2021.09.02
【世界を旅するレシピ】4ヵ国目
エネルギッシュな香港の薬膳料理
自宅で世界を味わえる連載4カ国目は、美食の街として名高い香港です。香港と聞くと、飲茶やお粥、スイーツをはじめとした数々のグルメが思い浮かびますが、今回教わったのは屋台で定番のシーフードメニューと家庭でもよく食べられている薬膳スープ。どちらもローカルに愛される料理なので、意外なほど簡単に作れるのも魅力です。本場の味に一歩近づくコツと一緒に、香港のキレイの真相にも迫ります。
薬膳が日常に根付く食文化
香港(中華人民共和国香港特別行政区)へは、日本から飛行機で4〜5時間の旅。東京近郊の空港だけでなく、北海道や福岡、沖縄などの空港からも行ける身近な海外です。昔からアジアの貿易の拠点として栄え、実は260以上の大小の島から成り立っています。
メインの観光地は、香港島の北部と九龍半島の南側。その景観は“100万ドルの夜景”として知られており、まさに不夜城である香港。今回料理を教えてくれるジャニタ先生も「とっても元気な街!」と表すほど、エネルギーに満ちた都市です。その秘密のひとつに食文化が大きく影響しています。特に薬膳料理はもはや暮らしの一部であり、「現地では多くの薬膳料理がありますが、日常的に摂っているのが家庭のスープと薬膳茶ですね」とジャニタ先生。
また、そのパワーの源には朝食も関係があるそう。「早朝から営業するお店もたくさんあるので、出勤前にお粥や朝食セットを食べに行ったり、屋台でテイクアウトしてオフィスで食べる人も(笑)。朝食を大切にするのも香港らしい食文化かもしれません。」日常的に薬膳を口にしたり、しっかり朝食を摂ったり、いつも食事を大切にする香港。そこで今回は、本格的なのに簡単に真似できる家庭料理を教えてもらいました。
豆豉のコクが味の決め手
あさりの豆豉炒め
現地では「豉椒炒蜆」と呼ばれる屋台でも定番のメニュー。プリプリのあさりにコクのある甘辛いソースが絡んだ、ごはんがすすむおかずです。本場の味に近づくポイントは、調味料にあり! 黒豆を発酵させた豆豉(トウチ)は料理の旨みを引き出してくれ、紹興酒は食材の臭み取りや香り付けの定番、中国のたまり醤油である老抽(ロウチュウ)は塩辛さがマイルドで料理の色味付けにも最適です。どれも大きなスーパーや輸入食料品店で手に入るのでぜひ挑戦を。
材料(2人分)
- ○ あさり
- 300g
- ○ 赤唐辛子
- 1本
- ○ 青唐辛子
- 1本
- ○ ニンニク
- 2片
- ○ 生姜
- 5g
- ○ 豆豉
- 5g
- ○ 紹興酒(ない場合は日本酒)
- 小さじ1
- ○ パクチー
- 適宜
- ■ A
- ○ 醤油
- 小さじ1
- ○ 老抽
- 小さじ1/2
- ○ オイスターソース
- 小さじ1
- ○ 水
- 30ml
- ○ 砂糖
- 大さじ1/2
- ○ 片栗粉
- 小さじ1
HOW TO COOK
優しいスープで疲れを癒す
冬瓜とハト麦のスペアリブ薬膳スープ
それぞれの家庭にレシピがあるという薬膳スープ。「薬膳」とありますが苦味などはなく、今回のスープはスペアリブのうま味が野菜に溶け込み、とうもろこしの甘みも加わった優しい味わいが特徴です。ほろりとほぐれるスペアリブにとろりと柔らかな冬瓜、シャキッとしたコーンに、プチプチ感がいいアクセントになるハト麦と、それぞれの食感も楽しい一品。むくみを解消してくれるというスープは、夏の疲れが出やすいこの季節にぴったりです。
材料(2人分)
- ○ 骨付きスペアリブ
- 300g
- ○ 冬瓜
- 200g
- ○ とうもろこし
- 1/2~1本
- ○ ハト麦
- 30g
- ○ 生姜
- 2片
- ○ 紹興酒
- 小さじ1
- ○ クコの実
- 小さじ1
- ○ 塩
- 適宜