2026.02.20
【成田凌×沢尻エリカ】富山県オールロケで臨んだ映画『#拡散』での思い出
ワクチン接種後、妻が突然死した――。クリニックを相手取って抗議活動を行う夫がメディアやSNSに祭り上げられて“仕上がっていく”姿を描いたセンセーショナルな映画『#拡散』(2月27日より劇場公開)。主人公の信治を演じた成田凌さん、彼を取材する新聞記者の美波に扮した沢尻エリカさんは、作品を通して何を感じたのでしょう。富山ロケの思い出と共に語り合っていただきました。
撮影地で見た美しい景色

――センシティブと言われる題材を扱った作品かと思います。参加されるうえで特別に気を付けたことなど、あったのでしょうか。
成田:あくまで映画でありフィクションですし、観ていただくとわかるのですが、焦点が当てられているのは別のところなので、その部分を特別意識することはありませんでした。この作品は何を否定するでも肯定するでもなく、誰が被害者で加害者かも明言せず、ただ“状況”を描いたものです。僕はひたすら、暗闇をズンズン進んでいく信治という人間を演じることに集中していました。
沢尻:私は記者の役だったので、どちらかの意見によらず中立であることが重要でした。もちろんその中でも、自分の意見ではない組織の意向に従わないといけない局面もあるため、「社会の一員ってなんだろう」と色々と考えた部分はありました。コロナ禍の当時の自分を思い出すこともありましたし、私自身がそうだったように立ち位置は人それぞれ違っていて、かつその人の中でも時期によって変わるものだと改めて知りました。視野が広がったというか、いいきっかけを与えてくれた作品になりました。

――富山県オールロケでしたが、現地はいかがでしたか?
成田:常に町から立山連峰が見えていて最高でした。しかも撮影をしていたのが12月だったので雪で白くなっていて、とてもキレイだったんですよ。ちょっとした移動の際も景色がよくて幸せでしたね。空気も澄んでいて空も広くて、常に山々が見えるのはいいな、と感じました。
沢尻:この時期の北陸はコロコロ天気が変わるそうなのですが、いい感じに撮れてホッとしました。映像で観ても美しくて、富山で撮影できてよかったです。
成田:ドローンで撮影したショットも効いていましたね。
沢尻:現地で食べた料理も全部美味しかったです。ぶりしゃぶやのどぐろのお刺身がおいしくて最高でした。
成田:白金監督が中国式のおもてなしということで火鍋パーティを開いてくださったのもいい思い出です。ものすごい量で、食べても食べても減らないどころか増えていくという(笑)。
冬の富山県での撮影

――自分は近隣の福井出身ですが、その時期の富山はかなり寒いですよね。
沢尻:めちゃくちゃ寒かったです。雪も降っていましたし。信じられないくらいの冷え込みでした(笑)。
成田:沢尻さんは衣装も薄着だったから余計にそうですよね。僕はソロキャンプをしている設定だったのと、ちょっとややこしそうな人間に見えるように不自然な重ね着をして相当着込んでいたので、寒さは大丈夫でした。
沢尻:成田さんが厚手の靴下を履いているのを見て、いいなーと思っていました。ホッカイロを尋常じゃないくらいつけていても寒かったです。確かに、いっぱい着ていましたね。
成田:特に、クリニックの前で立っているシーンがそうでした。自分のこの仕事における目標なんです。立っているだけでおもしろい存在になるのが。今回の作品は引きでの画が多いので、画面に映る風景の中にポツンと信治が佇む姿をいかにおもしろくできるかは自分の中でこだわっていたポイントの一つです。ややこしくて情けない雰囲気を出せたらと思っていました。抗議をする意志は見えるけど、そんなに強い想いなのか?と感じさせるような塩梅に出来たらな、と。


