2025.11.26
【アドリア海の真珠】街から山から海から、3つの視点で味わうドゥブロヴニクの世界
クロアチア南部にあるドゥブロヴニク(Dubrovnik)は、アドリア海に面した要塞都市。海の紺碧を背景にオレンジ色の屋根と白い壁が連なる旧市街の風景は、「アドリア海の真珠」と称されます。これらの美しく歴史的な街並みやアドリア海のクルーズをお目当てに、国内外から多くの人がこの街に集まるのも納得です。
今回はドゥブロヴニクの旧市街を、3つの異なる視点から楽しむ方法をたっぷりの写真と共に紹介します。ただ写真では伝わり切らない感動もあるので、機会があればぜひ実際にご自身の目で見て感覚で味わってくださいね!
アドリア海の真珠、ドゥブロヴニクとは

1979年、ユネスコ世界遺産に登録されたドゥブロヴニクを日本人のあいだで有名にしているのは、ジブリ映画『魔女の宅急便』に登場する街を彷彿させる風景。ただ、実際の公式発表でそれは確認できません。
おそらくこの街を訪れた日本人が「映画の世界そっくり!」と感動し、そのような話を広めたことがきっかけかもしれませんね。そしてSNSの浸透に伴い、あっという間に広まってしまった…。ですがその期待を感動が軽く越えてくるほど、ドゥブロヴニクの街並みは一見の価値があります!


右:プロチェ門近くから港を眺める
もうひとつ知っておきたいのが、ドゥブロヴニクは1991年以降のクロアチア紛争の戦場だったということ。その際に甚大な被害を受け、同年危機遺産(危機にさらされている世界遺産)として登録されることに。平和を取り戻すと、住民たちが中心となり美しい街を蘇らせました。
実際、旧市街には当時の写真が展示されている施設があり、目の前の美しい街並みとのギャップにしばしときが止まりました。平和のありがたさと、現地の人々の努力が胸を打つのでした。
一番近くで旧市街を感じる「城壁ウォーク」

ドゥブロヴニクを訪れたら外せないアトラクションが、城壁の上を歩く「城壁ウォーク」。オレンジ屋根の可愛い街並みを間近で眺められます。見下ろすという感覚に近く、鳥になったような気分に!
城壁は旧市街をぐるりと囲んでいるため、地上ではなかなか歩けない場所まで見ることができますよ。
約1.9kmある城壁の所要時間は、混雑状況やその人のペースによりますが1~2時間が目安。城壁の中に何軒かカフェや売店などがあるため、休憩するなら2時間は見ておきたいですね。
また金額は、取材時で40ユーロ。地元の人によると数年前からかなり値上がりしているようですが、それでもその価値はあると今回訪れて確信しました。
同じ40ユーロで少しお得になる方法もあるため、後で紹介しますね。
■プロチェ門よりスタート!

入口は3つあり、一方通行です。ピレ門が入口としてはもっともわかりやすいのですが、朝一番になるべく空いている状態で楽しむならプロチェ門近くにある入口より入場を。
どういう景色を見たいかにもよりますが、重なるように連なるオレンジの屋根と紺碧のアドリア海。そんな絵画のような景色をまだ静かなうちに見たいなら、同じルートをおすすめします。



ミンチェタ要塞は城壁の中で最も高い場所にある、14世紀起源の要塞。中にある階段をさらに上ると市街と海の大パノラマを楽しめます。

ここからさらに右手にロヴリイェナツ要塞を眺めつつ、旧市街をぐるりと一周回ります。ピレ門からは多くの人が合流しますが、静けさとともに城壁ウォークのハイライトのひとつをすでに満喫していると、心に余裕も生まれるはず。


右:右前方に見えるのがロヴリイェナツ要塞


■アドリア海の潮風に吹かれて休憩

城壁の上のカフェは、非日常感たっぷり! 「Caffe on the Wall(SV. PETAR)」でコーヒーやビールを楽しむ人たちに混ざって、搾りたてのオレンジジュースはいかがですか。真っ青な海を眺めながら飲む、一杯はとても贅沢に感じます。


