調度品です。

ライブ感を味わえるカウンター席

オープンキッチンのカウンター席なら、料理人の巧みなパフォーマンスが垣間見られてライブ感を味わえます。可動式の間仕切りでプライベート感を同時に確保できるのもポイント。間仕切りに彩られた細い線模様は、京都の細く長い路地を思わせます。

コースの椀物から「菊花仕立て 湯葉と海老真丈 軸三つ葉 振り柚子」

2カ月に1度替わるコースは、京都の地と季節を感じる旬の食材を使用した炭火焼きを堪能できます。

京料理の顔とも言える椀物は菊花仕立てに、花びらの絨毯が華やかで美しい。新鮮なお造りはそのままいただくだけでなく、拘りの薬味と手元に用意された炭火で炙る炭遊び(ひあそび)を楽しみます。

長月の釜炊きご飯は松茸

旬の食材を彩り豊かに盛りつけた八寸や、季節を味わう小鍋(この日は名残り鱧!)、釜炊きご飯(この日は松茸!)など、京の味わいを存分に堪能できます。

八寸。合鴨信長葱巻き、新銀杏翡翠揚げ、蓮餅、京菊菜、丹波栗おかき揚げ、紫すぎん塩茹で、帆立貝 膾、秋鯖寿司 炭香仕立て

地元の新鮮な京野菜や京都の伝統をセンス良く取り入れ、独自の手法と演出によって、甘味・辛味・酸味のバランスと香りや食感を大切にしながら、五感で味わう日本料理の数々に舌鼓を打ちました。

ソムリエが厳選した全5種の日本酒やワインペアリング

お酒好きなら季節のペアリングコースがおすすめ。ふふ 京都のソムリエが厳選した日本酒やワインをグラスで堪能できます。京野菜にはフランスのシャルドネ、炭遊びには京都を代表する酒蔵のひとつ「澤屋まつもと」など、幅広いセレクションで食事とのマリアージュを楽しめます。

ここでしか味わえない福重膳と庵都汁の朝食

福を重ねて縁起が良いとされる福重膳とふふ 京都特製庵都汁

翌朝は雨上がりの清々しい日本庭園を眺めながら、優雅な朝食をいただきました。

福を重ねるという意味が込められた4段重ねの「福重膳(ふくえぜん)」に彩り豊かな9品の小鉢が並びます。京都の白味噌とふふ特製のオリジナル味噌を調合してアレンジした「庵都汁(あんとじる)」は、ゴロゴロ入った京野菜の食感と、白味噌の甘みとコクが抜群で、おかわりしたくなるほど。料理長渾身の逸品です。

チェックアウト後は南禅寺を散策

明治23年に建造されたレンガ造りの南禅寺水路閣

緑溢れる自然豊かな境内や庭園、レトロでノスタルジックな水路閣やインクラインなど、ゆったりと散策するのにふさわしい南禅寺エリア。境内を流れる琵琶湖疏水の水音が爽やかで、涼スポットとしてもおすすめです。

築100年を超える2層構造の伝統的な京町屋をリノベートした「Blue Bottle Coffee 京都カフェ」

近くには平安神宮、京都市京セラ美術館、京都市動物園、新たに誕生したBlue Bottle Coffee、話題のドイツパンベーカリーなどお洒落なスポットも点在していて、あれこれ巡るにはちょうどいいロケーション。少し早起きして散歩するのもあり、チェックアウト後にじっくり観光するのも良いでしょう。

千年の都が培った京都の伝統の神髄に触れる日本庭園、京料理、香道体験。視覚、味覚、嗅覚…と五感が研ぎ澄まされながら、日本の旧き良き美意識をそこかしこに感じる滞在。家路につけば、鞄に忍ばせていた匂袋がほのかに香り、あの京都の情景を淡く思い起こさせてくれるよう。秋深まる頃にまた紅葉を求めて再訪したいところ。

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