2025.11.08
鬼怒川渓翠で過ごす、自然と調和する秋の時間
紅葉がオレンジ色に色づきはじめた日光の秋。「ミシュランキー2025」で、昨年に引き続き1ミシュランキーを受賞したホテル「鬼怒川渓翠」を訪れました。雄大な渓谷の景色と、心までほぐれる温泉時間。
ここで過ごすひと時は、自然のやさしさに包まれるような特別な体験でした。
自然の中に溶け込むホテル

エントランスを抜けると、まず目に飛び込んでくるのは天井の高い吹き抜けのロビーラウンジ。
大きな窓からは、鬼怒川渓谷の雄大な景色が広がり、思わず深呼吸したくなるほど。読書をしたり、客室から持ってきたドリンクを楽しんだりと、思い思いに過ごすことができます。

テラスに出ると、澄んだ空気とともに川のせせらぎが聞こえ、まるで自然の中に吸い込まれるよう。


緑の中に続く小道には、ハンモックチェアやファイヤーピットが設えられ、静けさの中で会話を楽しむ時間も心地よく流れていきます。
「ホテルのそばに自然がある」というより、「自然の中にホテルがある」、そんな印象を受ける自然と調和した穏やかな空間です。
贅沢を極めた広々空間の客室

今回宿泊したのは、デラックスツインのお部屋。大きなベッドが2台あってもゆとりを感じる広さで、上品で落ち着いたインテリアが印象的です。

全室に温泉露天風呂が備えられており、鬼怒川渓谷を眺めながらプライベートな湯浴みを堪能できます。

ポーチ付きのギフトセットとしてアメニティやヘアバンド、シートマスクのプレゼントがあったのも嬉しいポイント。

客室内のドリンク類はすべてフリーで、サービスのきめ細やかさに驚かされました。

バルコニーに出て、風に揺れる木々を眺めながらのコーヒータイムも格別です。
記憶に残る、薪火料理のディナー

夕食はレストラン「炅(けい)」にて、薪火で仕上げるフルコース。“地域の素材 × 火の香り”がテーマの料理は、季節を五感で楽しめるものでした。

食事のはじまりには、シグネチャーカクテルを。グラスの上には、エルダーフラワーの香りをまとった煙が閉じ込められたシャボン。ピックでそっと割ると、ふわりと広がるフルーティーな香りがテーブルを包み込み、華やかなディナーの幕開けを彩ってくれました。

こちらは“KONARA(小楢)”コースの前菜。秋刀魚やタコ、梨など秋の味覚が並ぶ美しい一皿からスタートしました。


ミニトマトと日光らしさを感じる湯葉のお料理や、薪火で香ばしく焼き上げられたベーコンを乗せたマッシュルームとメレンゲを合わせた一品など、味わうごとに美味しさはもちろん、新しさを感じるお料理。

“KONARA(小楢)”コースで、印象に残ったのは、日光で育った鱒を使用した「頂鱒(いただきます)」という鱒料理。じゃがいもを薄くスライスして鱗に見立て、特製のソースやディルで仕上げたひと皿は、味わいだけでなくネーミングの遊び心にも心をくすぐられました。

メインのシャモ料理は、牛蒡や蓮根などの根菜とともに。牛蒡のお皿から立ちのぼる香りが豊かでした。下にはこっくりと濃厚な味わいの黒米のチーズリゾット。和と洋が重なり合う味わいに、料理人のセンスと想いが感じられます。

そして、“KUNUGI(椚)”コースは、食材の組み合わせに驚きと発見が詰まっていました。
じゃがいものスープには、スパイスを合わせたコーヒーゼリーとピスタチオが入っており、一般的なヴィシソワーズとは一線を画す、主張のある斬新な味わい。香ばしさとまろやかさが共存する、印象的なスープでした。

イセエビの料理は、あおさ、パプリカ、スピルリナで味と彩りを重ね、海と大地の恵みを一皿に閉じ込めたような華やかさ。


根菜サラダは、自然な甘みが引き立ち、十五夜味噌をドレッシング代わりに使う和の発想が新鮮でした。メインは、薪火で丁寧に焼き上げた短角牛のステーキ。旨みが凝縮された赤身と、薪火ならではの香ばしい風味が絶妙に調和します。

締めくくりのデザートは、ショコラと葡萄、葛ゼリーの組み合わせ。重たくならず、口の中にすっと溶けていく爽やかな甘さが、コースの余韻を上品に締めてくれました。
美しいプレゼンテーションと遊び心あるお料理の数々に、旅の夜が一層特別なものになりました。
穏やかな朝に寄り添う、渓翠の朝食
朝の光に包まれたダイニングで迎える渓翠の朝。窓の向こうに広がる鬼怒川渓谷の紅葉は、和朝食の器に添えられた紅葉麩と同じ色づきを見せ、思わず心が弾みます。

印象的だったのは、薪火でじっくりと焼き上げた豚肉が贅沢にのった豚汁。香ばしさと深い旨みが体の芯まで染み渡り、秋の朝にぴったりの一品です。

一方の洋朝食は、メイン料理を好みで選べるスタイル。クロックムッシュを選ぶと、とろけるようなチーズがたっぷりとかかり、満足感のある味わいに。



さらに、セミビュッフェ形式のドリンクコーナーには、オリジナルのドライフルーツティーやジンジャーグリーンティー、バナナとカカオニブのスムージーなど、彩り豊かで心躍るドリンクが並びます。
自然のぬくもりと、料理の美しさ。その両方に包まれる朝の時間は、鬼怒川渓翠ならではの贅沢なひと時でした。
自然とともに過ごす時間がくれるもの

屋上のビューテラスに出れば、目の前には雄大な渓谷と、どこまでも続く山並み。遠くに川のせせらぎも聞こえます。風を感じながら眺めるその景色は、まるで自然と呼吸を合わせるような心地よさがあります。
*****
自然と寄り添う建築、心地よいサービス、薪火のぬくもり。
そのすべてが調和した「鬼怒川渓翠」での滞在は、慌ただしい日常の中で忘れかけていた“静かな時間の贅沢”を思い出させてくれます。
チェックアウトのあとも、ふとした瞬間に渓谷の風景が心に浮かぶ。そんな余韻を残してくれる、記憶に刻まれる宿でした。
■鬼怒川渓翠(きぬがわけいすい)
住所:栃木県日光市鬼怒川温泉大原334-1
アクセス:東武ワールドスクウェア駅から徒歩約5分/鬼怒川温泉駅から無料送迎バスあり
客室:全室温泉露天風呂付き(デラックスツイン59㎡〜)
料金 : 2名1室 69,100円~ ※11月5日時点
公式サイト:https://www.resorthotels109.com/kinugawa-keisui/

フリーランス。旅行、アウトドア、マリンスポーツが大好きな二児の母です。今1番楽しいことは、子供の成長に合わせて、日本国内・海外を旅すること。宿泊レポや美容体験、フードの記事が得意です。ヘルシーでアクティブな記事をお届けしていきます!
◆Instagram:@ayano_nico1209
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