右:紺碧とオレンジのコントラスト! 「Orange Juice」7ユーロ
今までのウォークを振り返りながら一息ついたら、ゴールまであと少しです。城壁ウォークは一周のみなので、入ったところが出口となります。


右:船が浮いている!? 城壁下の水さえこの透明感
■ドゥブロヴニク・パスでほかの見どころも
城壁ウォーク単体では安くなりませんが、観光客が手に入れたいのが「ドゥブロヴニク・パス(Dubrovnik Pass)」! いくつかのアトラクション(入館/入場料)とバスの一日乗車券が含まれています。公式サイトにそのリストがあるのでぜひ確認を。
おすすめしたいのが、「ロヴリイェナツ要塞(Tvrđava Lovrjenac)」。通常15ユーロする入場料も、パスに含まれています。
こちらは城壁ウォークからも見えましたが、中世の歴史を体現したような要塞自体も訪れる価値があります。入場して展望台から見る旧市街もまた趣が異なります。


右:要塞のテラスからは先ほど歩いた城壁が一望できる
スルジ山の「ドゥブロヴニク展望台」から街全体を見下ろす

城壁ウォークの次にぜひ訪れてもらいたいのが、スルジ山の山頂にある「ドゥブロヴニク展望台(Dubrovnik vidikovac)」です。
旧市街の背後に堂々と立つ、スルジ山。その山頂まではケーブルカーに乗って約5分で到着することができます。ただ、ハイシーズンには混雑が予想されるため並ぶことも。風が強い日や天候によって運休のこともあるので、事前に確認しましょう。
ドゥブロヴニク・パスには含まれていませんが、街並みをさらに堪能したいならこちらもマストです。


右:オレンジのゴンドラが可愛い
時間にゆとりがあるなら、山頂にあるレストランでランチやお茶の時間を過ごしながら、景色をさらに満喫することも可能です。
下山は、足腰に自信がなければ往復どちらもケーブルカーを利用して。ただ筆者のおすすめは徒歩での下山! 実は気に入って何度も上り下りしてしまったほど、このハイキングルートからの景色は素晴らしいものがあります。
「Dubrovnik Stations of the Cross」と「Scenic walk Bosanka」。2つあるルートはどちらもケーブルカーより人が少なく、混雑を避ける意味でもおすすめ。まるで宙に浮いているかと錯覚するほど開放感たっぷりの景色を楽しんで!

海越しの要塞にロマンを感じる「バニェ ビーチ」

ドゥブロヴニクの街並みをその中から、そして山から楽しんだら、最後に「バニェ ビーチ(Plaža Banje)」を訪れて、水面越しの旧市街を楽しんで。海水浴や、日焼けを楽しむことも、またレストランもあるためドリンク片手にアドリア海を楽しむこともできますよ。
真っ青な海越しの旧市街、そして夕暮れの温かい色合いに包まれた旧市街。時間帯によって見え方が違うので、時間が許すなら異なる時間帯で再訪も!
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ドゥブロヴニクの旧市街を、3つの異なる視点から楽しむ方法をお伝えしました。すべて回ることができない場合は、この記事を参考にしてもらえると嬉しいです。
3つの絶景を押さえたら、もちろん旧市街の中を散策することも忘れずに。ふとした拍子に建物のあいだから覗くスルジ山や、細い階段路地の風景など、ドゥブロヴニクらしい絶景はいたるところに存在しています。あなただけの心が震える景色に出会えますように…!
※情報は取材時(2025年10月)のものです

暮らすように旅する、自然派ライター。世界一周を含む4年の旅の後、オーストラリアに移住し、約7年暮らす。2023年、東南アジア中心のノマド暮らしを経て、2025年よりフリーダイビングをしつつ、世界二週目中。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを執筆。そして現在は主にwebメディアで、旅はもちろん自然に沿った生き方を実践し、地球と体に優しい生き方のヒントを発信しています。
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