――背後を下校中の小学生が通っていくギャップもおもしろかったです。
成田:あれも効果的でしたね。時間帯も示せるし、画期的な演出でした。
――先ほどお話に出た、演じられた役の人物像についてどう捉えたのか教えて下さい。
成田:信治は、人間の欲によって“自分じゃない自分”が作り上げられ、さも自分が大きくなったかのように感じられる世界に入っていくのですが、「そりゃあおかしくなるよな」と理解できる部分と、「もうなんか気持ち悪いな、この人」という違和感の両方を出せればと思っていました。滑稽に見えるけれど、承認欲求というのは普遍的なものなので恨み切れはしないところにいければ、と。
沢尻:美波は元々、東京でバリバリ仕事をしている意識の高い女性だったと思います。ただ、本人にもずるいところはあったのかもしれないし、地方紙に異動になった経緯も含めて癖のある役どころだとは感じました。そんな彼女が信治と関わるうちに人間の嫌な部分を色々と見て、本質を取り戻して成長していく物語でもあるように思います。
お2人にとっての“キレイな人”とは?

――最後に、「キレイノート」恒例の質問をさせてください。“キレイな人”と聞いて、お2人はどんなイメージを思い浮かべますか?
成田:声かな。男女問わず、声にはそれぞれの性質が出る気がします。仕事柄、様々な方にお会いしますが、声質で「キレイだな」と思うことが多いかもしれません。だからこそ、『#拡散』では中盤にわざと嫌な声を出しています。
――確かに。取り調べ時のあたふたするところとの落差も鮮烈でした。
成田:自分もあのシーンは好きです。共演者の皆さんは困られたと思うのですが。というのも、長回しで撮ると聞いたので、「セリフの途中で何か喋っていますが気にしないでください」と事前に刑事役の方にお伝えして、「もうもうもうもうもう…」とかずっとぶつぶつ言っていましたからね。
――沢尻さんはいかがですか? “キレイな人”のイメージについて。
成田:鏡を見た時ですよね?
沢尻:いやいやいやいや!(笑) 落ち着いていてオーガナイズできる人、几帳面で気配りができる人に憧れます。
成田:沢尻さんはまさにそういう方じゃないですか。現場でも皆さんに気配りをされていた印象があります。あとは何事にも動じないというか。先ほども、沢尻さんが直前まで撮影されていた位置に立ったら暖房の風が顔にすごく当たる場所だったのですが、ずっと笑顔のままでいらっしゃったよな、と。寒い外での撮影も表情一つ変えずにこなされていて、本当に素晴らしいと思います。
沢尻:鈍感だから気づいてないだけです(笑)。
成田:細かいことを気にしていないのが、素敵なんですよね。

Profile
成田凌
1993年生まれ。埼玉県出身。2013年よりファッション誌の専属モデルとしてキャリアをスタートし、ドラマ「FLASHBACK」にて俳優デビュー。その後、映画『スマホを落としただけなのに』『愛がなんだ』『カツベン!』『窮鼠はチーズの夢を見る』『くれなずめ』『まともじゃないのは君も一緒』『ニワトリ☆フェニックス』『雨の中の慾情』など、数々の話題作に出演。現在はドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」(NTV)に出演中。
沢尻エリカ
1986 年生まれ。東京都出身。2005年にドラマ「1 リットルの涙」で主演を務め、同年公開の映画『パッチギ!』で、第 29 回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『へルタースケルター』やドラマ「タイヨウのうた」「ファースト・クラス」など話題作に出演。昨年上演されたテネシー・ウィリアムズの名作『欲望という名の電車』では初舞台で主人公のブランチを演じ、現在は『ピグマリオン-PYGMALION-』の公演中。
■『#拡散』作品情報
2026年2月27日(金)公開
原案・編集・監督:白金(KING BAI)
脚本:港岳彦
出演:成田凌 沢尻エリカ
淵上泰史 山谷花純 赤間麻里子
船ヶ山哲 DAIKI 高山孟久ほか
<衣装(成田)>
セットアップ ¥33,000(ヴィンテージ/モンク)
ニット ¥20,000(クレプスキュール/オーバーリバー)
その他スタイリスト私物
お問い合わせ:
モンク:03-6407-8897
オーバーリバー:info@overriver.com
ヘアメイク/成田:宮本愛(yosine.)、沢尻:冨沢ノボル
スタイリスト/成田:カワセ136(afnormal)、沢尻:亘つぐみ@TW
撮影/須田卓馬
取材・文/SYO
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